老健で働く管理栄養士とは?役割や仕事内容、待遇などを紹介!
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介護老人保健施設は、高齢者の方々がご自宅へ戻るためのリハビリテーションと医療ケアを提供する場所です。この施設で、管理栄養士は栄養の専門家として、利用者の在宅復帰を力強く支える重要な役割を担っています。管理栄養士には、リハビリテーションの効果を最大限に引き出すための栄養サポート、そしてご自宅での食事にスムーズに戻れるよう、細やかな支援が求められます。この記事では、老健で働く管理栄養士の具体的な仕事内容、その魅力、そしてやりがいについて詳しくご紹介します!
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目次
介護老人保健施設(老健)とは?
介護老人保健施設の略称で、介護保険が適用される施設の一つです。入所者の在宅復帰を目指し、リハビリテーションを中心としたケアを提供する施設です。医師による医学的管理の下、看護、介護、リハビリテーション、食事、入浴などの日常生活上の世話を行います。
介護老人保健施設の利用者は在宅復帰を主目的とする方が多く、入所期間は原則3ヶ月ですが、リハビリの進捗により1年以上滞在するケースもあります。この「在宅復帰」という明確な目的は、リハビリテーションの重視と管理栄養士の役割に大きく影響します。そのため、管理栄養士による栄養管理は、リハビリ効果の最大化、嚥下機能の改善、自宅での食事環境への適応支援など、在宅復帰に向けた機能回復に焦点を当てた短期集中型のケアとなります。
老健の管理栄養士配置基準
以前の介護老人保健施設では、管理栄養士の配置義務はなく、「定員100名以上の施設に栄養士を1名以上配置する」という基準でした。しかし、2021年度の改定で栄養ケア・マネジメントの重要性が再認識され、「栄養士または管理栄養士を1名以上配置する」ことが義務付けられました。
厚生労働省の「介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準」には、以下の通り定められています。
- 栄養士または管理栄養士:入所定員100名以上の介護老人保健施設においては、1名以上配置すること。
- 介護老人保健施設は、入所者の栄養状態の維持・改善を図り、自立した日常生活を営めるよう、各入所者の状態に応じた栄養管理を計画的に行うこと。
高齢者の低栄養状態を予防し、適切な栄養摂取を支援することは、利用者様が健康で質の高い生活を送る上で不可欠です。そのため、介護老人保健施設を含む介護施設では、利用者様それぞれの状態に合わせた栄養ケア・マネジメントが強く求められています。
老健と特養の違い
老健は、しばしば特別養護老人ホーム(以下、「特養」)と混同されがちですが、その目的、入居条件、期間、費用、サービス内容には明確な違いがあります。
老健と特養の最も大きな違いは、老健がリハビリテーションを通じて最終的に在宅復帰を目指す施設であるのに対し、特養は長期的に介護を受けながら生活するための施設であり、看取りまで対応することが多いです 。この目的の違いは、両施設の入居条件、期間、人員配置、費用、そして提供されるサービス全てに直接的な影響を与えています。
老健は在宅復帰が目的のため、医師やリハビリ専門職(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)の常勤配置が義務付けられており 、費用も特養より高めです 。
老健のサービス内容
老健では、医学的管理の下、看護・介護、リハビリテーション、栄養管理、食事、入浴などの日常生活サービスを提供しています。利用者の自立支援と家庭復帰を目的とし、医師をはじめとする専門スタッフが個別ケアを行い、夜間も安心して過ごせる体制を整えています。
利用者主体の質の高い介護サービスを提供し、地域に開かれた施設として、利用者の多様なニーズに応えており、介護予防を含む教育・啓発活動を通じて在宅ケア支援の拠点となることを目指し、利用者とそのご家族が快適で自分らしい日常生活を送れるよう支援しています。
老健の入所対象者
老健の入所対象者は、病状が安定しており、リハビリテーションによって在宅復帰を目指せる要介護認定を受けた方です。主に、急性期の治療を終えても引き続き医学的管理や看護、介護、リハビリテーションが必要な方が対象となります。
具体的には、要介護1以上の認定を受けており、集中的なリハビリを通じて身体機能の回復や維持を図り、自宅での生活への移行を希望する高齢者が該当します。 一方、特養は要介護3以上が対象で、終身利用が可能です 。
