通勤手当が課税される?非課税限度額のルール、社会保険料の計算に含まれるかまで解説
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通勤手当は所得税法で業務の費用であると考えられているため、一定額まで非課税となっており、2016年1月の税制改正によりその非課税上限額が引き上げられました。
しかしこの通勤手当に課税を検討する話題が政府内であがり、SNS上でも話題になっています。
この記事では通勤手当の非課税についての詳細や、なぜ課税が検討されているのか、また社会保険料はどうなっているのかなど、その他周辺の税制とも組み合わせて細かく解説していきます。
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通勤手当は課税?非課税?
通勤手当とは業務遂行における費用を軽減する福利厚生として、企業から従業員に支払われる手当の一つです。企業はその支給有無や、支給金額、支給方法まで各企業ごとに規定できめています。
この通勤手当は自宅からの通勤で発生した費用に充てる福利厚生であり、交通費や出張費のように業務上での移動で発生した経費とは異なる扱いとなりますので、一定額以上は所得税の課税対象となっています。
非課税限度額までは課税されない
通勤手当は、所得税の計算において一定額まで非課税となっています。これは通勤手当が業務で発生する費用に充てるものだからという認識により、法律できまってきました。
非課税上限額を超過した部分については所得税の算定に含まれますが、2016年よりその上限額は引き上げられました。
交通手段や距離に応じた区分
通勤手当の非課税上限額は、交通手段によって区分されており、自動車や自転車を使用している場合には通勤距離に応じてさらに細かく上限金額が設定されております。
通勤方法の区分 | 非課税上限額 | |
1)交通機関・有料道路(通勤定期券含む) | 150,000円 | |
2)自動車・自転車 | 通勤距離が片道55km以上 | 31,600円 |
通勤距離が片道45km以上55km未満 | 28,000円 | |
通勤距離が片道35km以上45km未満 | 24,400円 | |
通勤距離が片道25km以上35km未満 | 18,700円 | |
通勤距離が片道15km以上25km未満 | 12,900円 | |
通勤距離が片道10km以上15km未満 | 7,100円 | |
通勤距離が片道2km以上10km未満 | 4,200円 | |
通勤距離が片道2km未満 | 全額課税 | |
3)交通機関・有料道路 + 自動車・自転車(通勤定期券含む) | 150,000円 |
通勤手当の課税が検討されている?
現在、SNS上でも通勤手当が課税されるかもしれないことが話題になっています。何故その話題が出ているのか、背景をみていきましょう。
課税が検討されている背景
そもそも通勤手当の課税を検討され始めたのは、2023年6月に実施された政府税制調査会においてでした。
フリーランスなどの働き方の多様化の時代に、給与所得控除が会社員にだけ適用される状態に対して、税制のバランスをとる目的で検討されたことが発端です。
しかし会社員はその他で節税できる自由度が低く、そもそも経費により交通費を含めた様々な費用を非課税控除にできる税制で有利なのはフリーランスの方ではないかという声も多いようです。
通勤手当への課税はどこまで検討されている?
この通勤手当への課税について、現段階では、非課税限度枠の引き下げなのか、それとも非課税枠全撤廃による全額課税対象化なのかの方向性も決まっておらず、あくまで検討段階の状態なので、今後の政治の動向に要注意です。
スカウトサービス登録はこちら通勤手当は社会保険料がひかれている?
通勤手当は社会保険料算定の対象となっています。すなわち通勤手当を支給されると、標準報酬月額により通勤手当の月平均額が計算され、社会保険料の支払いがその分増えてしまうということです。
なぜ社会保険料がひかれているのか?
通勤手当の所得税は一定額まで非課税にもかかわらず、社会保険料はなぜとられてしまう理由はなぜでしょうか?
政府による回答をまとめると、
・通勤手当の支給は企業側の任意によるもの
・通勤手当の有無で従業員間に差が出ないようにしたい
・通勤手当から社会保険料を除外しないことでバランスをとっている
というように公平性を重視した結果となっているようですが、2020年の段階で通勤手当を支給している企業は9割以上にも及んでいます。
参照:令和2年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省
そのため通勤という業務遂行の費用にあてられる手当に対して、なぜか社会保険料が課せられるのは「通勤時間も勤務時間にして給与が発生しないとおかしい」といったような反対の声が多く挙げられています。
スカウトサービス登録はこちら通勤手当が全額課税対象になったらどうなる?
