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養護老人ホームをわかりやすく解説!目的や入所条件、特養との違い、費用について

  • 更新日
投稿者:堀内 花音

「養護老人ホームってどんな施設?誰が入るの?」
「特別養護老人ホームと何か違うの?」

こんな疑問はありませんか。今回は養護老人ホームについて徹底解説します!

養護老人ホームの目的と対象者、特別養護老人ホームとの違い、利用の流れや費用など、知っておきたい知識を丸ごとわかりやすく説明します。表や具体例を用いて、イメージしやすいように工夫しています。

利用を検討している方はもちろん、働いてみたいと考える方にもきっと参考になるので、是非最後までお付き合いください。

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養護老人ホームとは?キーワードは「自立支援」

養護老人ホームとは、経済的な理由などで自宅で暮らすのが難しい高齢者を受け入れて、社会復帰を支援する施設です。「養護」という言葉は、「養育」と「保護」を指します。困っている高齢者を保護して、自立できるように養育する(サポートする)というイメージです。

実は介護施設ではありません!

勘違いされやすいですが、養護老人ホームは介護施設ではありません。養護老人ホームの目的は、生活面で困難を抱える高齢者を支え、社会復帰を支援することです。食事や健康管理、社会復帰支援に関わるサービスは提供していますが、基本的に介護サービスは行っていません。

「基本的に」という言葉を使っているのは、例外的に介護サービスを行っている養護老人ホームがあるからです。詳しくは、養護老人ホームのサービス内容で説明します。

原則として65歳以上が対象

養護老人ホームの入所対象者は、原則として65歳以上の高齢者です。要介護状態ではなく自立して生活が送れる方が対象です。介護が必要な場合は、特別養護老人ホームなどの「介護施設」が検討されます。

入所条件は「身体的な自立」と「経済的・環境的な困難」

養護老人ホームへの入所には、主に以下の2つの条件が求められます。

  • 身体的な自立
    日常生活において、身の回りのことを自分でできるなど、身体的に自立していることが前提です。医療行為や常時の介護が必要な場合は対象外となります。
  • 経済的・環境的な困難
    生活保護を受給している、低所得である、住居がない、家庭内での養護が困難であるなど、経済的な問題や生活環境の理由により、自宅で生活することが難しいと判断されることが条件です。

入所は、個人の状況を行政(市町村)が調査し、必要性を認めた場合に「措置」として決定されます。

具体的にどんな人が対象?3つのケース

「自分のことは自分でできるが、自宅で暮らすのが困難」というのは、具体的にどんな状態なのでしょうか?イメージしやすいように例を3つ挙げます。

年金が少なく、住む家を失ってしまったAさん(70代・男性)
  • 若い頃は自営業をしていたが、年金加入期間が短く、受給額がごくわずか。貯蓄もほとんどない。
  • 長年住んでいたアパートが老朽化で取り壊しになり、新たな住まいが見つからない。
  • 身体は比較的元気で、身の回りのことは自分でできる。
身寄りがなく、一人暮らしに不安を感じているBさん(80代・女性)

  • 夫に先立たれ、息子は遠方に住んでいて連絡がほとんどない。
  • 身体は元気だが、万が一自宅で倒れたり、体調を崩したりした際に誰も助けてくれないことへの不安が大きい。
  • 孤独感や精神的な不安が強く、自立した生活が困難になっている。
家族からの虐待を受けているCさん(60代後半・女性)
  • 同居する家族から経済的な搾取や精神的・身体的な虐待を受けている。
  • 自分で身の回りのことはできるが、自宅にいると心身の安全が脅かされてしまう。

これらの例に共通するのは、経済的な困窮や、住居、家族関係といった「環境的な理由」によって、現在の場所で生活を続けることが困難であるという点です。

全国に養護老人ホームはいくつある?

