ICU看護師になる方法｜新卒で配属される？仕事はきつい？向いている人の特徴とは

スカウトサービス登録はこちら

ICU看護師の役割と仕事内容

ICUとは何かをおさらいし、具体的な役割と仕事内容を紹介します。

ICU（集中治療室）とは？HCUやCCUと何が違う？

ICU（集中治療室）は、生命の危機に陥った重篤な患者さんに対して、24時間体制で集中的に治療を行う場です。以下のような疾患や症状が対象です。

• 大手術（心臓、脳など）の直後で、厳重な全身管理が必要な患者
• 心肺停止蘇生後の患者
• 重症肺炎、敗血症
• 急性心不全、重度の呼吸不全、意識障害

ICUとその他の治療室（HCUやCCU）の違いは、重症度と専門性です。表にまとめました。

略称	名称	対象となる患者
ICU	集中治療室 (Intensive Care Unit)	内科・外科を問わず、重篤な状態にあるすべての患者
HCU	高度治療室 (High Care Unit)	ICUほどではないが、一般病棟よりも集中的な管理が必要な患者（ICUと一般病棟の中間）
CCU	冠動脈疾患集中治療室 (Coronary Care Unit)	主に心筋梗塞や重症心不全など、循環器疾患に特化した重篤な患者
SCU	脳卒中集中治療室 (Stroke Care Unit)	脳梗塞やくも膜下出血など、脳卒中を急性発症した重篤な患者
NICU	新生児集中治療室 (Neonatal Intensive Care Unit)	新生児で特に重篤な状態にある患者

ICU看護師の4つの主要な役割と仕事内容

ICU看護師の仕事は、全身状態の管理と高度な医療機器の操作、そして精神的なサポートの3つの柱で成り立っています。

これがICU看護師の最も重要な役割です。2時間ごと、あるいはそれ以上に頻繫に行うバイタルサイン測定や生体情報モニターの常時監視など、あらゆる情報を注意深く観察・管理します。また、モニターの数値だけでなく、患者さんの表情、皮膚の色、呼吸の仕方、尿量、意識レベルなど、全身のわずかな変化を観察し、急変の兆候を早期に発見します。

このわずかな変化に気づき、命を守れた時こそ、ICU看護師最大のやりがいを感じる瞬間です。

生命維持装置の操作と安全管理も重要です。人工呼吸器やECMO（体外式膜型人工肺）、PCPS（経皮的心肺補助装置）などを扱います。導入や設定にはME（臨床工学技士）が関わりますが、日常的な操作は看護師の仕事です。

重症で自力で動けない患者のQOL（生活の質）の維持と合併症の予防を行います。具体的には清拭や口腔ケア、褥瘡予防の体位変換や体圧分散などです。また、患者のサーカディアンリズム（昼夜の生活リズム）の調整を行い、せん妄や夜間の不穏を予防します。昼間は意識的にカーテンを開け日光を浴びせ覚醒を促し、夜間は安眠環境を整えます。

突然の入院や重篤な病状により、動揺し、強い不安を抱えるご家族への精神的なサポートも重要な役割です。ICUには面会時間や入室に制限が設けられています。患者の状態を理解しやすい言葉で説明し不安の軽減に努めます。

ICU看護師の１日のスケジュール

日勤の1日のスケジュールは以下のとおりです。

7：30	情報収集・申し送り
8：30	巡回（点滴の確認など）
9：00	ケア（更衣や処置、検査など）
11：00	転棟準備
12：00	お昼休憩
13：00	巡回・午前中のケアの続き
16：00	申し送り・記録
17：30	業務終了

日勤の場合は巡回やケアの提供が主な仕事内容です。容態が安定してきた患者さんの転棟準備を行うこともあります。

夜勤の場合のスケジュールは以下のとおりです。

17：00	情報収集・申し送り
18：00	巡回（就寝前の準備など）
20：00	体位変換、モニターチェックなど
22：00	巡回（モニターチェックや体位変換など）
0：00	交代制で休憩
2：00	巡回（体位変換や陰部洗浄など）
5：00	経管栄養や口腔ケアなど
7：00	モーニングケア
8：30	申し送り・記録・業務終了

日勤と同様に夜勤の仕事も多岐にわたります。夜間は患者さんの容態が急変した場合や救急患者さんの受け入れが発生した場合は忙しくなり、休憩や仮眠を取れないことも少なくありません。

スカウトサービス登録はこちら

ICU看護師の給料は高い？年収・特殊手当の目安

ICUでの勤務は肉体的・精神的な負担が大きい分、給与水準も高い傾向にあります。公的データに基づき算出したICU看護師の推定年収と、年収を押し上げる2つの手当について解説します。