ここまで通勤手当の現状について解説してきましたが、今後、通勤手当の所得税が非課税でなくなってしまった場合、どのような影響があるのか順番に解説していきます。
実質的な給与手取り額の減少
もし通勤手当が全額課税される場合、給与から実際にもらえる手取り部分が減少し、自分の自由に使えるお金が減ってしまいます。
試算例)東京都で40代の年収500万円の会社員
・社会保険料:約15%に加えて、
・所得税:20%
・住民税:10%
➡計「45%」の手取りを通勤手当から失うことになります。
試算例)東京都で40代の年収500万円の会社員が、月1万円の定期券で通勤
通勤手当:1万円
-通勤費:1万円
-税金 / 社会保険料:約4500円
=約「-4500円」
➡通勤費にあてるはずの通勤手当から、なぜかその45%近くを国に支払うことになってしまい、通勤するほど生活費や貯金を切り崩す必要が生じます。
参照:No.2260 所得税の税率|国税庁
参照:令和7年度保険料率のお知らせ | 全国健康保険協会
参照:雇用保険料率について |厚生労働省
参照:協会けんぽの介護保険料率について
参照:厚生年金保険料額表|日本年金機構
居住地の見直し
通勤手当から社会保険料だけでなく、所得税や住民税までひかれてしまった場合、家賃の安さを重視して勤務地から遠方の郊外に住んでいたにもかかわらず、勤務地の近くで且つ家賃を抑えた場所への引っ越しを余儀なくされる可能性もあります。その場合、家の新しさや広さ、丈夫さなどをあきらめざるを得ないでしょう。
働き方への影響
通勤すればするほど手取りが減ってしまうので、そもそも住居から近い勤務地や、リモートワークがより可能な職場に転職するニーズが高まるでしょう。
このように元来、通勤手当を一定額非課税にしていたのは、郊外からも勤務しやすい環境をつくって国内経済を成長させる意図がありましたが、政治的な意向により移民推進による帰化人などが優遇されていけば、通勤手当が課税されてしまうという事もあり得なくはありません。
スカウトサービス登録はこちら通勤手当に関するよくある質問
年収103万扶養の壁に通勤手当は含まれる?
年収が103万円を超えると、扶養が外れて所得税が発生し始めます。通勤手当に関しては、結論、非課税限度額以内であれば扶養の壁である103万円等には含まれません。
逆に言えば、通勤手当で非課税限度額を超えた部分に関しては、その部分だけ課税対象となるので、103万円などの扶養の計算に含まれます。
テレワーク/在宅勤務でも通勤手当は非課税?
テレワークや在宅勤務になった場合、基本的には通常時と同様、通勤手当は一定額まで非課税になります。これはテレワークや在宅勤務が一時的なもので、本来の勤務地はオフィスであるという考え方のためです。
逆に一時的なものではなく、テレワークや在宅勤務が通常の働き方となった場合は、合理性の観点から原則として通勤手当は課税対象となる可能性が高いでしょう。
通勤手当の非課税枠でも消費税は発生する?
通勤手当の非課税限度額では、消費税とかも非課税になって、定期券や切符が安く買えると勘違いする方もたまにいらっしゃいますが、実際には消費税はかかっており、通勤手当の非課税枠で控除されるのは所得税と住民税になります。
スカウトサービス登録はこちらまとめ
ここまで通勤手当の課税・非課税について解説してきました。
普段あたりまえに支給されていると感じる通勤手当ですが、注視してみると企業側の任意支給であったり、社会保険料の支払いに関わっていたりと、日常に密接した興味深い情報を整理できたかと思います。
現在、政府ではこの通勤手当を課税していくのかなども含めて、税制や扱い方について検討が進めている段階ですので今後の動向に注意していきましょう。
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