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NST(栄養サポートチーム)とは?活動内容・職種別の役割・今後の需要

  • 更新日
投稿者:小松 和貴

「NST(栄養サポートチーム)って何をするの?」
「NST専門療法士を取得するメリットは?」
「NSTの将来性や入るメリットはある?」

NST(栄養サポートチーム)について、このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。近年では、NSTを設置する病院も増えつつあり、栄養療法という観点から患者さんの状態を改善する手段として期待されています。

本記事では、NST(栄養サポートチーム)の概要や参加するための条件、将来性、NST専門療法士などを解説します。この記事を読めば、NSTの活動への理解が深まり、そのうえでNSTを実践する病院で働きたいかどうかの意思決定ができるようになるでしょう。

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1.NST(栄養サポートチーム)とは?

NST(栄養サポートチーム)とは、多職種が連携し、患者さまに最適な栄養管理を提供するチーム医療のことです。1970年に米国のシカゴで、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などが集まり、栄養療法について討議したのがはじまりとされています。

日本では1998年に普及しはじめており、栄養障がいのある患者さまだけでなく、潜在的なリスクを抱える患者さまにも対応しているのが特徴です。

NSTの目的

NSTの目的は、適切な栄養療法によって患者さまの栄養状態の改善・治療効果の向上、合併症予防をすることです。
NSTには、

  • 医師
  • 管理栄養士
  • 看護師
  • 薬剤師
  • 臨床検査技師
  • PT・OT・ST
  • 歯科衛生士

などがチームに参加し、各専門職の知識や技術を活かして栄養療法を提供します。NSTにより適切な栄養管理を提供することで、在院日数の短縮やADL、QOLの向上、病院のコスト削減にもつながるのです。

NSTの活動内容

NSTの活動内容は、次のような流れで行われます。

  1. 栄養スクリーニング
  2. 栄養評価(アセスメント)
  3. 栄養ケアプラン
  4. 実施
  5. モニタリング
  6. アウトカムの評価
栄養スクリーニング

栄養スクリーニングは入院患者さまの中から、栄養学の観点でリスクのある方をピックアップする作業です。介入の必要がある患者さまには、栄養管理計画書を作成します。

栄養評価(アセスメント)

栄養リスクのある患者さまについて、栄養状態の評価を行う作業です。評価方法には、主観的包括的評価(SGA)と客観的栄養評価(ODA)があります。

栄養ケアプラン

客観的栄養評価(ODA)に基づき、患者さまごとに栄養ケアのプランニングを行います。具体的には、食事内容や点滴・経管栄養の検討です。

実施

NSTによる本格的な介入を開始します。

モニタリング

栄養ケアプランを実施し、その内容が適正であるか、合併症の危険性はないか、変更はないかなどを多職種で検討する作業です。患者さまの状態に応じて、最も効果的な栄養療法を適宜調整します。

アウトカムの評価

NSTを実施した患者さまの成果を評価する作業です。患者さまの栄養状態やQOLだけでなく、医療経済面やNSTの機能性などからも評価します。多方面から評価を行うことで、NSTの質を向上させ、結果的に病院の質の向上にもつながるのです。

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2.NSTを構成する職種とそれぞれの役割

NSTでは各分野の専門職が知識と技術を活用し、栄養状態が十分でない患者さまの栄養管理を行います。患者さまの栄養状態を包括的にサポートするためには、多職種との連携が必須です。

ここでは、NSTを構成する職種ごとの役割を解説します。病院によっても構成する職種は異なるため、NSTに入る際は勤め先の病院を確認してください。

医師

NSTにおける医師の役割は、チームのリーダー的存在として、チームの統括や栄養療法の方向性を示すことです。患者さまの状態や問題点を改善する栄養補給・栄養管理の方法を提案します。

