【例文つき】面接の退職理由の伝え方|本音で言うべき?思いつかない際の対処法まで
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「面接で退職理由を聞かれた時にどう答えればいいの?」
「正直な退職理由を伝えても大丈夫?」
「退職理由のせいで面接に落ちるのは嫌だ…」
こんな疑問や悩みはありませんか?
退職理由の伝え方次第で、あなたの評価は大きく変わります。今回は、面接官が納得する上手な退職理由の伝え方を、ケース別の例文を交えて解説します!
思いつかない時の対処法も紹介しますので、ぜひ最後まで読んで、自信を持って面接に臨んでください。
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目次
なぜ面接官は退職理由を聞いてくるのか
面接官が退職理由を質問するのは、単に前の職場を辞めた理由を知りたいからだけではありません。質問の裏には、採用担当者としての「切実な願い」と「ビジネス上の視点」が隠されています。意図を理解することが、的確な回答への第一歩です。
早期離職の可能性を見極めるため【最重要】
面接官が退職理由を聞く最大の理由は、「同じ理由でまたすぐに辞めてしまわないか?」を確認するためです。
・面接官個人の心情:
面接官も一人の人間です。多くの時間と情熱を注いで、「この人なら活躍してくれるはずだ」と期待を込めて採用した人がすぐに辞めてしまうと大きなショックを受けます。「自分の人を見る目がなかったのか…」と、責任を感じてしまいます。
・会社、組織としての視点:
採用活動は、企業にとって大きな投資です。求人広告費や紹介手数料、そして面接官を含む多くの社員が費やした時間と人件費など、一人を採用するまでには多大なコストがかかっています。早期離職は、これらの投資がすべて無駄になってしまいます。
・面接官の評価
早期離職者が続出すると「なぜ見抜けなかったのか」「採用基準に問題があったのではないか」と、面接官自身の評価が下がってしまう可能性があります。「採用した責任」を追及されるリスクがあるという訳です。
以上のことから、面接官は「同じ理由でまたすぐに辞めてしまわないか」という点を、最も慎重に確認しているのです。
人柄や仕事への姿勢を知りたいから
面接官は、退職理由を通じて「この応募者は、なぜうちの会社を選んだのか?」を確かめようとします。企業側としては、「とりあえず転職したいだけの人」よりも「しっかりとした目的を持ち、自社で成長してくれそうな人」を採用したいと考えています。
そのため、応募者が「ただ前職が嫌で辞めた」のか、それとも「より良い環境を求めて前向きに転職しようとしているのか」をチェックします。
自社とのマッチ度を測るため
3つめは、「この応募者は自社の社風や業務内容に合っているか?」を確認するためです。会社ごとに働き方や価値観は異なります。応募者が仕事に何を求め、どのような環境で力を発揮できるのかを、退職理由から探っています。
スカウトサービス登録はこちら退職理由を上手に伝える4つのポイント
退職理由の伝え方のポイントを4つ紹介します。
1.あくまで「事実ベース」を徹底する
面接で退職理由を伝えるときには、事実に基づいた説明をすることが重要です。採用担当者は、応募者の言葉の中に矛盾がないか、過去の退職理由がどれほど正当なものかを慎重に判断しています。そのため、誇張や事実と異なる話をすると不信感を持たれる可能性があります。
また、退職理由を曖昧にすると、「何か隠しているのでは?」と疑われることがあります。特に業界内での転職の場合、前職の情報が採用担当者に伝わることもあるため、虚偽の情報を伝えるのは避けるべきです。
例えば「前職では業務内容が合わなかった」と伝える場合、単に「仕事が合わなかった」と言うのではなく、「担当業務が○○中心だったが、自分のスキルを活かすには△△の業務に携わる環境が必要だと感じた」と具体的に説明すると説得力が増します。
- 誇張や嘘は避ける
- 退職理由を客観的に説明する
- ネガティブな印象を与えないよう言葉を選ぶ
- 具体的なエピソードを交えて伝える
事実に基づいた説明を意識することで、面接官に信頼されやすくなります。
2.ポジティブな表現に言い換える
退職理由はネガティブな内容になりやすいですが、面接ではできるだけ前向きに言い換えることが重要です。面接官は「この人は自社で前向きに働けるのか?」を見極めようとしているため、不満をそのまま伝えると「また同じ理由ですぐ辞めるのでは?」と懸念される可能性があります。そのため、退職理由を話す際には「なぜその環境を求めるのか」「次の職場で何を実現したいのか」に焦点を当てることが大切です。
