【看護師求人の見方と比べ方】その「高給与」罠かも?ブラックを見抜く裏読み術
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「条件は良いと思ったのに、入職したら全然違った……」
そんな後悔をしないために、まず一つの真実をお伝えします。
求人票は、マッチングアプリの「プロフィール」と同じです。
誰だって、良く見られたい相手に「自分のダメなところ」は書きません。 だからこそ、本当に見るべきは「書かれていない部分」です。
そこにこそ、ボーナスの少なさや、古い体質といった職場のホントが隠されています。職場選びで失敗しないための「求人票の裏読み術」を公開します。
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目次
なぜ求人票で失敗する?「書いていないこと」が重要な理由
まず大前提として、求人票は「広告」です。
募集を行う事業所は、自分たちの良い所(高い給与など)は積極的にアピールしますが、悪い所(年間休日の少なさなど)は基本的に隠したいと考えます。求人票として記載が必須な部分以外では、悪い部分は極力「書かない」ようにします。
これは自然なことで、誰だって短所には目をつぶってもらい長所を認めて欲しいと考えるものだと思います。
なので、失敗しないためには、「書いてあること」だけを見るのではなく、「なぜここは書かれていないの?」と書かれていない部分に注目するのがポイントです。
スカウトサービス登録はこちら【給与の罠】「総支給額」だけの高収入求人のカラクリ
「看護師月給40万円!」。求人検索をしていて、相場より明らかに高い給与額を見ると心が躍りますよね。ですが、総支給額やモデル月給だけで、基本給や諸手当の内訳が書かれていない場合は注意が必要です。
「手当」でカサ増しされていないか?
「月給40万円(一律手当含む)」とある場合、その内訳が重要です。実は基本給が16万円程度で、残りは「夜勤手当(多めの回数設定)」や「みなし残業代」、あるいは業績次第でカットされる「調整手当」で構成されているケースがあります。
ここで怖いのが、ボーナスや退職金、残業代は「基本給」をベースに計算されることが多いという点です。 たとえ月の総支給額が高くても、基本給が低ければ、年収トータルで見ると「あれ、思ったより低い……」と後悔することになります。
「固定残業代」が含まれていないか?
高給与に見えても、「固定残業代(みなし残業)」が含まれているなら要注意です。 もし「40時間分の固定残業代込み」であれば、どれだけ残業しても40時間を超えるまでは1円も給料が増えません。
固定残業代を含める場合、「何時間分でいくらなのか」を明記することが法律で決まっています。 ハローワークや大手求人サイトなら審査があるので安心ですが、病院が独自に出している「自社ホームページ」の求人は要注意。担当者の知識不足で、重要な記載が漏れている(知らずに固定残業制になっている)ケースがあります。
「基本給の記載なし + 賞与4.0ヶ月」のマジック
これは筆者の経験上、精神科病院などの求人に多い例です。 「賞与実績4.0ヶ月以上!」と書かれていると魅力的に映りますが、実は基本給が15万円程度と極端に低いことがあります。
「15万 × 4.0ヶ月 = 60万」と「25万 × 3.0ヶ月 = 75万」。 倍率が高くても、元となる基本給が低ければ負けてしまいます。求人票を見るときは、「賞与実績と基本給はセット」で考えましょう。
※まれに「基本給+資格手当」を賞与の算定基準にしてくれる良心的な事業所もありますが、あくまで例外として覚えておきましょう。
【休日の罠】年間休日の記載が無い=「言いたくない理由」がある
給与と同じくらい大切なのが「休日」ですが、ここにも大きな罠があります。ズバリ言いますが、「年間休日数」がはっきり書かれていない求人は、休みが少ない可能性が極めて高いです。
これは単純に書き忘れているのではなく、「書くと他の求人と比較されて不利になるから(少ないから)あえて書かない」のです。
ハローワークは「記載必須」。数字をごまかせない
休日数のチェックは、ハローワークの求人票が最強です。ハローワークのシステムでは、「年間休日数」は入力必須項目。ここを空欄にすると求人を受け付けてもらえないため、必ず具体的な数字(例:105日、120日など)が記載されています。
民間の求人サイトにある「抜け穴」
一方で、民間の求人サイトや病院の自社ホームページでは、具体的な日数を伏せることができてしまいます。
法律(職業安定法)では、「休日の決まり方」さえ書けばOKとされています。つまり、「4週8休制」「シフト制(月9日休み)」といった休み方のルールさえ書いておけば、年間休日数の合計は書かなくても法律的にセーフなのです。
なので年間休日数が少ない(他より見栄えが悪い)場合は、あえて合計日数を書かずに「シフト制」とだけ記載して濁すことがよくあります。
【実話】あえて書かないのは「リスク回避」のため?