スカウトサービス登録はこちら老健で働く管理栄養士の仕事内容
老健の管理栄養士は、入居者の皆様の健康を「食」を通じて支える重要な役割を担っています。その業務は、単に食事提供に留まらず、栄養ケアマネジメント、衛生管理、行事食の企画など多岐にわたります。多職種と連携し、チームの一員として入居者の生活を豊かにしていく仕事です。 具体的な仕事内容は以下の通りです。
<栄養ケア・マネジメント>
栄養ケア・マネジメントは、以下の手順で行われます。
- 評価 入所時に身体計測、血液データ、食事摂取状況、ADL、既往歴などを総合的に評価し、栄養状態を把握します。
- 計画策定 評価に基づき、個々の入所者に合わせた栄養ケア計画を作成します。疾患、嚥下機能、嗜好などを考慮し、具体的な食事内容や栄養補助食品の要否を決定します。
- 実施とモニタリング 作成した計画に基づき、食事の提供状況や摂取量を確認し、定期的に体重測定や血液検査を行い、栄養状態の変化を継続的に観察します。
- 計画の見直しモニタリングの結果や入所者の状態変化に応じて、栄養ケア計画を適宜見直します。
<食事の提供>
- 献立作成 栄養ケア計画に基づき、季節感や行事食を取り入れた献立を作成します。嚥下調整食や治療食の献立も作成します。
- 食材管理 献立に必要な食材の発注、品質チェック、在庫管理を行います。
- 調理指導・監督 厨房スタッフへの調理指導、衛生管理の徹底、調理過程の確認などを行い、安全で美味しい食事の提供を監督します。
- 喫食状況の確認と対応 入所者の食事摂取状況を確認し、食欲不振や偏食がある場合の対応を行います。
<衛生管理>
- 厨房の衛生管理 HACCPに基づき、厨房の清掃、消毒、器具管理、調理員の健康管理を徹底します。
- 食中毒予防 食材の適切な保存、調理温度管理、交差汚染防止など、食中毒予防策を講じます。
<行事食やイベント食の企画・実施>
クリスマスやお正月などの行事に合わせた特別食の企画・実施を通じて、入所者の食の楽しみをサポートし、入居者の生活の質(QOL)向上に貢献しています。
スカウトサービス登録はこちら老健で働く管理栄養士の1日のスケジュール(例)
多岐にわたる業務をこなす老健の管理栄養士は、どのような1日を過ごしているのでしょうか。一般的なスケジュールを見てみましょう。
時間 | 業務内容 |
---|---|
8:30 |
出勤・朝礼
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9:00 |
ラウンド・情報収集
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10:00 |
栄養ケア計画の作成・見直し
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11:00 |
献立作成・発注業務
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12:00 |
昼食時の巡視・個別対応
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13:00 | 休憩 |
14:00 |
多職種連携カンファレンス・会議
|
15:00 |
書類作成・記録業務
|
16:00 |
栄養指導・相談
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17:00 |
厨房業務の確認・指導
|
17:30 | 退勤 |
※上記はあくまで一例であり、日によっては緊急の対応(体調不良者の食事調整など)が入ったり、行事食の準備で忙しくなったりすることもあります。また、栄養士が一人体制の施設では、より多くの業務を兼任することになります。
スカウトサービス登録はこちら老健で働く管理栄養士の給料相場と年間休日
厚生労働省が公表した最新データをもとに、老健を含む介護施設における管理栄養士の給与、ボーナス、年収の相場・年間休日を分かりやすくご紹介します。
厚生労働省が発表した「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護施設で働く管理栄養士・栄養士の平均月給は306,360円でした。
推定年収:約367.6万円
平均月給 306,360円 × 12ヶ月 = 3,676,320円
この推定年収には、月々の給与に加えてボーナスが月割りで含まれていると考えられます。