例えば「給料が低かったから辞めた」とそのまま伝えると、「待遇の良い会社があれば、また転職するのでは?」と思われかねません。そこで、「これまでの経験を活かし、成果が適正に評価される環境で成長したいと考えました」と言い換えることで、成長意欲のある前向きな転職理由に変えられます。
また、「上司と合わなかった」という理由も、そのまま伝えると「人間関係の問題を起こしやすいのでは?」と疑われる可能性があります。しかし、「よりチームワークを重視し、協力しながら成果を出せる環境で働きたいと考えました」と言い換えれば、求める職場環境を前向きに伝えられます。
このように、退職理由をポジティブに言い換えることで面接官に好印象を与えることができます。単なる不満ではなく、次の職場で何を実現したいのかを明確にし、前向きな表現で伝えることが重要です。
- 「辞めた理由」ではなく「次の職場で何を実現したいか」に焦点を当てる
- 「不満」ではなく「より良い環境を求めた」と言い換える
- 「できなかったこと」ではなく「新たに挑戦したいこと」を強調する
ネガティブな印象を持たれないよう転職の目的を明確にし、前向きな言葉を選ぶことが重要です。
3.人のせいにしない・悪口を言わない
退職理由を伝える際に、前職の会社や上司の悪口を言うのは絶対に避けるべきです。面接官は「この人は次の職場でも不満を持ってすぐに辞めてしまうのでは?」と疑念を抱く可能性が高くなります。また、どんなに前職に問題があったとしても、企業側としては「うちの会社でも同じように不満を持たれるかもしれない」と考えてしまいます。
例えば「上司が理不尽だった」「会社の方針が合わなかった」といった批判的な発言は、どんなに事実であっても面接では避けるべきです。それよりも、「より良い環境を求めて新たな挑戦をしたい」といった言い方をすることで、前職に対する批判を避けながら転職の理由を説明できます。
- 「前職が悪かった」ではなく「新たな環境で挑戦したい」と伝える
- 過去の問題点ではなく、未来の展望を語る
- 上司や同僚に関する批判的な発言は控える
面接官に「この人と一緒に働きたい」と思ってもらうためには、前向きな態度を示し、人のせいにしない姿勢を持つことが大切です。
4.簡潔に分かりやすく話す
退職理由を長々と説明すると、かえって面接官の印象が悪くなることがあります。退職理由は、できるだけ簡潔に、かつ説得力のある形で伝えるのがポイントです。
例えば「キャリアアップのために転職を決意した」という場合、ダラダラと細かい説明を加えるよりも、「前職では○○の業務を担当していたが、より△△の分野でスキルを伸ばしたいと考え、転職を決めた」とシンプルに伝えたほうが、面接官も理解しやすくなります。
また、退職理由を話しすぎると、面接官から追加の質問を受ける可能性が高くなります。特に、ネガティブな理由を長く話してしまうと不必要な深掘りをされることもあるため、余計なことは話さず簡潔にまとめることを意識しましょう。
- 1〜2文で端的に伝える
- 質問されたら補足する形で説明する
- 余計なエピソードを加えず、要点だけ伝える
短くまとめることで、面接官にもスムーズに伝わり、ポジティブな印象を持たれやすくなります。
上記をまとめると…
面接で退職理由を伝える際には、「事実ベース」「前向きな表現」「人のせいにしない」「簡潔に伝える」という4つのポイントを押さえることが重要です。面接官は、「この人は長く働いてくれるか?」「自社とマッチしているか?」を見極めようとしているため、適切な伝え方をすることで、印象を良くすることができます。
退職理由は面接で必ず聞かれる質問のひとつです。適切に準備をして説得力のある回答を用意することで、面接をスムーズに進めることができるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら【ケース別】退職理由の例文とNG例
よくある退職理由をピックアップして、回答例をいくつかご紹介します。
給料の安さが理由の場合
NG例 「給料が安かったので辞めました。」
OK例 「前職では◯年間働き、○○の業務を担当していました。その中で業務の幅が広がり、新しいスキルを身につけることができました。しかし、給与体系が固定されており、成果に対する評価が十分に反映されない状況でした。より実績を正当に評価していただける環境で働きたいと考え、転職を決意しました。」
【ポイント】
- 「給料が安かった」だけではなく、「評価の仕組みが変わらなかった」と説明することで、客観的な理由になる。
- 成長意欲を伝えることで、前向きな転職であることを強調する。
給与を理由に退職した場合、面接での伝え方には注意が必要です。企業側は「この人はまた給与の不満で辞めるのでは?」と懸念する可能性があるため、単に「給与が低かった」と言うのではなく、キャリアアップや自身の成長につながる理由と結びつけることが重要です。