結論：ICU看護師の推定平均年収は約540万円～560万円

「ICU看護師」に限定した公的な統計データはありませんが、夜勤回数や特殊業務手当の支給状況から、一般的な看護師の年収よりも高くなると推定されます。

看護師全体の平均年収は519.7万円です（厚生労働省「令和６年賃金構造基本統計調査」より）。比較して、年間20万円～40万円程度年収が高くなる傾向があると言えるでしょう。

特殊業務手当が支給される（年間12万円〜30万円の差）

ICU看護師には、高い精神的な負担や不慮の事故リスクが伴う現場で働くことに対する「特殊業務手当」が支給される傾向があります。職場によって特殊勤務手当や危険手当と呼ばれることもあります。

• 相場目安：月1万円〜2.5万円程度
• 年収換算:：年間12万円～30万円程度

他の病棟よりも夜勤回数が多い（年間約11万円の差）

24時間体制で厳重な管理が求められるICUでは、他の病棟よりも夜勤回数が多くなりがちです。

日本医療労働組合連合会「2024年度夜勤実態調査」によると、ICU看護師は他の病棟よりも夜勤回数が多く、特に3交替夜勤では「月に9日以上」、2交替夜勤では「月に4.5回以上」と回答した割合が高いです。

日本看護協会「2023年病院看護実態調査」に基づくと、夜勤手当の平均額は以下の通りです。

勤務形態	平均夜勤手当（1回あたり）
2交代制	11,368円
3交代制（準夜）	4,234円
3交代制（深夜）	5,199円

ICU勤務により3交替夜勤が月2回（深夜1回、準夜1回）多くなった場合、月間約9,433円、年間では約11.3万円給与が高くなる計算となります。

スカウトサービス登録はこちら

「ICU＝きつい、大変」は本当なのか？

「ICUはきつい」という評判は、残念ながら事実です。看護師として高いレベルのスキルが求められる側面と、人間関係の両面から「きつい」という声が多くあります。具体的に何がきついのか3つ紹介します。

急変リスクが常に高い環境でのプレッシャー

患者の容態がいつ急変するかわからず、自分のわずかなミスが直接命に関わるため、常に極度の集中力と緊張感が求められます。

ICU看護師には高い集中力と幅広い知見・技術、判断力などが求められます。やりがいも大きいですが、常にプレッシャーもあることは理解しておきましょう。

高度な知識・技術を求められる

ICU看護師は、補助循環装置や人工透析など高度な医療機器を操作・管理するため、高い知識や技術が求められます。また、外科・内科問わずさまざまな疾患の患者さんを受け入れるICUには、幅広い知識も必要です。

そのため、特定の疾患について学習すればいいわけではなく、患者さんに合わせて知識量を増やしていく柔軟性も求められます。学習範囲が広く高度な知識と技術を求められる点は、大変に感じるでしょう。

夜勤・残業が多くて肉体的に大変

ICUは一般病棟よりも夜勤回数が多くなりがちです。夜勤回数が多くなれば、生活リズムも乱れやすくなるため、体力的・精神的に辛いと感じる方も少なくありません。

患者さんの容態の急変や救急患者さんの受け入れなどが起これば、残業になる場合もあります。

スカウトサービス登録はこちら

ICU看護師に向いている人の特徴

「ICUで働きたい！」と思っても、仕事には向き不向きがあり、自分に適正があるかを把握しておくことは大切です。ここでは、ICU看護師に向いている人の特徴を解説します。

緊急時に冷静な判断ができる

切迫した状況でも冷静な判断で対応できる人は、ICU看護師に向いている人の特徴の一つです。ICUの患者さんは重篤な場合が多く、少しのミスで命に関わるため、常にプレッシャーがあります。

このプレッシャーの中、患者さんの容態が急変することがあっても冷静に対応しなければなりません。担当の患者さんだけでなく、チーム全体を見ながら判断・行動できる方も向いている人の特徴と言えるでしょう。

観察力・洞察力が高い

ICU看護師は患者さんの小さな変化に気づくことで、状態異常の早期発見につながります。そのため、重篤な患者さんが多いICUでは、観察力・洞察力の高さが必要です。

モニターの数値を観察するだけでなく、患者さんの小さな変化にも気づける看護師はICUでも活躍できるでしょう。

協調性がある

看護のどの現場でも協調性が求められますが、ICUでは特に重要です。ICUでは医師や看護師以外にも、臨床工学技士などさまざまな職種の方と連携しながら業務を行います。

患者さんの容態が急変しても、チーム全体が協力して治療にあたらなければなりません。協調性を持ってどのような立場の人とも円滑なコミュニケーションを取れる方は、ICU看護師に向いています。

データ分析が得意

ICUでは、患者さんの状態異常に早期に気づけるかが重要になります。心電図や人工呼吸器などの医療機器や、診察記録などのデータを統合してアセスメントしなければなりません。

また、データだけでなく患者さんの状態も五感を使いながら、データを整理する必要があります。これらのデータを分析して、必要なケアを提供できる人はICU看護師に向いているでしょう。

