地域に密着した4つの小児科クリニックを運営。子どもたちの成長に寄り添い、安心して子育てができる社会を目指す|医療法人社団咲優会
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医療法人社団咲優会は、「どんなことでも相談できる」をモットーに、地域の子どもたちや家族に寄り添う小児科クリニックを運営しています。現在は、東京都内に3か所、神奈川県川崎市に1か所の計4つのクリニックを展開中です。
今回は、咲優会の池田理事長と、西府すこやかこどもクリニックの看護師・平松さん、小伝馬町こどもクリニックの医療事務・磯崎さんの3人を取材。地域の小児医療への思いや職場の魅力などについて深掘りしました。
目次
1.病院で「待つ」のではなく、人々の近くに「いる」スタイルへ

-お子さんや保護者の方と接する上で大切にしていることや、お仕事の中で努力していることは何ですか?
池田理事長:
大切にしているのは、患者さんを子ども扱いせずに個人として尊重する姿勢です。例えば、患者さんの年齢に関わらず、ていねいな言葉遣いを心がけています。
検査に痛みを伴う場合でも、「痛くないからね」などと誤魔化さず、「〇〇という理由で痛いかもしれないけど、大切なことだから頑張りましょう」という伝え方をします。保護者の方からは驚かれることもありますが、小さいお子さんでも泣かずに検査を終えられることも多いんですよ。
また、患者さんや保護者のお話に最後まで耳を傾けることも大切です。困っている患者さんが置き去りにならないよう、患者さんが安心できているかを常に念頭に置いています。
平松さん:
「患者さん第一」を意識しています。努力している点は、自分から進んで勉強し、情報をアップデートすることですね。クリニックは病院に比べて多岐にわたる業務をこなす必要があるため、自分からどんどん学ばないといけないと感じます。
磯崎さん:
私は日ごろの業務が当たり前の作業にならないよう注意しています。慣れが出てくると、どうしても作業をこなすように仕事してしまいしがちです。でも、私たち事務スタッフは、受付で患者さんを出迎えてお見送りするのが大切な役目。患者さんの顔色をしっかりと見ながら対応するなど、人としての温かさを忘れないように気をつけています。
-池田理事長はもともと、救急救命センターなどで小児救急医療に携わっていらっしゃったそうですね。どのような背景があり、開業医を目指したのでしょうか?
池田理事長:
2011年の東日本大震災の後、東京都の医療チームとして宮城県気仙沼市に派遣されたのが大きな転機でした。
現地の総合病院には人も物資もそろっているのに、患者さんが交通手段を持たないために病院に来られず、必要な医療を受けられない現状を目の当たりにしたんです。瓦礫だらけの道路を民間の救急車でなんとか移動して避難所を訪れると、そこには日常的な感染症や喘息などの慢性疾患で苦しむ患者さんがたくさんいました。
それまでは、大きな病院や医療センターで患者さんを待つスタイルで働いていました。しかしこの時から、もっと地域の方々のそばにいて、日常的な病気を早めに治して安心してもらうことが自分の役割なのではないかと感じるようになったんです。
東京に戻ってからは即行動。当時の上長に意向を伝え、半年ほどでキャリアチェンジしました。最初の5年間は小児科クリニックの管理医師として経験を積み、2018年に独立開業したという経緯です。
-平松さんと磯崎さんは、どのようなきっかけで現在の職場に入りましたか?
平松さん:
私はもともと病院の小児科病棟で勤務していましたが、コロナ禍の時期に転職を決めました。
当時、大人の間では新型コロナが流行していましたが、子どもたちの感染は少なかったんですよね。そのため、病院の患者さんも激減。患者さんを待つことしかできない中、地域の子どもたちは本当に大丈夫なんだろうか?という気持ちが芽生えたんです。
それまで小児救急やNICUなどに関わる仕事は経験してきましたが、地域に密着した小児医療については何も知らず……。それを一から勉強したいと考え、思い切って転職を決意しました。
磯崎さん:
私は無資格でも応募可能で、未経験でも歓迎している点に背中を押されました。また、受付業務だけでなく、診察の介助や電子カルテの入力補助など、幅広い業務が経験できるところにも興味を持ちました。
2.困った時にはグループ全体でカバーし合う体制も