給与は働く上で大切な要素ですが、面接官に「給与だけを求めている」と思われると印象が悪くなることもあります。そのため、待遇面だけでなく、仕事のやりがいやスキルの向上といった視点を加えることで、前向きな退職理由にできます。
例えば「前職ではスキルアップに努めた結果、より高い専門性を求めるようになりました。現在の会社ではその評価を得る機会が少なかったため、より自分の力を活かし、適正に評価してもらえる環境を探して転職を決意しました」といった伝え方をすると、単なる金銭的な問題ではなく、成長意欲があることを伝えられます。
このように、「より良い環境で努力を正当に評価されたい」という方向性で話すことで、面接官に好印象を与えることができます。
人間関係が理由の場合
NG例 「上司と合わなかったので辞めました。」
「職場の人間関係が悪く、働きづらかったです」
OK例 「前職ではチームで業務を進める環境が少なく、個人で成果を出すことが求められていました。しかし、私はチームで協力しながら仕事を進めることで、より高い成果を生み出せると考えています。よりコミュニケーションが活発な環境で働きたいと思い、転職を決めました。」
【ポイント】
- 「上司が合わなかった」「人間関係が悪かった」といったネガティブな表現は避ける。
- どんな環境を求めているのかを具体的に説明し、転職の理由として納得感を持たせる。
職場の人間関係が原因で退職した場合、面接での伝え方には特に注意が必要です。「上司と合わなかった」「職場の雰囲気が悪かった」など、前職の悪口につながるような発言は避けるべきです。企業側は、「この人は新しい職場でも人間関係の問題を起こすのでは?」と疑ってしまうことがあるため、慎重に言葉を選ぶことが大切です。
ネガティブな理由を前向きに伝えるためには、「どのような環境で自分の能力を発揮しやすいのか」に焦点を当てるのが効果的です。例えば「よりチームワークを大切にする環境で働きたい」といった形で伝えることで、人間関係を理由とした退職であってもポジティブな理由として受け取ってもらいやすくなります。
具体的な回答例として、「前職では個人プレーが中心の環境でしたが、私はチームで協力しながら成果を出すことにやりがいを感じるタイプです。そのため、チームワークを重視し、社員同士の連携を大切にしている御社の環境に魅力を感じ、志望しました」と伝えることで、応募先企業との相性が良いことをアピールできます。
また、「自分のコミュニケーションスキルを向上させるために、より円滑な人間関係を築ける環境を求めた」といった話を加えると、自己成長の視点も伝わり、より良い印象を持ってもらえる可能性が高くなります。
パワハラが理由の場合
NG例 「職場でパワハラを受けたので辞めました。」
OK例 「前職では◯年間、○○業務を担当し、多くの経験を積みました。しかし、職場の環境が変わり、社内の風土と自分の働き方にギャップを感じるようになりました。よりオープンなコミュニケーションができる環境で、能力を発揮したいと考え、転職を決意しました。」
【ポイント】
- 具体的なハラスメントの内容を話すと、面接官が困惑する可能性があるため、「職場環境の変化」として伝える。
- 「より良い環境を求めている」という前向きな表現を使う。
ハラスメントを理由に退職することは珍しくありません。しかし、面接でそのまま伝えると、企業側に「トラブルを起こしやすい人なのでは?」という印象を与える可能性があります。そのため、ハラスメントの事実を伝えつつも、できるだけ客観的かつ前向きな理由に変換して説明することが大切です。
面接官が知りたいのは、退職に至った経緯よりも「転職によってどのような環境を求めているのか」という点です。感情的にならずに冷静かつ簡潔に伝えることで、採用担当者の不安を払拭できます。
例えば「前職では職場のコミュニケーションが一方通行になりがちで、円滑な意思疎通が難しい環境でした。私はチームワークを重視しながら働くことを大切にしているため、よりオープンなコミュニケーションが可能な環境を求め、転職を決意しました」といった伝え方が考えられます。
このように、具体的な職場環境の課題を説明しつつ求める環境について話すことで、前向きな転職理由として受け取られやすくなります。
残業の多さが理由の場合
NG例 「残業が多くて辛かったので辞めました。」
OK例 「前職では繁忙期に業務が集中し、長時間労働が続く状況でした。そのため、仕事の効率を意識するようになり、業務改善にも取り組みました。しかし、会社の業務体制上、大幅な改善が難しいと感じる場面がありました。今後は、より生産性を重視しながら働ける環境で、スキルを活かしたいと考えています。」
【ポイント】