管理栄養士

NSTにおける管理栄養士の役割は、患者さまの栄養状態の評価、分析、提案をすることです。患者さまの食事摂取量や検査データから体重減少率、栄養摂取率を確認します。

食事が進まない患者さまに対しては、食べやすくする工夫や嗜好に合わせた食事の調整なども行います。食に関する専門性の高い職種として、他職種から意見を求められる存在です。

看護師

NSTにおける看護師の役割は、情報の把握と共有です。看護師は患者さまに最も近い存在であり、嚥下状態や食事量、血液データ、体重など日々多くの情報を得ています。その情報をチームに共有することで、栄養管理の総合的な評価につながります。

また、チーム全体のリーダーが医師であれば、看護師は現場のリーダー的存在です。チーム内でのコミュニケーションがうまくいくように、常に全体を見ながら調整する役割もあります。

薬剤師

NSTにおける薬剤師の役割は、栄養療法で使用する栄養剤の評価や提案、支援をすることです。患者さまが服用している医薬品と食品との相互作用がないことを確認し、服薬指導や栄養剤の情報共有なども行います。

また、患者さまやご家族に、薬剤師の視点で静脈、経腸栄養剤に関する情報提供をします。在宅栄養療法をとっている病院の場合は、指導や支援にも携わるでしょう。

臨床検査技師

NSTにおける臨床検査技師の役割は、栄養状態の指標となる検査データの管理です。患者さまごとに検査データを集計し、チームメンバーに共有します。

検査データを考察するにあたって、病棟回診に同行し、ベッドサイドから患者さまの状態を確認したり、各分野の専門家のアドバイスや意見をまとめたりする役割も担います。

PT・OT・ST

PT・OT・STなどのリハビリテーション職の役割は、摂食・嚥下障がいを抱える患者さまに対して、安全に食事ができるように情報提供などをすることです。それぞれの役割は以下のとおりです。

PT(理学療法士):
全身運動を用いたリハビリテーションによって、体力をつけることで、食欲増進や栄養吸収の向上を図る役割があります。嚥下がスムーズに行えるように、適切な姿勢の評価をし、指導するのも役割のひとつです。

OT(作業療法士):
患者さまの腕や指先のリハビリテーション、嚥下訓練などを行います。食事の際に必要な動作の訓練により、食事の摂取量を増やすのが目的です。最終目標として、自宅で食事ができるように献立の立案や食事の準備などができるように訓練もします。

ST(言語聴覚士):
嚥下機能の向上など、口腔機能にかかわるリハビリテーションを行います。嚥下機能に関する専門的な評価と情報を、医師や看護師などに提供するのも大切な役割のひとつです。NSTに歯科衛生士が入っていない場合は、言語聴覚士が患者さまの口腔ケアを行う場合もあります。

歯科衛生士

NSTにおける歯科衛生士の役割は、患者さまの口腔環境を観察、評価、口腔清掃を行うことです。口腔環境の良し悪しで、食事の摂取量や栄養の吸収に大きな影響を与えます。

そのため、歯科衛生士が行う口腔ケアは、非常に重要な業務です。口腔環境が悪い患者さまには、口腔ケアの提案や指導をする場合もあります。

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3.NSTに参加するためには?

NSTに参加するための条件は特にありません。ただし、「NST専門療法士」の資格を持っていると、有利になる場合もあります。NST専門療法士は、一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定する栄養管理の資格です。

NST専門療法士の資格がない方でも、薬剤師や看護師など医療系の国家資格を持っていれば、NSTのメンバーとして活動できる可能性があります。NST専門療法士については、次の章で詳しく解説しています。

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4.NST専門療法士とは?

