看護師とはどんな仕事？資格の取り方や給与事情、向いている人など

看護師の資格要件

看護師になるには、3年以上の看護専門学校または大学で所定の課程の修了と、その後に看護師国家試験に合格する必要があります。教育課程では、患者へのケアに必要な知識や技術だけでなく、医療チームとの協力、問題解決能力を学びます。この過程を経て、看護師として実務に必要な幅広い能力を身につけます。

男女比

厚生労働省の「令和4年衛生行政報告例」によると、令和4年度の看護師男女比率は以下の通りです。

全体	女性	男性
131万1687人	119万9523人	11万2164人

男性看護師は増加傾向にあるといわれていますが、現状でも女性看護師が9割を占めています。

■准看護師

准看護師とは、保健師助産師看護師法第5条において、以下のように定義をされています。

「准看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、医師、歯科医師又は看護師の指示を受けて、前条に規定することを行うことを業とする者をいう。

准看護師の資格要件

准看護師になるには、都道府県知事から発行される「准看護師免許」が必要です。免許を取得するためには、2年間の全日制または定時制の養成学校に通い、准看護師資格試験に合格しなければなりません。また、准看護師養成学校に入学するには、中学校を卒業していることが求められます。

男女比

厚生労働省の「令和4年衛生行政報告例」によると、令和4年度の准看護師男女比率は以下の通りです。

全体	女性	男性
25万4329人	23万5521人	1万8808人

看護師と同様に、准看護師の男女比率も女性が9割を占めている状況です。しかし、准看護師全体も令和2年度に比べて3万人減少しています。

■助産師

助産師とは、保健師助産師看護師法第5条において、以下のように定義をされています。

「助産師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう

助産師の資格要件

助産師になるためには、看護師国家試験に合格した後、さらに1年以上の教育を受け、助産師国家試験に合格することが求められます。看護師としての基礎を持ち、助産師としての専門的な知識と技術を習得することが重要です。

なお、保健師助産師看護師法第三条において、男性は助産師にはなれないと規定されています。令和4年度の助産師は全体で3万8063人おり、令和2年度より123人の増加が見られました。

■保健師

保健師とは、保健師助産師看護師法第5条において、以下のように定義をされています。

「保健師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。

保健師の資格要件

保健師になるためには、看護師国家試験に合格した後、1年以上の教育を受け、保健師国家試験に合格することが求められます。看護師としての基本的な知識を基に、地域や職場での健康支援に必要な専門的なスキルを身につけることが重要です。

男女比

厚生労働省の「令和4年衛生行政報告例」によると、令和4年度の看護師男女比率は以下の通りです。

全体	女性	男性
6万299人	5万8352人	1947人

全体の人数は、令和2年度に比べて4704人増加していますが、9割は女性が占めています。

2.看護師の仕事内容とは？どんな仕事が多い？

看護師は、患者の体と心の両方をケアすることが基本です。業務内容は施設や勤務形態によって異なりますが、主に「医師のサポート」と「患者の看護」に分類されます。また、患者との信頼関係を築くためのコミュニケーションも重要な役割の一つです。以下で、各業務を詳しく解説します。

医師のサポート

医師のサポートとは、診察や手術時における補助です。診察時、看護師は患者の血圧、体温、脈拍などのバイタルサインを測定し、その結果を医師に報告します。
また、点滴や注射、採血などの処置を担当し、医師と協力して患者の状態を常に監視します。手術時には、手術補助として器具の準備や患者の体位調整を行い、手術が円滑に進むようにサポートします。
これらの業務を通じて、医師と看護師は密に連携し、患者の治療に全力で取り組んでいます。

患者さんの看護

患者さんの看護は、入院や在宅治療を受ける患者をサポートしながら、その健康状態を見守る業務です。
看護師は、食事や排泄、入浴の介助を通じて、患者さんが快適に過ごせるようサポートします。
また、体位変換や患者さんの移送も重要な役割であり、身体の負担を軽減し、ケアの質を向上させます。さらに、カルテに患者さんの状態を記録し、医師や他のスタッフと情報を共有することで、よりスムーズな治療が行えるよう努めます。