- 「残業が多かった」とだけ言うと、仕事への耐性が低いと見られる可能性がある。
- 業務改善の取り組みをアピールすることで前向きな姿勢を伝える。
長時間労働や過度な残業が原因で退職するケースも少なくありません。しかし、「残業が多かったので辞めました」と率直に伝えると、「この人は少しの残業でも耐えられないのでは?」と誤解されることがあります。そのため、単に残業の多さを理由にするのではなく、「働き方を改善したい」という視点を加えると良いでしょう。
例えば、「前職では業務量が多く、限られた時間内で効率的に業務を進める工夫をしていました。しかし、会社の体制上、長時間労働が常態化しており、業務改善に取り組んでも大きな変化が難しい状況でした。今後は、より生産性を重視した働き方を実践し、自分のスキルを向上させたいと考え転職を決めました」という伝え方が適切です。
このように、「より良い働き方を求めた」という前向きな理由に変換することで、面接官に良い印象を与えられます。また、「前職でどのように努力したのか」を補足することで、単に不満を述べるのではなく、問題解決に向けた姿勢をアピールできます。
リストラや倒産が理由の場合
NG例 「会社が倒産したので仕方なく辞めました。」「リストラにあい退職しました」
OK例 「前職では〇〇の業務を担当し、△△のスキルを活かして仕事に取り組んでいました。しかし、業界全体の市場縮小の影響を受け、会社の業績が悪化し、事業の縮小が避けられない状況となりました。その結果、部署ごと閉鎖されることになり、やむを得ず退職することになりました。これまで培ったスキルを活かし、より安定した環境で貢献したいと考え、転職を決意しました。」
【ポイント】
- 「仕方なく辞めた」という受動的な表現を避け、「これまでの経験を活かしたい」という前向きな意欲を伝える。
- リストラの背景を客観的に説明し、個人の能力に問題がなかったことを示す。
会社の業績悪化によるリストラや倒産は、個人の能力に関係なく起こるものです。そのため、面接官も比較的受け入れやすい退職理由ですが、ただ「会社が倒産したので辞めました」と伝えるだけでは不十分です。転職活動においては、次の職場でどのように活躍したいのかを明確にすることが重要です。
例えば、「前職では○○の業務を担当し、△△のスキルを活かして仕事に取り組んでいました。しかし、業界全体の市場縮小により会社の経営が厳しくなり、事業の縮小が避けられない状況となりました。これまでの経験を活かしながら、より安定した環境で成長を続けたいと考え、転職を決意しました」という形で伝えると良いでしょう。
また、リストラや倒産の場合は「なぜその会社を志望したのか」をセットで伝えることで、より説得力が増します。「特に御社は○○の分野に強みを持っており、私のこれまでの経験を活かしながら貢献できると考えています」といった説明を加えると、前向きな転職理由として伝わりやすくなります。
キャリアアップが理由の場合
NG例 「スキルアップしたかったので辞めました。」
OK例 「前職では○○業務を担当し、基本的なスキルを身につけることができました。しかし、より専門的な△△分野に挑戦したいと考えたものの、社内ではその機会が限られていました。今後は△△の分野でさらに経験を積み、成長していきたいと考え、転職を決意しました。」
【ポイント】
- 「スキルアップしたい」だけではなく、「なぜ前職ではそれが難しかったのか」を明確にする。
- 具体的なスキルや業務内容を入れることで説得力を持たせる。
キャリアアップのために転職を決意した場合、面接官は「本当にこの会社で成長できるのか?」を知りたがっています。そのため、「単に新しいことに挑戦したい」という曖昧な理由ではなく、具体的なキャリアビジョンを明確に伝えることが重要です。
例えば、前職で担当していた業務の範囲が限られていたり、新しいチャレンジができる環境がなかった場合、「今後のキャリアに必要なスキルを身につけるために転職したい」と伝えることで前向きな理由として受け取られやすくなります。
実際の回答例として、「前職では主に○○業務を担当していましたが、今後は△△の経験を積み、スキルの幅を広げたいと考えました。御社では○○の分野に強みがあり、より成長できる環境だと感じたため志望しました」と伝えると、応募先企業の強みと自分のキャリアプランが一致していることが伝わります。
また、キャリアアップを理由にする場合は、転職先の企業が求めている人材像とマッチしていることを示すことも重要です。単に「成長したい」と言うだけではなく、「御社では○○の分野に特化しており、自分のキャリアに最適な環境だと考えました」といった具体的な説明を加えると説得力が増します。
スカウトサービス登録はこちら本音を正直に言わないのは嘘つき?