これは筆者が実際に担当した、ある病院でのケースです。 その職場はカレンダーによって年間休日が「118日~122日」と変動するものの、比較的休みが多いホワイトな環境でした。
「今年は122日もあるので、数字を出してアピールしましょう!」 そう提案したのですが、採用担当者の返答は意外にも「NO」でした。
【採用担当者に言われた理由】
「ネット上の情報は、いろいろな求人サイトに勝手にコピーされて広がってしまいますよね。
もし来年、カレンダーの都合で休日数が変わっても、よそにコピーされた古い情報までは修正できませんよね?
『あのサイトには122日と書いてあったのに!』というトラブルを防ぐために、あえて具体的な数字は書かないようにしているんです」
つまり、隠したいのではなく、「情報の独り歩き」を防ぐための防衛策として伏せているケースもあるのです。
とはいえ、求職者側からすれば「数字が見えない」ことに変わりはありません。理由はどうあれ、記載がない場合は必ず面接等で最新の数字を確認するようにしましょう。
【環境の罠】その「アットホーム」、本当に働きやすい?
求人広告には、応募したくなるような「ポジティブな言葉」が並んでいます。 でも、その言葉は別の意味(リスク)を持っているかもしれません。よくあるフレーズに隠れた背景を裏読みしてみましょう。
「アットホームな職場です」
これ、一番よく見かけますよね。本当に仲が良い職場もありますが、注意すべきは以下の2点です。
- 他にアピールできる強みがない:給与や休日数、福利厚生や教育制度など自信を持っている部分があれば、それを一番に書くはずです。「雰囲気」を推しているということは、待遇面が相場より低い可能性が高いです。
- 人間関係が濃密すぎる:「家族」のような付き合いを求められ、プライベートの境界線がなかったり、公私混同が当たり前だったりします。
働くスタッフが「アットホームだな」と感じることがあっても、事業所側が自分で「うちはアットホームです」と言い切ることには違和感があります。客観的な事実(待遇)で勝負できない裏返しとも取れるので、文面通りに受け取るのはおすすめしません。
「先輩スタッフがマンツーマンで指導します」
未経験者には心強い言葉ですが、実は「教育マニュアルや研修カリキュラムがない(OJTのみ)」ことの言い換えである場合があります。
- 教える人によって言うことが違う:組織としてのルールが決まっていないため、「A先輩とB先輩でやり方が違う」という理不尽に振り回されがちです。
- 相性の問題:「マンツーマン」は逃げ場がありません。もし指導係の先輩と相性が悪かった場合、相談できる相手がおらず孤立してしまいます。
教育体制が整っている病院は「クリニカルラダー」や「院内研修」など、制度(システム)をアピールします。 「マンツーマン」や「先輩が優しく教えます」といった人(属人)に頼る表現は、「現場に丸投げ」のサインかもしれません。
「経験不問」の募集
ブランクがある方や経験が浅い方には魅力的な響きですが、これは「誰でもいいから来てほしい」という現場の悲鳴かもしれません。特に注意すべきは以下の2つのリスクです。
- 教育する余裕がない:「経験不問」なのに教育制度の記載がない場合は要注意です。特に指導を受けることなく、現場に放り込まれる危険大です。
- スキルアップできない:「高度な医療処置がない(=経験が要らない)」という意味の場合、業務が単調で看護師としてのキャリアが止まってしまう可能性があります。
「経験不問」が全て悪いわけではありません。「なぜ経験がなくても大丈夫なのか?」という理由(背景)を確認しましょう。
◯ 良い例:「教育カリキュラムが充実していて、イチから育てられるから」
