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"幸せ餃子"で広がる、利用者の可能性と地域の輪|社会福祉法人 寿徳会 ハッピーラボ

  • 更新日
投稿者:堀尾 健太

神奈川県秦野市にある就労支援施設「ハッピーラボ」。社会福祉法人寿徳会が運営する同施設は、冷凍餃子の製造販売を中心とした独自の取り組みで、障がいのある方の就労支援に力を入れています。定員20名の小規模な施設ながら、利用者一人ひとりの個性に合わせた作業プログラムと、地域に愛される商品づくりで注目を集めています。
1階では「幸せ餃子」の製造販売、2階では内職作業など、利用者それぞれの特性に合わせた活動を展開。「みんなで作る、みんなが笑顔になれる場所」を目指し、利用者が自分のペースで働ける環境を整えています。施設で製造される「幸せ餃子」は、地元秦野市はもちろん、横浜など都心部でも高い評価を受けており、ふるさと納税の返礼品としても人気を集めています。
利用者の働く意欲を大切にしながら、一人ひとりの成長をサポートする同施設。今回は施設長の小室さんに、ハッピーラボならではの支援の特徴や、職場の魅力、そして福祉の仕事のやりがいについて、お話を伺いました。

目次

1.個性豊かな就労支援の現場から

ーハッピーラボでは具体的にどのような支援を行っているのでしょうか?

私たちの施設は就労支援施設として、1階と2階で異なる支援を展開しています。1階では冷凍餃子の製造販売を行っているのですが、これは全国の福祉施設の中でも珍しい取り組みです。

2階では主に軽作業を行っています。この階の利用者さんは比較的障がいの重い方や、自閉傾向の強い方が多く、個別の支援が必要な方々です。ボールペンの組み立てなど、一人ひとりのペースでできる作業を中心に行っています。一般企業からいただく内職的な作業では、納期や品質の管理も重要になってきますので、利用者さんの作業を丁寧にフォローしながら、完成度の高い製品を作り上げています。

ー利用者の方々の様子はいかがでしょうか?

それぞれの方の特性だけでなく、その日の体調や気分なども考慮しながら支援しています。特に2階の作業では、室内での作業だけでは息が詰まってしまう方もいらっしゃいますので、適宜気分転換の時間を設けています。天気の良い日にはみんなで散歩に出かけたり、ドライブに行ったりするんですよ。

意識していることは、ただ作業だけを提供するのではなく、一日を通して充実した時間を過ごして欲しいということです。利用者さんの中には、外出自体が気分転換になる方もいれば、お気に入りの公園で過ごすことを楽しみにしている方もいます。こういった活動も含めて、その方にとっての「働く」、「生きる」を支援していく…それが私たちの考える就労支援です。

ーどうして冷凍餃子の製造販売を始めたのですか?

もともとは施設内でお弁当の製造販売を行っていました。その中でも餃子は特に人気があったのですが、お弁当事業自体には課題がありました。というのも、職員の人件費や材料費に対して、利用者さんが関われる工程が限られていたのです。福祉施設として、できるだけ多くの利用者さんが作業に関われる環境を作りたいという思いがありました。

そこで思い切って方向転換を決断。餃子専門の製造販売を行うことにしたのです。それまでお弁当を作っていた場所を全面改装し、今のハッピーラボは出来上がりました。

餃子づくりには工程がたくさんあり、利用者さんが参加しやすいというメリットもありました。材料の下準備から餡づくり、包む作業まで、それぞれの方の得意分野を活かせる場面がたくさんあります。また、対面販売ではお客さまからの反応もダイレクトにいただけるので、やりがいも感じやすいのではないでしょうか。そういった面でも、餃子づくりは就労支援の現場にとても適していると実感しています。

今では「幸せ餃子」というブランドで、多くの方々に愛していただけるようになりました。大変なこともたくさんありましたが、利用者さんと職員が一緒になって育ててきた事業です。もちろん味にはこだわっており、お客さまから「美味しかったです」とお声かけいただくことも多いんですよ。

ー移動販売も行っているのですか?