このように、看護師の業務は非常に幅広く、重要な内容ばかりです。また、勤務先の医療分野や施設形態によって、具体的な仕事内容は大きく異なります。自分の理想の看護を実現するためには、各職場の特徴を理解することが大切です。

看護師の仕事内容は？診療科・施設・雇用形態ごとの特徴を解説

看護師の仕事内容は、勤務する診療科や施設、雇用形態によって異なりますが、共通して求められるのは患者の健康管理とケアです。診療科ごとには、それぞれ特化した看護が求められます。以下は、診療科、施設、雇用形態ごとの特徴の違いです。

診療科別

内科では慢性疾患の患者さんの管理が中心となり、外科では手術前後のケアが求められます。産婦人科では妊産婦や新生児のケアが主な仕事となり、救急科では緊急対応や多様な病状に対応するスピード感が求められます。

施設別

病院勤務の看護師は、患者さんの入院から退院までのケアを行い、医師の指示に基づいた医療行為を担当します。病棟では治療や手術の補助に加え、日常的な介助や生活支援も行います。

診療所勤務の場合、外来患者のサポートが中心で、予防接種や健康相談、簡単な処置を行います。福祉施設では入所者の健康管理と生活支援を行い、介護スタッフと連携します。さらに訪問看護師は、自宅療養中の患者さんへのケアを行い、高齢者や障害者の生活環境に合わせた看護をするなど、勤務する施設によって仕事内容に違いがあります。

雇用形態別

正社員として働く看護師は、長期的に同じ病院や施設で勤務することが多いです。一方で、派遣看護師やパート看護師は、勤務時間や勤務先が柔軟に選べるという特徴があります。看護師の仕事は、施設や雇用形態によって幅広く、それぞれの環境に応じたスキルや対応が求められます。

3.看護師の働き方は？一日の仕事の流れを紹介

看護師の一日は忙しく、さまざまな業務をこなしながら患者さんのケアを行っています。勤務先や部署によって異なる部分もありますが、共通して患者さんの健康を守るための重要な役割を担っています。ここでは、看護師の一日の仕事の流れをご紹介します。

看護師の勤務形態は4種類

看護師の勤務形態は、主に以下の4種類です。

日勤
交代勤務
夜勤専従
単発／短期

次で、それぞれの特徴を詳しく説明します。

■日勤

看護師の日勤は、朝から夕方までの通常の勤務時間で働く形態です。決まった時間に働けるため、生活リズムが整いやすく、休日も安定しています。特に家庭やプライベートとのバランスを取りやすい点が大きな魅力です。一方で、夜勤手当がないため、交代勤務の看護師に比べて収入が少ない点が挙げられます。

■交代勤務

看護師の交代勤務には、二交代制と三交代制があります。二交代制では、日勤と夜勤の時間帯が長く、夜勤明けに連休が取れるため体力回復しやすい点がメリットです。しかし、夜勤の負担が大きくなります。三交代制は、勤務時間が短く残業も少ないですが、月間の勤務日数が増えます。いずれも体力的な負担が大きいため、自分に合った勤務形態を選ぶことが重要です。

■夜勤専従

看護師の夜勤専従とは、夜間のみ働く勤務形態です。日勤がないため、深夜手当が常に支給され、収入が増える点がメリットです。しかし、夜間勤務のみで生活リズムが崩れやすく、体調への負担が大きくなることがデメリットとなります。

■単発／短期

看護師の単発・短期勤務は、派遣やパート・アルバイトとして働く形態です。希望する時だけ働けるため、柔軟な働き方ができるのがメリットです。しかし、仕事がない時期もあり、安定した収入が得にくいというデメリットがあります。

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4.看護師資格を活かせる職場

看護師の活躍の場は、病院やクリニックだけでなく、介護施設や訪問看護ステーション、保育園、一般企業など多岐にわたります。さらに、動物病院での勤務や、イベント・ツアーナースといった特殊な働き方もあり、資格を活かせる選択肢は豊富です。

また、働き方の希望に応じて職場を選ぶことも可能です。家庭と両立しやすい環境を求めるなら、日勤のみのクリニックやデイサービス、託児所付きの事業所が適しています。一方、訪問看護は高収入が期待でき、経験を活かしたキャリアアップの場としても魅力的です。