全国に養護老人ホームは約930施設あります。厚生労働省の「令和5年度福祉行政報告例の概況」によると、養護老人ホームの施設数と定員総数は以下のように推移しています。

   
年次 施設数定員総数
2019年 949施設63,016人
2020年 943施設 62,577人
2021年 944施設 62,201人
2022年 930施設 61,040人
2023年 937施設 60,902人

養護老人ホームの施設数は緩やかに減少しています。高齢化が進む中で対象者は増えているように思えますが、近年は要介護度の高い高齢者が増加し、介護が必要な特別養護老人ホーム等への需要が高まっています。

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養護老人ホームと特養は全然違います!

名称が似ていることから間違えられやすいのが、特別養護老人ホーム(特養)です。2つの違いを表にまとめました。

養護老人ホームと特別養護老人ホームの比較
比較項目 養護老人ホーム 特別養護老人ホーム
主な目的 高齢者の保護、社会復帰支援 要介護高齢者への介護提供
対象者 65歳以上・身体的には自立した在宅生活困難者 65歳以上・要介護3以上
費用目安 0~14万円/月(収入による) 8~14万円/月(施設による)
サービス 食事提供、健康管理、社会復帰支援 身体介護、食事・入浴・排泄介助、機能訓練
入所手続 市区町村による「措置」 施設との「契約」
利用期間 一時的 長期的(看取りまで対応)
介護保険 ×(適用外) 〇(適用)
施設数 約930施設 10,000施設以上

養護老人ホームと特別養護老人ホームでは、目的、介護の必要性、費用、利用期間、施設数など多くの点で違いがあります。

養護老人ホームは一時的な措置として入所するケースが多く、入所期間も短期間になることが多い傾向です。これに対し、特別養護老人ホームは社会復帰が難しい要介護の方が中心ですので、最終的には看取りなどを行うこともある施設になります。当然入所期間も長くなる傾向です。

名称は似ている2つの施設ですが、介護の提供を中心としているかどうか、社会復帰が目標か生活支援が目標かという点で、役割が違うといえます。

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養護老人ホームのサービス内容

養護老人ホームで提供されるサービスは、入所者の自立を促し、社会復帰を支援することが中心となっています。具体的なサービス内容は以下の通りです。

  • 食事の提供: 栄養バランスの取れた食事が提供されます。
  • 健康管理: 日常的なバイタルチェックや体調の異変に対する相談・助言が行われます。必要に応じて医療機関への受診をサポートすることもあります。
  • 生活相談・助言: 金銭管理や生活習慣、地域との関係構築など、自立した生活を送る上での様々な悩みに対し、専門の職員が相談に乗り、助言を行います。
  • 自立支援: 入所者が掃除、洗濯、買い物などの日常生活動作を自身で行えるよう、必要なサポートや指導が行われます。
  • 社会参加支援: レクリエーションや季節ごとの行事などを通じて、入所者同士の交流を深めたり、地域活動への参加を促したりすることで、社会性を維持・向上させる支援が行われます。

介護サービスを提供する施設が増えている

上で述べた通り、養護老人ホームは基本的に介護サービスは行っていません。しかし、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けることで、特例として養護老人ホームでも介護を行えるようになっています。

厚生労働省の資料によると、2022年時点では養護老人ホームの約4割が「特定施設入居者生活介護」の指定を受けており、自立支援と介護を提供している状況です。

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養護老人ホームの利用の流れと費用

養護老人ホームの利用は、市区町村に相談を行います。利用の流れは以下の通りです。

  • 1.相談:まずは、お住まいの地域の市町村の福祉担当窓口に相談します。
  • 2.申し込み:必要な書類を提供して、入所の申し込みを行います。
  • 3.調査・判定: 市区町村の職員が、高齢者の状況(身体状況、経済状況、生活環境など)を調査し、養護老人ホームへの入所が適当であるかの判定を行います。
  • 4.入所決定: 調査結果に基づき、市町村が入所の必要性を認めれば、入所が決定されます。