退職理由をポジティブに言い換えましょう、と言われても、「本音を隠して、なんだか嘘をついているみたいで嫌だな…」「自分を偽っているようで、後ろめたい気持ちになる…」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その気持ち、非常によく分かります。しかし、安心してください。面接で本音を「翻訳」して伝えることは、決して嘘つきなことではありません。
本音と建前は、誰もが日常で使う思いやり
少し考えてみてください。私たちは、日常生活の様々な場面で、自然と本音と建前を使い分けています。
・友人が新しい髪型にした時、正直「前の方が似合っていたかも…」と思っても、相手を傷つけないように「似合ってるね!素敵だよ」と伝える。
・取引先との会食で、あまり得意ではない料理が出てきても、「美味しいですね」と笑顔でいただく。
これは嘘つきだからでしょうか?違いますよね。相手への配慮や、その場の空気を良くするための、社会的な思いやりです。もちろん仕事の上で、本音と建前を使い分けることが大事なのは、言うまでもないでしょう。
「嘘」と「ポジティブな言い換え」は全くの別物
その上で、改めて明確にしておきたいのは、「嘘」と「ポジティブな言い換え」は全く違うということです。
・嘘(NG):
嘘は事実を捻じ曲げることです。例えば「起きていない倒産を理由にする」「やっていない業務経験を語る」などです。これは経歴詐称にあたり、絶対にしてはいけません。
・ポジティブな言い換え(OK):
言い換えは、事実を「どの側面から、どのように伝えるか」というコミュニケーションスキルです。例えば、「給与が低い」という事実の裏には、「自分の働きや成果を正当に評価してほしい」という前向きな欲求が隠されています。前向きな側面にスポットライトを当てて伝えることは、相手への配慮であり、未来への意欲を示すための工夫です。
「よく見られたい」という気持ちは、真剣さの表れ
そして、面接で「自分を少しでもよく見せたい」と思うのは、至極当然の感情です。むしろ、それはあなたが今回の転職に真剣であり、「絶対に成功させたい」と強く願っている証拠に他なりません。
もし、どうでもいいと思っている面接なら、「本音を言って落とされても構わない」と考えるはずです。本音を言わないことに後ろめたさを感じるのは、あなたが誠実な人柄であり、相手との信頼関係を大切にしたいと考えているからこそ生まれる自然な葛藤なのです。
退職理由が全く思いつかないときのヒント
「いざ退職理由を考えようとしても、何も思い浮かばない…」
勢いで辞めてしまったり、漠然とした不満から退職したため、後から理由を整理するのが難しい、と感じる方は決して少なくありません。この「思いつかない」状態は、大きく2つのケースに分けられます。それぞれの解決のヒントを紹介します。
心の中の「もやもや」を上手く言語化できないケース
「退職理由はあるのにうまく言葉にできない」という状態です。退職時の感情や出来事を整理することで、あなたの「もやもや」を言葉で説明できる状態にしましょう。
まずは、頭で考えずに、心に浮かんだ言葉をひたすら書き出してみましょう。綺麗にまとめる必要はありません。次の質問に答えてみてください。
1.どんな時に「辞めたい」と強く感じたか?
2.現職(前職)の何に「やりがい」を感じ、何に「限界」を感じたか?