さらに、企業での健康管理業務や、海外で活躍するケースもあります。職場ごとに働き方や待遇は異なるため、自分のライフスタイルや将来の目標に合った環境を選ぶことが大切です。看護師資格を活かせる場は幅広く、多様な選択肢があります。

5.看護師の給与事情

看護師の給与は、年収だけでなく、深夜手当や残業代、賞与などによって構成されています。特に、基本給に加えて支給される夜勤手当や残業手当は、看護師の収入に大きな影響を与えるのが特徴です。夜勤手当は勤務形態によって金額が異なり、その分が年収に反映されます。また、看護師の月収や手取りは、勤務先や地域によって差があり、個々の状況により変動します。全体としては、資格職ならではの安定した収入が得やすい職業です。

以下は、看護師の給与の内訳に関する詳しい内容です。

■基本給

日本看護協会「2023年病院看護実態調査」によると、看護師の基本給は学歴や勤続年数によって異なります。新卒の場合、高卒+ 3年課程の看護師は基本給が約204,950円、税込給与総額が約266,558円となります。大卒の看護師は、基本給が約210,963円、税込給与総額が約274,752円です。また、勤続10年の看護師（31〜32歳、非管理職）の場合、基本給は約247,629円、税込給与総額は約326,675円となり、経験を積むことで給与が増加する傾向があります。

出典：日本看護協会「2023年病院看護実態調査」P49

■残業手当

看護師の残業代は、近年働き方改革の影響を受け、減少傾向にあります。日本看護協会の「2023年病院看護実態調査」によると、看護師の月平均残業時間は5.2時間と報告されています。残業時間が少ないため、残業代も1万円～2万円程度となることが一般的です。特に病棟勤務は外来勤務に比べて残業が多い傾向にありますが、電子カルテの導入や業務効率化が進み、残業時間は年々減少しています。

■深夜手当

看護師の夜勤手当は、給与の中で大きな割合を占めます。病院の多くは、深夜時間帯の割増賃金を含む定額の夜勤手当を支給しており、一部では割増賃金とは別に定額の手当を設けています。日本看護協会の調査によると、2交代制の夜勤では1回あたり11,368円、3交代制では準夜勤4,234円、深夜勤5,199円が平均的な手当額です。
夜勤の回数次第で月収が3.5万～5万円、年収で42万～60万円増える計算になるため、収入アップを目指す看護師にとって重要なポイントとなります。

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6.看護師になるには

看護師になるには、まず中学または高校を卒業し、その後、看護教育課程を修了することが必要です。
中学卒業後は5年一貫制の看護高等学校に進学し、卒業後に看護師国家試験の受験資格を得られます。高校卒業後の進路としては、4年制大学、3年制短期大学、または3〜4年制の専門学校があります。
いずれのルートでも、必要なカリキュラムを履修し、卒業後に看護師国家試験を受験・合格することで、正式に看護師として働く資格を取得できます。大学進学はより専門的な学びを得る機会となり、キャリアの選択肢が広がる点が特徴です。

准看護師から看護師になるには

准看護師を経て正看護師になるためのルートはいくつかあります。

中卒であれば、准看護師試験に合格した後、3年の実務を経て看護師学校養成所に通い、看護師資格を取得するルート。高卒の場合は、准看護師試験合格後に看護師学校養成所に通い、看護師資格を取得するルートが一般的です。
また、高校卒業後に准看護師学校養成所に2年間通い、准看護師試験に合格、その後7年間の実務を経て通信制の看護師学校養成所に2年間通い、看護師資格を取得するというルートもあります。

7.看護師の仕事が向いている人の特徴

看護師は、医療現場で患者のケアを担う重要な職業です。人と接する機会が多く、専門的な知識や技術だけでなく、適性も求められます。では、どのような人が看護師に向いているのでしょうか。ここでは、看護師として活躍しやすい人の特徴を紹介します。自身の適性を知り、看護の道を目指す際の参考にしてみてください。