管理栄養士・栄養士のボーナスは、基本給の2~4ヶ月分が一般的です。令和4年度のデータでは月平均約59,910円、年換算で約718,920円でした。推定年収367.6万円には概ね70万円前後のボーナスが含まれると考えられます。
老健で働く管理栄養士の給与は、施設の状況で大きく変わります。大きな施設や複数の関連施設を持つ法人では給与が高めになる傾向があり、一人で全ての業務をこなす「一人部署」の場合も、その責任の重さから給与が上がることもあります。 また、厨房が施設の直営か、外部への委託かによっても給与は変わってきます。老健の管理栄養士の給与を考える上で、施設の特性は大切なポイントになります。
さらに、介護業界全体で進む処遇改善の動きにより、今後も給与水準の上昇が見込まれます。管理栄養士は、利用者の健康維持やQOL(生活の質)向上に不可欠な専門職として、その重要性がますます評価されています。
老健を含む介護施設ではシフト制勤務が一般的で、年間休日は105日〜120日程度の施設が多いです。週休2日制(月8〜9日休み)が基本となり、これに加えて夏季休暇や年末年始休暇、有給休暇が付与されます。ワークライフバランスを重視する求人も増えており、年間休日120日以上の施設も増えてきています。
コメディカルドットコムでの求人を調査したところ、老健で働く管理栄養士の休日休暇や給与、諸手当の状況は以下のようになっていました。
項目 | 施設A | 施設B | 施設C |
---|---|---|---|
年間休日 | 4週9休制 (年間休日110日) |
121日 | 108日 (シフト制) |
月給 | 205,500円~257,000円 基本給178,000円~230,000円 諸手当27,500円 |
260,000円 | 235,000円 基本給200,000円 諸手当35,000円 |
各種休暇 | 慶弔休暇 看護・介護休暇 産前産後休暇 育児・介護休業 年次有給休暇 |
年次有給休暇 (入社6ヶ月後より) 傷病有給休暇 特別有給休暇、 育児・出産休暇制度 |
年次有給休暇 (入社6ヶ月後より) 産前産後休暇 育児休業 介護休業 |
就職や転職を検討する際には、有給休暇の消化率や夏季休暇などのその他の休暇制度、さらには実際に休みを取りやすい職場環境かどうかも含めて詳細を確認することが重要です。
スカウトサービス登録はこちら老健の管理栄養士のやりがい
老健で活躍する管理栄養士は、日々の業務を通じて大きなやりがいを感じられる職種です。高齢者の栄養管理という専門性を最大限に活かし、多角的な視点から利用者の健康と生活の質の向上に貢献できることが、その魅力と言えるでしょう。
<「食べる喜び」を支える>
老健の管理栄養士にとって最大のやりがいの一つは、利用者の「食べる喜び」を直接サポートできる点です。嚥下機能の低下や疾患などで食事に課題を抱える方々に対し、一人ひとりに合わせた栄養ケア計画を立て、食形態や献立の工夫、栄養補助食品の提案などを通じて、安全で美味しい食事を提供します。「美味しかった」「食べられるようになった」といった感謝の言葉や、食事を通じて利用者が笑顔になる姿を見ることが、日々の業務の大きなモチベーションと充実感に繋がります。
<多職種連携でチームケアを推進>
老健では、医師や看護師、介護士など多様な専門職が協力してケアを行います。管理栄養士もその一員として、栄養面から専門的な意見を提供し、カンファレンスで情報共有することで、チームケア全体の質向上に貢献します。リハビリ効果の最大化や薬剤との相互作用を考慮した食事提供など、管理栄養士の視点が活かされ、それが利用者の改善に繋がった時の達成感は、多職種連携ならではの大きなやりがいです。
<栄養状態改善による変化を実感>
栄養ケアはすぐには結果が出ないこともありますが、継続することで利用者の身体状況や生活の質が向上するのを実感できます。体重増加や褥瘡の改善、体力・免疫力の向上など、栄養状態の改善が健康全体に良い影響を与えているのを見るのは大きなやりがいです。特に、入所時に食事が進まなかった方が、サポートで徐々に元気を取り戻していく姿を間近で見守り、その変化を共有できることは、この仕事の確かな手応えとなります。
スカウトサービス登録はこちら老健の管理栄養士の大変なところ
老健で活躍する管理栄養士は、高齢者の「食べる喜び」を支える重要な役割を担っています。しかし、その専門性の高い業務には、特有の難しさや大変さも伴います。ここでは、老健の管理栄養士が直面しやすい具体的な課題について解説します。