-皆さんから見て、職場の雰囲気はいかがでしょうか?
池田理事長:
全体的に仲が良く、職種を越えたコミュニケーションもしやすいと思います。業務中に問題が起きた場合も、早い段階で話し合って解決策を考えるチームワークがあって頼もしいですね。
スタッフの年齢層は20代を中心に、50代前半まで活躍中です。休憩時間には、年齢問わず会話を楽しんでいますよ。もちろん、1人でゆっくり休みたい人のこともきちんと尊重します。
平松さん:
和気あいあいとしていますよね。法人内の全スタッフが顔を合わせる機会も多く、所属は違えどお互いのことがよく見えるのも特徴だと思います。
磯崎さん:
「ありがとう」という言葉が多い職場だと思いました。日ごろの業務の中でも、お互いに感謝や敬意を伝える場面が多く、良い雰囲気だな、と感じています。
-スタッフが働きやすい環境づくりのために力を入れている点はありますか?
池田理事長:
スタッフの自主性を重んじ、多くの意思決定を現場の裁量にゆだねています。患者さんの受け入れに関することから院内の飾りつけまで、チャレンジしたいことがあれば積極的に応援していますよ。業務に役立つ備品などもどんどん取り入れています。
また、法人内の全スタッフが参加する研修も定期的に開いているため、クリニック間の交流もさかんです。スタッフの急な休みで人手が足りない場合、他のクリニックのスタッフが応援に来てくれることもありますよ。
-ちなみに、全てのスタッフが参加する研修ではどのようなことをするのでしょうか?
池田理事長:
月に1回、レクリエーションなどを通してビジネスマインドを身につけています。スタッフのチームワークや仕事へのモチベーションを高めるため、2023年から取り組み始めました。結果的に、スタッフたちの働くことへの意欲がより一層強くなったように感じています。

-平松さんや磯崎さんが、スタッフ目線で「働きやすい」と感じるところは何ですか?
平松さん:
規模がそこまで大きくないため、意思決定から実行までがスピーディーでありがたいですね。現場の意見もしっかり聞いてくれるので、自分たちで改善策を考えながら環境を変えていけるのがやりやすいと感じます。
磯崎さん:
理事長からも説明がありましたが、体調不良などで急な欠勤があった場合に、グループ全体で助け合えるのが働きやすさにつながっていると思います。
-新しく入ったスタッフに対し、どのようなフォロー体制があるか教えてください。
平松さん:
看護師の場合、月に1回ほどのペースで面談を開いています。小児の看護技術に関するマニュアルをもとに目標を立てながら、疑問点や不安点をフォローします。独り立ちする時期は人それぞれですが、おおむね半年が目安です。
磯崎さん:
事務スタッフの場合は、半年ほどOJTで研修します。私自身、未経験からのスタートだったので、初めは右も左も分からない状態でした。業務中は先輩が一緒についてサポートしてくれたため、とても助かったのを覚えています。
また、正式な採用が決まる前に、2日間ほど職場体験ができたのもありがたかったですね。職場の雰囲気も肌で感じられたので、働く姿がイメージしやすかったです。
3.地域の人々の「心のよりどころ」を目指して

-今後、地域の中でどのようなクリニックを目指していますか?
池田理事長:
地域の子どもたちや保護者の「心のよりどころ」でしょうか。子どもたちの成長や保護者の安心を支え、次の子どもを産んでみたいという気持ちを後押しできるような存在になれたらうれしいです。
そのために、今後も関わってくれた地域の皆さんをどれだけ幸せにできるかを軸に活動を続けていきます。先行きが見通せず、課題も多い世の中ですが、そのような状況でも私たちのような組織が成長し、活躍できることを証明していきたいですね。
-平松さんや磯崎さんは、地域に密着したクリニックだからこその魅力は何だと思いますか?
平松さん:
子どもたちの成長発達の様子を見守れるのがクリニックの良さではないでしょうか。初めは診察が嫌で泣いていた子が、何度か来院するうちに泣かずに受診できるようになり、帰る時には「バイバイ」と言ってくれるようになるのを見ると、こちらもうれしくなりますね。
また、初めての予防接種の時などは、保護者の方も不安そうにしているんです。それでも回数を重ねるうちに、少しずついろいろなお話をしてくれるようになる様子を見ると、私たちも元気をもらえます。
磯崎さん:
私も同じく、家族の小さな成長の機会に携われるのがすごく魅力的だと感じています。いつも泣いていた子が笑顔で帰れるようになった時などは、本当に心が温まりますよ。
-最後に、皆さんはどんな人と一緒に働きたいですか?
平松さん:
謙虚で前向きな気持ちで仕事に取り組める人と一緒に働きたいですね。どの職種の場合でも、自分で課題を掘り起こし、目標を決めて行動できる人なら活躍できると思います。
磯崎さん:
チームワークを大切にできる人でしょうか。職種ごとにそれぞれ役割は異なり、どれか一つだけではクリニックの仕事は成り立ちません。それを意識し、協調性を持って動ける人が来てくださるとうれしいです。
池田理事長:
咲優会はさまざまな思いの詰まった組織です。私たちが成長するためには、理念に共感する仲間の存在が欠かせません。
小児医療に関わりたい方はもちろん、社会貢献したい、ビジネスマインドに関心がある、人として成長したいなどの思いがある方と相性がいいと思います。人柄の面では、温和な方や思いやりのある方、チームワークを重視できる方、地域から評価される立場であると意識して仕事に取り組める方だとうれしいですね。
地域の方々、働くスタッフ、そして咲優会という組織の3つが幸せな状態が、私たちの目指す姿。この考え方に共感してもらえる方がいれば、ぜひチームに加わっていただきたいです。