3.どんな職場なら「もっと頑張れる」と思ったか?
次に、書き出した言葉を眺めて、それらがどんな「理想の働き方」に繋がるかを考えてみましょう。
書き出した言葉の例
・「忙しすぎる」
・「お客様のためにならない商品を売るのが心苦しい」
・「ユーザーに喜ばれるサービスを作りたい」
⇒見えてきた理想の働き方
・「もっと一人ひとりにじっくり向き合い、質の高いサービスを提供したい」
・「顧客に真に価値のあるものを、自信と誇りを持って提供したい」
書き出した言葉の例
・「これ以上のスキルアップが見込めない」
・「誰でもできる単純作業ばかりで焦る」
・「新しい業務に挑戦したい」
⇒見えてきた理想の働き方
・「専門性を高め、市場価値の高い人材へと成長したい」
・「変化の速い時代に対応できる、普遍的なスキルを身につけたい」
この「理想の働き方」こそが、面接で伝えるべきポジティブな転職理由の核となります。
「勢いで辞めてしまった」など、明確な理由がないケース
「とにかくこの環境から抜け出したかった」「明確な次の目標はないまま、勢いで辞めてしまった」というケースです。過去を悔やむのではなく、この退職を「キャリアの転換点」と意味づけることが重要です。
「なぜ辞めたか(過去)」を考えても答えが出ないときは、一度その問いから離れましょう。代わりに「これから、どうなりたいか(未来)」だけを考えてみましょう。
3年後、5年後、どうなっていたい?
(例)「マネジメントに挑戦したい」「〇〇の資格を取りたい」「Webサービスの企画から関わりたい」
どんな働き方、どんな生活が自分の理想か?
(例)「ワークライフバランスを整え、長期的にキャリアを築きたい」「もっと給与を上げて、〇〇を実現したい」「リモートワークが可能な環境で働きたい」
理想の未来像が見えたら、そこから逆算して退職に意味を与えます。これが「退職理由」になります。いくつか例を見ていきましょう。
未来の理想:「後輩指導やマネジメントに挑戦したい」
⇒退職理由:「プレイヤーとしての経験を積む中で、今後は自身の経験を活かしてチーム全体のサービスの質を向上させる、後進の育成にも携わりたいと強く考えるようになりました。そのための第一歩として、新たな環境で挑戦することを決意いたしました。」
未来の理想:「もっと給与を上げて、〇〇(マイホーム購入など)を実現したい」
⇒退職理由:前職での経験を通じて、〇〇(自身のスキルや実績)という強みを培うことができました。今後は、より自身のスキルや成果が正当に評価される環境に身を置き、高いモチベーションを持って事業の成長に貢献したいと考えております。
ポイント:「お金が欲しい」と直接的に言うのではなく、「正当な評価が欲しい」という言葉に変換します。
未来の理想:「ワークライフバランスを整え、長期的にキャリアを築きたい」
⇒退職理由:「前職では業務に集中するあまり、自身の知識のアップデートや体調管理がおろそかになる瞬間がありました。今後は、健全な心身を維持し、自己研鑽の時間も確保することで、常に高いパフォーマンスを発揮し、貴社に長期的に貢献していきたいと考えております。」
ポイント:「楽をしたい」ではなく、「パフォーマンスを維持し、長く貢献するため」という前向きな姿勢を強調します。
まとめ
面接で退職理由を伝える際に意識したいポイントは以下の4つです。
- 前職の悪口を避ける
- ポジティブな理由に言い換える
- 次の会社で実現したいことを伝える
- 簡潔にまとめる
これらのポイントを押さえることで、面接官に「この人は前向きに転職を考えている」「長く働いてくれそうだ」と感じてもらいやすくなります。
面接での退職理由の伝え方によって、印象は大きく変わります。重要なのは、単に退職の事実を伝えるのではなく、「なぜ転職するのか」「次の職場でどのように活躍したいのか」を明確にすることです。
- 前職の不満ではなく、前向きな理由を伝える
- 次の会社で何を実現したいかをセットで説明する
- 簡潔に伝え、無駄に話を膨らませない
このように整理することで、面接官に「この人は自社で活躍してくれそうだ」と思ってもらうことができます。しっかり準備をして、納得感のある退職理由を伝えられるようにしましょう。
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