はい。店舗での直接販売はもちろん、キッチンカーでのイベント出店や、横浜など都心部での販売会も定期的に行っています。お客さまと直接触れ合える機会なので、とても大切にしています。

また、イベントへの出展には利用者さんも一緒に参加することがあり、自分たちが作った商品をお客さまに手渡しできる貴重な機会です。お客さまから「美味しい」と言っていただけると、利用者さんも本当に嬉しそうです。私たち職員も、利用者さんと一緒に作った餃子を販売できることを誇りに感じています。

キッチンカーでは、地域のお祭りや各種イベントにも積極的に参加しています。そうした活動を通じて、少しずつですが「ハッピーラボの幸せ餃子」を知っていただき、応援してくださるお客さまも増えてきました。これからも利用者さんと一緒に、多くの人に愛される餃子を作り続けていきたいですね。

2.食品製造現場ならではの支援と工夫

ー食品を扱う仕事ならではの難しさや、工夫について教えてください。

そうですね。食品を扱う仕事なので、衛生管理には特に気を配っています。髪の毛が出ないような帽子や手袋の使用、マスクの着用など、基本的な衛生管理は必須です。これらのルールは、利用者さんにもしっかりと理解していただく必要があるわけです。

ただし、私たちは「できないからダメ」という判断はしません。「できるようになるためにはどうすればいいか」という視点で支援を行っています。一人ひとりに個別支援計画を立て、衛生面での課題がある方にはより丁寧な指導を行います。

例えば、手洗いの手順を視覚的に示したり、決まった時間に声掛けを行ったり、一辺倒な教え方ではなく、その方に合わせた工夫が大切です。時間はかかりますが、これも利用者さんの成長につながる大切な過程なのです。

ー餃子作りに関して、利用者の方々の反応はいかがですか?

施設で開催される収穫祭や法人全体でのフェスティバルでは、餃子の屋台を出し、来場者に振る舞うこともあるのですが、その時の利用者さんの表情が本当に印象的です。なんとも誇らしげに「この餃子は私が作ったんだよ」と、家族や他の利用者さんに話す姿を見ると、この仕事をやっていて良かったな、と心から思うのです。中には「こうやって作るんだよ」と、作り方を説明してくれる方もいたりして、仕事への自信が伝わってくるようですね。

また、みんなで「おいしいね」と言いながら食べるひとときは、利用者さん同士の交流の場にもなっています。「今日の餃子、皮がパリパリだね」「この餡、よく味が染みてるね」など、自然と会話が弾みます。そういった経験は、きっと次の作業へのモチベーションに繋がっているのではないでしょうか。

日々の作業では黙々と餃子を作っている方でも、試食の時間になると笑顔で感想を話してくれる。そんな姿を見ると、商品を作ることの楽しさや完成品を味わう喜びを、利用者さんと一緒に共有できているんだなと実感します。これからもより多くの方に「幸せ餃子」を味わっていただきながら、利用者さんの自信と誇りにつながる支援を続けていきたいと思います。

ー2階での軽作業における品質管理には、どのような工夫をされていますか?

2階では主にボールペンの組み立てなど、一般企業からいただく内職的な作業を行っています。これらの作業では、一般企業と同じ品質基準が求められますので、利用者さんの作業をしっかりとフォローしています。

例えば、作業工程を細かく分解し、一つひとつの工程を丁寧に説明することもそうですし、時にはそれぞれの得意な作業に特化してもらうこともあります。その他にも視覚的な手順書を作成したり、チェックリストを活用したりと、一人でも多くの利用者さんが作業に入れるよう、工夫は欠かせません。

一方で、日によっては体調が悪かったり気持ちが不安定になったりすることもありますので、そういった部分にも配慮して作業を進められるよう工夫しています。当然納期はありますが、一人ひとりのペースを大切にしながら、丁寧な作業を心がけています。こうした様々な工夫を重ねることで、高品質な製品作りと利用者さんの成長の両立を目指しています。

3.働きやすい職場環境づくりのために

ー職場の雰囲気はどのようなものでしょうか?