× 悪い例:「とにかく頭数が欲しいから」「誰にでもできる単純作業だから」
迷ったときの「求人比較チェックリスト」
「A病院も条件が良いけど、Bクリニックも捨てがたい……」 そんなふうに迷ってしまうこと、ありますよね。
頭の中だけで悩んでいると、つい「雰囲気」や「家からの近さ」といった感覚的な部分だけで決めてしまいがちです。後悔しないために、候補の求人を横並びにして冷静に比較してみましょう。
| 項目 | チェックポイント | あなたの希望(例) |
|---|---|---|
| 給与 | 総支給額だけでなく「基本給」はいくらか? (賞与・退職金のベースになるため) |
生活費を考えると〇万円は必須 |
| 賞与 | 「年2回」だけでなく「実績〇ヶ月」か? (算定基準は基本給か?) |
年収ベースで〇〇万円欲しい |
| 休日 | 「年間休日数」は明記されているか? (120日あれば土日祝分休み) |
趣味のために月〇日は休みが必要 |
| 残業 | 「固定残業代」が含まれていないか? (月平均残業時間の目安は?) |
残業で稼ぎたい or 定時で帰りたい |
| 通勤 | ドアtoドアの時間は? (車の通勤ラッシュは問題ないか?) |
片道30分以内、車通勤OKなど |
| 教育 | 「制度(ラダー等)」か「人(OJT)」か? (放置されるリスクはないか?) |
ブランクがあるから研修は必須 |
まずは「あなたの希望」欄を埋めてみてください。 その上で、候補の求人票を見比べていきます。もし求人票に書いていない項目(例えば「基本給の内訳」や「年間休日数」など)があれば、そこがあなたの「確認すべき質問事項」になります。分からないまま入職せず、面接や見学を通じてクリアにしてから決断しましょう。
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- 「この求人は基本給もしっかり書いてあるな」
- 「ここは休日数が書かれてないな、もしかすると少ないかも」
この記事で紹介した「裏読み」の視点を持って探せば、今まで見えなかったものが見えてくるはずです。気軽にどんな求人があるのか探してみてください!
まとめ:最後は「自分の目」で職場を見極める
ここまで、求人票の裏読みテクニックを紹介してきました。
「総支給額」ではなく「基本給」を見る、「年間休日」の記載がない理由を疑う、そして「アットホーム」などの甘い言葉の裏側を推測する……。これらの視点を持つだけで、ブラックな職場を引き当てるリスクはグッと減らせるはずです。
紙や画面の情報には「限界」がある
しかし、あくまで求人票は「文字情報」に過ぎません。 裏読みテクニックで「危ない職場」を避けることはできても、「本当に自分に合うか」の最終判断までは、紙や画面の情報だけでは不可能です。
迷ったら「現地」へ行こう
だからこそ、気になる求人があったら、まずは面接や見学に行き、「自分の目と肌」で確かめてみてください。その際は、以下のポイントをこっそりチェックしてみましょう。
- すれ違うスタッフの表情:挨拶はありますか? 目が死んでいませんか?
- ナースステーションの整理整頓:カルテや物品が散乱していませんか?(余裕のなさはデスクに表れます)
- 患者さんの様子:患者さんが穏やかに過ごせている職場は、看護師にとっても働きやすい環境であることが多いです。
最後は自分の足で確かめに行くことが、後悔しない転職の近道です。あなたらしく輝ける職場が見つかることを、心から応援しています!
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