他の介護施設などと違い、利用者が自由に施設を選べるわけではなく、基本的に市区町村が決定します。

費用は前年度の収入に応じて決定

養護老人ホームの月額費用は、前年度の収入に応じて0~14万円となります。老人福祉法の規則によって39段階に細かくルールが決められています。なお、利用にかかるのは月額利用料のみで、入居一時金や敷金といった初期費用は一切かかりません。

収入に応じた月額利用料の例をいくつか抜粋しました。ちなみに生活保護を受けている方の利用料は、0円となります。

収入と月額利用料の設定
        
1年間の収入 月額利用料
27万円以下 0円
50万1円~52万円 19,100円
100万1円~104万円 51,800円
144万1円~150万円 81,100円
150万1円以上 所定の計算式で算出(14万円が限度)

費用の計算は難しいので、お住まいの地域の市町村の福祉担当窓口に相談するのが確実です。

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養護老人ホームの人員体制

養護老人ホームでは、入所者の自立支援と生活サポートのために、様々な職種の職員が配置されています。それぞれの役割と配置基準を表にまとめました。 養護老人ホームで働く職員と配置基準

職種名 主な役割 配置基準(利用者:職員)
施設長 施設の責任者 1名
医師 健康管理及び療養上の指導 必要数
生活相談員 生活全般の相談 30:1
看護職員 健康管理、医療相談 100:1
支援員 生活全般の支援、お手伝い 15:1
栄養士・管理栄養士 栄養指導、食事の提供 1名
調理員 食事の調理、提供 必要数
事務員 施設運営の為の事務業務全般 必要数

※配置基準とは、施設やサービスを運営する上で、「どんな種類の人が、何人必要か」という最低限のルールのことです。法令で決められています。

それぞれの職種について補足していきます。

医師

養護老人ホームで働く医師は、看護師・准看護師と連携しながら入所者の健康管理を行います。養護老人ホームに医師の設置義務はありません。そのため外部の医師と連携するという方法が一般的です。

ただし、入所者が多い養護老人ホームの場合、常勤または非常勤の医師を設置しているケースがあります。

生活相談員

養護老人ホームは入所者が自立した生活を送れるように支援するための福祉施設です。生活相談員が行うのは、自立に向けてどのようなサービスを提供すべきかという計画を考え、退所に向けた道筋を作ることといえます。

入所者の経済状況や置かれている環境なども考慮し、必要であれば外部のサービス提供者とも連携しながら入所者の退所を支援していきます。

生活相談員はその業務上資格を持っている方が担当する職種です。生活相談員に求められる資格は主に以下の3つです。

  • 社会福祉士(国家資格)
  • 精神保健福祉士(国家資格)
  • 社会福祉主事任用資格 など

社会福祉士と精神保健福祉士はともに国家資格であり、福祉系大学卒業などの学歴や実務経験がないと受験できない資格です。

社会福祉主事任用資格とは、都道府県、市、特定の要件を満たす町村に置かれる「社会福祉主事」という職務に当たることができる方を指します。

看護職員

養護老人ホームには看護師もしくは准看護師の設置義務があります。入所者の健康管理、バイタルチェックや健康相談に乗ることが中心業務です。

入所者の容体が急変するなどの場合、早期対応に当たり、同時に医師と連携して対処に当たる必要もあります。

支援員

支援員は入所している方の生活支援するのが主な仕事であり、必要な資格はなく無資格者でも従事できる職種です。毎日の生活で必要になる買い物や散歩などに付き添ったり、病院に通院する際の付き添いをするなど、入所者に寄り添いサポートを行います。

施設内で行われる行事やレクリエーションなどにも積極的に参加し、入所者が自立し社会復帰できるように日常生活を見守ります。基本的に食事介助や排泄介助といった介護業務には従事しません。