一方でこんな人には向いていないかも…

逆にICU看護師に向いていない人の特徴も2つ挙げておきます。看護観と仕事観についてです。

患者と深く関わりたい

患者さんと深く関わりながら信頼関係を構築したい方には、ICUの仕事は向いていないかもしれません。

ICUでは容態が不安定な方が多く、会話ができないケースもあります。患者さんとじっくりコミュニケーションをとって看護を提供したい方からすると、不満に感じられるかもしれません。たとえ患者さんの状態が回復しても、一般病棟に転棟してしまうため、一人ひとりに向き合うことが難しいといえます。

仕事よりプライベート重視

ICUでの勤務は、一般病棟よりも夜勤や残業が多くなりがちです。仕事とプライベートのバランスを重視する方は、向いていないといえます。

また、外科・内科問わず幅広い疾患の患者さんを受け入れるため、覚えなければならない知識・技術も膨大です。近年は医療技術の進歩もあり、常に勉強していく姿勢が求められます。

プライベートの時間を削ってでも学習しなければならないこともあるでしょう。そのため、仕事よりもプライベートを重視する方には、ICUの勤務が辛いかもしれません。

スカウトサービス登録はこちら

ICU看護師になる方法と求人探しのポイント

新卒と中途で分けて、ICU看護師になるための方法について紹介していきます。

【新卒編】ICUへの新人配属は実際ある！ただ多くない

新卒看護師がICUに配属されることはあります。ですが、決して多くはありません。

具体的にどんな病院で配属があるのか、病院のSNSやHPの看護部ブログを読み漁り、一部をまとめてみました。大学病院や赤十字病院など、規模の大きい病院では複数名の配属がある一方、民間の医療法人になると、限定的になります。

• 昭和大学病院：インスタグラムで新人看護師8名の配属を紹介
• 横浜市立みなと赤十字病院：5名の配属を看護部ブログで紹介
• 東京ベイ・浦安市川医療センター：ICU新人看護師2人の成長をブログで紹介
• 札幌東徳洲会病院：久しぶりにICUに新人看護師が配属されたという内容を紹介

志望先の病院で、ICUへの新人配属があるかは、上で挙げたようにSNSや看護部ブログから情報収集ができます。新卒でICU看護師になるには「病院選び」が最重要だと言えるでしょう。

【中途編】ICUへの転職を有利にする資格・経験とは

ICU看護師になるうえで必須の資格は看護師免許だけですが、以下のような資格を取っておくと有利に働く可能性があります。

BLS（一次救命処置）	AEDや薬品などを使わずに行う救命処置
ACLS（二次心肺蘇生法）	医師や救命救急士が行う高度な救命処置
JPTEC（病院前外傷教育プログラム）	救急隊員などが受けるプログラム
認定看護師	特定の分野で高い水準の看護を実践できる看護師
3学会合同呼吸療法認定士	呼吸療法に関して専門的な知識と技術を有する看護師

経験としては急性期病棟での実務経験が多くの場合求められます。実際の求人で、応募要件として「急性期病棟経験3年以上」が設定されているケースがありました。経験の中身については、人工呼吸器やシリンジポンプを使用している重症患者の看護経験など、ICUでの仕事内容に直結するものがあると望ましいです。

ICU看護師の求人の探し方と注意点

求人サイトを利用する場合は、特徴・条件「ICU系」から求人を検索できます。ただ、HCUやNICUなどもICU系に含まれるので、その病院が本当にICUを有しているか注意が必要です。稀にHCUを院内の呼称でICUと呼ぶ病院もあります。

募集の仕方では、ICU単体の募集はレアです。病棟看護師として一括募集、外来・病棟の部署問わず一括募集、HCUと同時募集といったケースが見られます。一括募集の場合、ICUが充足していても求人が出しっぱなしになることがあるので、応募時に必ず確認する必要があります。

弊社のコメディカルドットコムでは、条件検索で「ICU系」があります。またフリーワード検索で「ICU」で求人を探すことが可能です。掲載中の求人の中には、ICU単体の募集も一部ですがあります。会員登録なしで、無料で求人を探し放題なので、気になった方は是非探してみてください。

スカウトサービス登録はこちら

まとめ

ICUは、重篤な患者さんを24時間体制で最新の医療技術を駆使して治療する場です。そこで働く看護師は、幅広い疾患に対しての知識や技術、高度な医療機器を操作・管理する能力が求められます。

ICU看護師は、スキルアップや年収アップが望めます。一方でプレッシャーが大きく、夜勤や残業が多いので大変な面も多いです。

ICUの勤務が自分に向いているか見極めることが非常に大切です。コメディカルドットコムでは、日本最大級の医療福祉転職サイトとして、多数の求人を取り扱っています。ICU配属の求人もあるので、ぜひ一度仕事内容や条件などをチェックしてみてはいかがでしょうか。