現在の職員構成は、30代後半から50代のベテラン職員が中心ですが、近々20代の女性職員も加わる予定で、より活気のある職場になることを期待しています。作業パートさんは40代から60代の方が多く、特に育児が一段落した世代の方々が活躍されています。

施設の規模が小さいこともあって、職員同士のコミュニケーションは良好です。日々の引き継ぎや情報共有もスムーズで、困ったことがあればすぐに相談できる環境です。経験豊富な職員が多いため、落ち着いた雰囲気の中で働けると思います。

ー職員の研修体制についてお聞かせください。

法人全体で充実した研修制度を設けており、新任研修では法人の理念や福祉の基礎を学ぶことができます。また、階層別の研修もあり、経験年数や役職に応じた学びの機会を提供しています。

外部研修への参加も推奨していて、職員の興味や課題に応じて、様々な研修に参加できる環境を整えています。定期的な面談などで個々の課題や目標について上司と話し合う機会があるなど、キャリアアップをサポートする体制には自信があります。

ー福祉未経験の方でも問題ないのでしょうか?

はい。未経験の方でも安心して働いていただけます。福祉の仕事に興味はあるけれど、餃子作りは想像していなかったという方もいらっしゃるかもしれません。でも、これは単なる餃子作りではありません。

利用者さんと一緒に商品を作り、それが売上につながり、その収入が利用者さんの工賃となって、生活の豊かさにつながっていく。その過程全体が支援なのです。直接的な介助だけが福祉の仕事ではありません。様々な形で利用者さんの自立と成長を支えることができるお仕事です。

ー仕事と家庭の両立についてはいかがでしょうか?

シフト制での勤務となりますが、可能な限り希望を考慮しています。育児や介護などの家庭事情がある方も活躍していますので、安心してください。こうした働きやすさは当施設だけではなく、法人全体として力を入れている点です。

また、福祉の仕事は体力的な負担も気になる点かもしれません。当施設では適切な人員配置を心がけ、一人ひとりの負担が過度にならないよう配慮しています。休みだけでなく、ちゃんと休憩に入れることや無駄な残業が少ないことなども、長く働いてくれる職員が多い理由の一つではないでしょうか。

ー最後に、求職者の方へメッセージをお願いします。

法人の理念である「その人を心で受けて、心で応える」という言葉は、私たちの支援の根幹です。私たちは経験の有無に関わらず、利用者さんに寄り添う気持ちを大切にできる方を求めています。

商品を作ることは確かに大切ですが、それ以上に大切なのは、一人ひとりの利用者さんの成長を支えることです。日々の作業を通じて、利用者さんが新しいことができるようになり、自信を持てるようになる。そんな場面に立ち会える喜びは、この仕事ならではの魅力です。

餃子づくりという特殊な業務内容かもしれませんが、その先にある「支援」という本質は、他の福祉の仕事と変わりません。むしろ、商品という形のある成果が見えることで、支援の手応えを感じやすい職場かもしれません。

未経験の方も、ベテランの方も、私たちと一緒に利用者さんの可能性を広げていきませんか。明るく温かい職場で、皆さまをお待ちしています。


セカンドラボ株式会社

URL:https://note.com/2ndlabo/n/nf2f063102266

神奈川県鎌倉市生まれ。2019年4月にセカンドラボ株式会社に入社。
2025年1月にコンテンツチームのリーダーに就任。
統計資料に基づく分析や求人作成の知識・経験を活かした記事づくりが得意です。
休日は所属するオーケストラでの活動や登山、旅行とアクティブに過ごしています。

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