個別対応の複雑さ 利用者それぞれの状況に合わせた食形態(きざみ食、とろみ食など)、アレルギー対応、治療食(減塩食、糖尿病食など)の提供に加え、嗜好や食欲の変化にもきめ細やかに対応する必要があります。限られた時間の中で、膨大な数の利用者全員に最適な栄養ケアを実践するのは大きな労力を要します。
状態変化への迅速な対応 高齢者の状態は急変しやすいため、栄養状態の変化をいち早く察知し、医師や看護師と連携しながら、迅速に食事内容を調整する判断力が求められます。
介護業界全体で人手不足が課題となる中、管理栄養士も例外ではありません。これが業務量の多さに直結し、大変さを感じる要因となります。
多岐にわたる業務内容 献立作成、発注、調理指示、厨房管理、衛生管理といった給食業務に加え、利用者の栄養ケア計画作成、個別相談、多職種カンファレンスへの参加、栄養指導、さらには書類作成など、業務は多岐にわたります。これらを限られた人員でこなすには、効率的な時間管理と高い集中力が必要です。
急対応や突発業務 誤嚥のリスク管理、食中毒予防対策、急な入院・退所による食事変更など、予期せぬ対応や突発的な業務が発生することも少なくありません。
老健では多職種連携が不可欠ですが、異なる専門性を持つ職種間での意見調整や理解を得ることに難しさを感じることもあります。
栄養ケアへの理解促進 栄養の重要性は認識されていても、具体的なケア内容やその必要性について、他職種との認識にずれが生じることがあります。管理栄養士の専門性を分かりやすく伝え、協力を得るためのコミュニケーション能力が求められます。
意見の対立と調整 医師や看護師、介護士などの意見と、管理栄養士の考える栄養ケア方針が食い違う場合もあります。それぞれの専門性を尊重しつつ、利用者にとって最善のケアを実現するための調整役を担うのは容易ではありません。
老健の管理栄養士は、一人ひとりに合わせた細やかな対応、多岐にわたる業務量、そして多職種との調整という大変さに直面します。しかし、これらの課題は、専門性を最大限に活かし、利用者に深く寄り添ったケアを実現できる機会でもあります。
こうした大変さを乗り越えるためには、効率的に業務を進める能力、円滑なコミュニケーションスキル、そして何よりも「食べる喜びを支えたい」という強い思いが不可欠です。これらの課題に前向きに取り組むことで、管理栄養士としてのキャリアをさらに充実させ、利用者のより豊かな生活に貢献できるはずです。
老健での勤務が向いている管理栄養士の特徴は?
老健は、医療と介護の連携が密接な施設であり、管理栄養士には多様なスキルと特性が求められます。では、どのような管理栄養士が老健での勤務に向いているのでしょうか?ここでは、老健ならではのやりがいや大変さを踏まえ、適性のある管理栄養士の特徴を3つのポイントに絞って解説します。
1. コミュニケーション能力が高い方
老健は、医師、看護師、介護士、リハビリ専門職など、多様な専門職が連携して利用者のケアにあたるチームケアの場です。管理栄養士もその一員として、栄養面から専門的な意見を提供し、カンファレンスを通じて他職種と密に情報共有を行います。自身の専門性を分かりやすく説明し、他職種の意見にも耳を傾けながら、利用者にとって最善のケアプランを共に作り上げられる高いコミュニケーション能力は不可欠です。栄養の視点からチームケア全体の質を高めることに貢献したい、という方に適しています。
2. 事務処理能力が優れている方
老健の管理栄養士の業務は、献立作成や発注、厨房管理といった給食業務だけでなく、栄養ケア計画の作成、個別相談記録、多職種連携の記録、各種報告書の作成など多岐にわたる事務処理を伴います。これらの書類作成やデータ管理を正確かつ効率的にこなす優れた事務処理能力は、日々の業務をスムーズに進める上で非常に重要です。限られた時間の中で質の高い栄養ケアを提供するためには、事務作業を効率化できるスキルが求められます。
3. 強い責任感のある方
老健で働く管理栄養士は、利用者の食事を通じて健康状態を維持・向上させるという、生命と直結する重要な役割を担っています。嚥下機能が低下している方への食形態の調整、疾患を持つ方への治療食の提供、衛生管理の徹底など、一つ一つの判断や行動が利用者の安全に直接影響します。そのため、常に細心の注意を払い、予期せぬ事態にも冷静かつ迅速に対応できる強い責任感は、老健の管理栄養士として最も大切な資質の一つです。この責任感を持ち、日々の業務に真摯に取り組める方が、大きなやりがいを感じながら活躍できるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら老健の管理栄養士に求められるスキル