管理栄養士・栄養士

養護老人ホームでは入所者に食事を提供します。入所者の栄養管理のために必要になるのが管理栄養士・栄養士です。栄養士としての業務は、入所者に提供する食事の献立作りが中心ですが、施設によってはそのための食材の手配や管理、また調理担当者に対する衛生指導なども含まれます。

事務員

養護老人ホームでも事務仕事は当然あります。経理や総務、労務、広報など、施設によって担当する業務の範囲は様々です。

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養護老人ホームで働くなら資格の取得がおすすめ

養護老人ホームで働くことを検討している方の多くは、福祉や介護の現場に興味がある方かと思います。もちろんそれに関する資格を持っている方もいらっしゃるでしょうし、持っていない方もいらっしゃるでしょう。

福祉や介護の現場で働く場合でも、やはりおすすめとなるのは資格の取得です。これから日本は今以上に少子高齢化が進み、高齢者の割合はどんどん増加していきます。第二次ベビーブームと呼ばれた世代は、2025年現在50代前半~半ばといったところです。10数年後にはこの世代の方たちが60代中盤となり、高齢者となります。

そんな近い将来を見据え、長く介護や福祉の現場で活躍していくためには、実務経験と資格が重要です。養護老人ホームの支援員は、無資格・未経験でも働けますですので、介護や福祉の現場を経験するには最適な現場といえるかもしれません。こうした現場で実務経験を積みつつ、空いた時間で勉強して資格を取得すれば、近い将来訪れる超高齢化社会でもしっかりと働いていけるでしょう。

おすすめの資格はやはり社会福祉士、精神保健福祉士といった国家資格です。どちらも学歴もしくは指定養成施設の卒業が条件となっていますので、取得は簡単ではありませんが、養護老人ホームの中には資格取得を支援してくれる施設もあります。

長期的に介護や福祉の現場で働くことを考えた場合、資格の有無で収入や業務内容、また就職先の選択肢も大きく変わってくるでしょう。将来に向けてキャリアアップも考えながら働くというのがおすすめです。

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養護老人ホームで働くメリット

介護福祉に関わる職場の中で、養護老人ホームで働くメリットは何なのでしょうか。2つ挙げます。

支援員や事務員は無資格でも働ける

養護老人ホームで働く職種の中で、支援員や事務員に関しては、資格や経験がなくても就職できる可能性があります。医療や介護の現場で働く場合、資格を求められるケースが少なくありません。また、求められる資格が、学歴や実務経験などが必要な資格も多く、簡単には取得ができないという問題もあります。

養護老人ホームの支援員は未経験でも働けるため、介護や福祉の現場に興味があるものの、介護・福祉関連の資格を持っていないというにおすすめです。

介護業務がなく身体的負担が少なめ

養護老人ホームは主に生活支援のための施設です。中には特定施設入居者生活介護の指定を受けて、介護も提供している施設はありますが、そうではない場合主な業務は生活支援であり、介護業務はありません。

介護に関する資格や経験がない方にとって、食事介助や入浴介助は簡単な業務ではありませんし、自分に対応できるのか不安になる部分もあるかと思います。厳密にいえば介護の現場ではありませんが、それに近い業務を経験でき、また未経験者でも対応可能な業務が中心となるという点では、介護業務がないというのはメリットといえるでしょう。

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まとめ

養護老人ホームとは、何らかの事情で自立して生活するのが難しい高齢者が入所する施設です。施設の目的は入所者の方に社会復帰してもらい、自立して生活できるようにサポートすることになります。

養護老人ホームで、実際に入所者に寄り添った業務を行う支援員は、資格や経験がなくても対応できる職種であり、実際に未経験者歓迎の求人も少なくありません。

今後の日本の状況を考え、高齢者に対応する現場で働きたいという方にはおすすめの施設といえるでしょう。

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セカンドラボ株式会社

URL:https://www.2ndlabo.co.jp

2022年4月よりセカンドラボ株式会社に入社。主にクリニックを中心に医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の採用課題のサポートを行う。

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