責任感が強い人

看護師は患者の命を預かる重要な役割を担っています。そのため、強い責任感を持ち、常に最善のケアを提供することが求められます。業務を遂行する際は、細部まで気を配り、ミスを防ぐための確認を怠らないことが大切です。
冷静な判断力と慎重な対応で、患者の安全を守り続ける姿勢が重要です。

人を助けるのが好きな人

看護師は人を助けることができる仕事です。困っている人や病気に苦しんでいる人に手を差し伸べ、心身ともにサポートすることが大きなやりがいとなります。患者一人ひとりの状態に寄り添い、安心感を与えるためには、他人を思いやる優しさと献身的な姿勢が必要です。
人を助けることに喜びを感じる人にとって、看護師の仕事は最適な職業です。

体力や精神的な余裕がある人

看護師の仕事は、体力や精神力が重要です。昼夜を問わず忙しいシフトや患者対応に追われる中で、長時間の勤務や体力的負担に耐えられる強さが必要です。また、精神的な余裕を持ち、ストレスを上手に管理できることも大切です。
そのため、困難な状況に直面しても冷静さを保ち、仕事を続けられるタフさがある人が向いています。

コミュニケーション力がある人

看護師には患者や医師、その他のスタッフとの円滑な連携が求められます。良好なコミュニケーション力は欠かせません。特に、患者の気持ちを理解し、適切な対応をするための「傾聴力」と、問題解決に向けて自分の意見や提案を伝える「提案力」が重要です。
状況に応じて適切に言葉を選び、相手に寄り添うことができる人は、看護師として大きな力を発揮できます。

マルチタスクが得意でいつでも冷静でいられる人

看護師は多くの業務を同時にこなさなければならないため、マルチタスクを得意とする人が向いています。患者のケアや処置、記録作業など、次々に異なる業務が待ち受けていますが、どれも妥協せずにこなさなければなりません。冷静に状況を判断し、優先順位をつけて効率よく動けることが大切です。
落ち着いた対応で、急な事態にも適切に対処できる人は、看護師に適した資質を持っています。

8.看護師の仕事のやりがいは？

看護師の仕事には、患者の回復をサポートする喜びや、日々の努力が直接的に成果として現れる瞬間があります。命を預かる責任感や、患者との信頼関係を築く中で得られるやりがいは、他の職業では味わえない特別なものです。
ここでは、看護師の仕事のやりがいをご紹介します。

患者さんから感謝されること

看護師にとって、患者さんから感謝の言葉をもらうことは、大きなやりがいの一つです。
日々のケアの中で、患者さんの小さな変化に気付き、支え続けることで、回復に向かう姿を見ることができます。特に、退院時に「ありがとう」と言われる瞬間は、他のどんな仕事にも代えがたい喜びを感じさせてくれます。
患者さんとの信頼関係を築き、その成長を共に感じることができるのが看護師の魅力です。

患者さんが回復するのを見届けられること

看護師の仕事の中で、患者さんが回復する過程を見守ることは、非常に大きな意味を持ちます。
病気や怪我によって一時的に失われた能力が、治療やリハビリを通じて少しずつ回復し、再び日常生活を取り戻す姿には、深い感動があります。
退院する時や自立ができるようになった時は、看護師としての大きな達成感を与えてくれる瞬間です。

給料や賞与の待遇が良いこと

看護師の仕事は、給料や賞与が良いという点も大きな魅力です。
新卒看護師の初任給は、他の多くの職種と比べても高い水準にあり、特に医療機関では資格手当や夜勤手当などの追加報酬もあります。これにより、同年代の友人と給与を比べた時にも、看護師の選択が正しかったと実感できるのではないでしょうか。
また、経験を積んでいくことで、さらに安定した収入を得られる可能性も高まります。

社会のためになる仕事であること

看護師は、社会に欠かせない役割を担う職業です。
医療現場だけでなく、保育園や企業などさまざまな場所で活躍しており、その仕事が直接的に社会全体の健康や福祉に貢献しています。日々の患者ケアを通じて命を守るだけでなく、予防や健康管理にも関与し、広い範囲で社会に役立つことができます。
自分の仕事が社会に良い影響を与えていると感じることが、看護師にとっての大きなやりがいです。