NST専門療法士とは、静脈栄養や経腸栄養を用いた臨床栄養に関する知識や技能を有し、エビデンスに基づいた栄養管理を実践できる者のことです。

近年、NSTを設置する病院が増えており、より専門的な栄養管理を実践・支援できるNSTメンバーとして期待されています。 ここでは、NST専門療法士を取得する方法や取得するメリットを解説します。

認定用件

NST専門療法士になるには、下記の要件をすべて満たさなければなりません。

  1. JSPEN会員であること
  2. 管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師のいずれかの国家資格を有すること
  3. 上記の国家資格取得後3年以上は医療・福祉施設に勤務し、栄養サポートに関する業務に従事した経験があること
  4. JSPEN学術集会に1回(10単位)以上参加していること
  5. NST専門療法士受験必須セミナーを1回(10単位)以上受講していること
  6. 「JSPEN学術集会」、「NST専門療法士受験必須セミナー」を含む合計30単位を取得していること
  7. JSPEN認定教育施設における40時間の実地修練を修了していること
  8. 上記の要件をクリアした後、認定試験を合格していること

出典:日本栄養治療学会 栄養サポートチーム専門療法士認定規程

認定までの流れ

NST専門療法士の認定までの流れは以下のとおりです。

  1. 国家資格取得後3年以上、医療・福祉施設に勤務し栄養サポート業務に携わる
  2. 日本静脈経腸栄養学会主催の学術集会やセミナーに参加し、30単位以上を取得する
  3. 認定教育施設で、合計40時間以上の実習を行う
  4. 症例報告書を作成する
  5. 認定試験の受験申請書と必要書類を提出する
  6. NST専門療法士認定試験を受験する
  7. 認定試験に合格後、認定申請書の送付と認定料を納入する

申請期間は例年7〜8月頃(年1回)なので、機会を逃さないように注意しましょう。なお、NST専門療法士は5年ごとの更新が必要です。

試験の難易度・合格率

NST専門療法士の認定試験の合格率は、60〜70%程度と言われています。試験難易度の感じ方は、職種によって異なるかもしれません。

たとえば、NST専門療法士の認定試験では、栄養学や代謝学の基礎知識、生化学などが出題されます。そのため、管理栄養士や薬剤師にとっては、比較的理解しやすい分野もあるでしょう。

認定試験に出題される問題は80問のマークシート形式です。試験時間は2時間です。試験対策には、「NST専門療法士受験必須セミナー」でしっかり学習することが合格への鍵となります。

NST専門療法士を取得するメリット

NST専門療法士を取得するメリットは、NST(栄養サポートチーム)での信頼度が増すことです。2010年に「栄養サポートチーム(NST)加算」が認められてから、NSTを設置する病院が増えています。

NST専門療法士を取得していることで、豊富な知識と技能を得ている証明になることは間違いありません。NSTを設置する病院への転職が有利になったり、資格手当がついたりする可能性もあります。

また、学会やセミナーへの参加などにより、最新の医療知識を定期的に学び続けるため、スキルアップにもつながります。キャリアアップや給料アップを目指す方にとってはメリットが大きい資格といえるでしょう。

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5.NSTの将来性と需要の変化

近年の健康意識の高まりや急速に進む高齢化によって、NSTの需要が高まっています。特にNSTの需要が高まっている要因は、身体に必要な栄養素が不足している「低栄養」状態の高齢者の増加です。

高齢者にとって低栄養は、褥瘡の原因などの健康障害に直結します。NSTが適切な栄養管理を実施することで、患者さまの栄養状態の改善や予防につながります。そのため、高齢化が進むにつれてNSTの需要もさらに高まるといえるでしょう。

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6.まとめ

NST(栄養サポートチーム)とは、医師や看護師、薬剤師、管理栄養士などの多職種が連携し、患者さまに最適な栄養管理を提供する医療チームのことです。患者さまの栄養状態の改善や治療効果の向上、合併症予防などの目的があります。

NSTに参加するために必要な資格はありません。ただし、「NST専門療法士」の資格を取得していると、活躍の場が広がるでしょう。

NST専門療法士として求人募集している病院は少ないものの、取得しておくことで転職で有利になる可能性もあります。興味のある方は、NSTのある医療機関で働くことを視野に入れて転職活動をしてみてはいかがでしょうか。

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