老健で働く上で高齢者の栄養管理に特化した専門知識と実践的なスキルが求められます。まず、高齢者栄養学の深い知識は欠かせません。加齢に伴う身体の変化(嚥下機能の低下、消化吸収能力の変化など)や、糖尿病、腎臓病、心疾患、認知症といった高齢者に多い疾患に合わせた栄養管理を理解しておく必要があります。
さらに、誤嚥のリスクが高い利用者が多いため、嚥下調整食に関する知識と技術は非常に重要です。刻み食、とろみ食、ミキサー食といった食形態の調整に関する深い理解と、それを調理し提供する技術が求められます。
そして、老健では医師、看護師、介護士、リハビリ職など、多様な専門職との多職種連携が日常です。チームの一員として自身の専門性を最大限に活かし、他職種と協力しながら利用者をサポートしていく必要があります。そのためには、利用者やご家族との信頼関係を築き、円滑なチームワークを促進する高いコミュニケーション能力が不可欠です。
老健の管理栄養士の勉強方法
老健の利用者は、加齢による身体の変化に加え、さまざまな疾患を抱えているため、高齢者に特化した栄養管理の知識は欠かせません。この知識を深めるには、高齢者栄養学や老年医学、糖尿病・腎臓病・心疾患・認知症など各疾患の臨床栄養に関する専門書籍や、学会が発行するガイドラインを定期的に読み込むのが効果的です。また、実際にあった事例から学ぶことも重要です。疾患と栄養ケアの関連性や、アセスメントから計画・実施・評価までの一連の流れを習得することは、実践力向上に繋がります。
老健について理解する
特養が要介護度の高い方が終身で生活する「生活の場」であるのに対し、老健は病院治療後、自宅への復帰を目指す高齢者がリハビリを行う「リハビリの場」です。そのため、老健の管理栄養士は、短期集中の栄養管理で身体機能回復を支援し、在宅での食生活を見据えた栄養指導を行います。
老健の管理栄養士にとって、「在宅復帰」という施設の明確な目的を理解することは非常に重要です。これにより、提供する栄養ケアの方向性が定まり、病院から自宅へつながる高齢者ケア全体の流れを把握し、多様なニーズに対応する力が身につくでしょう。そのためにも、施設の特徴を深く理解しておくことが大切です。
老健の管理栄養士に関するQ&A
Q.老健で管理栄養士を兼務することはできますか?
A.介護老人保健施設(老健)で管理栄養士を兼務することは可能です。 特に、同じ敷地内にある病院など、別の医療・介護施設との兼務が一般的なケースです。ただし、栄養管理に支障が出ない範囲で、人員基準を満たしていることが条件となります。
Q.老健で管理栄養士として働くメリットは何ですか?
A.栄養学の専門知識を活かし、利用者一人ひとりの状態や目標に合わせた栄養ケア・マネジメントや食事の提供、栄養指導を通じて利用者の栄養状態を改善・維持し、在宅復帰を支えることができます。
また、医師、看護師、リハビリスタッフなど多職種と連携し、質の高い栄養ケアを提供でき、他職種の専門領域を学ぶ機会も豊富です。
Q.老健で管理栄養士として働くデメリットは何ですか?
A.老健の管理栄養士はやりがいも大きいですが、デメリットもあります。
特に、人手不足による業務過多が挙げられます。献立作成から栄養ケア計画、書類作成まで広範で、緊急対応も頻繁です。多様な利用者への個別対応の複雑さや、安全・健康に関わる責任の重さも精神的な負担になりがちです。
多職種連携では、栄養ケアの必要性を伝え、意見を調整するコミュニケーションの難しさに直面することもあります。加えて、365日稼働の施設ではシフト勤務となるため、不規則な生活がデメリットに感じるかもしれません。
まとめ
この記事では、老健で働く管理栄養士について、その重要な役割から具体的な仕事内容、やりがい、大変な点、そして適性までを詳しく解説しました。
老健は、利用者が自宅へ帰るための「リハビリの場」であり、管理栄養士は、栄養面からその在宅復帰を直接的かつ集中的にサポートする重要な専門家です。
個別性の高い栄養ケアや多職種連携での調整など、大変な側面もありますが、利用者の回復を支え、「食べる喜び」が在宅生活へつながる瞬間に立ち会えることは、かけがえのないやりがいとなるでしょう。
高齢化が進み、在宅医療・介護がより重視される今、老健における管理栄養士の専門知識とスキルへのニーズは高まる一方です。栄養の専門知識を活かし、利用者の在宅復帰という大きな目標達成に貢献したいと考える方は、ぜひ老健でのキャリアを検討してみてはいかがでしょうか。
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