介護福祉士実務者研修とは|費用と働きながら無料で取る方法、通学日数と難易度
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「実務者研修っていくらかかる?受講料の元は取れる?」
「働きながらスクールに通う時間なんて作れるの?」
キャリアアップしたくても、お金と時間で悩む方は多いはず。
結論、実務者研修を「全額自腹」で受講するのは、もったいない選択です。実は、働きながら費用をかけずに(会社負担で)資格を取れる賢いルートが存在します。
この記事では、多くの現役介護職が実践する「無料で取る方法」と、資格取得で年収がどう変わるのかを、具体的なデータで解説します。あなたのキャリアアップを後押しします。
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目次
介護福祉士実務者研修とは?|介護福祉士の絶対条件
介護福祉士実務者研修は、国家資格である「介護福祉士」になるために、必ず取らなければならない資格です。位置付けとしては、介護職員初任者研修の上位資格となります。
1. 介護職員初任者研修(旧ヘルパー2級):入門・基礎
2. 介護福祉士実務者研修(旧ヘルパー1級相当):応用・実践
3. 介護福祉士:国家資格・リーダーレベル
正式名称は「介護福祉士実務者研修」ですが、現場では「実務者研修」と略して呼ぶのが一般的です。そのため、本記事でも同様に記載します。
【比較表】初任者研修と実務者研修の違い
よく「初任者研修とどっちを取ればいいの?」と迷う方がいますが、違いは明確です。
| 項目 | 初任者研修 | 実務者研修 |
|---|---|---|
| レベル | 初心者向け | 中級・上級者向け |
| 介護福祉士の受験 | できない | 必須(受験要件) |
| できる仕事 | 基本的な介護 | 基本+医療的ケアの基礎知識 |
| 役職(サ責) | 原則なれない | なれる(役職手当あり) |
| 受講時間 | 130時間 | 450時間 |
最大の違いは、介護福祉士の受験要件かどうかです。実務者研修を取ると「サービス提供責任者(サ責)」になれること、「医療的ケア(たんの吸引など)」の基礎知識が身につくことも大きな違いです。これにより、現場での活躍の幅が広がり、給料アップにも直結します。
初任者研修を修了してから実務者研修を受講すると、受講時間が450時間から320時間に短くなります。これにより、学習の負担も費用の負担も大きく減ります。
無資格からいきなり実務者研修を受けることも可能です。ただ、まったく未経験の方はいきなり450時間のカリキュラムを受けると大変なので、「初任者研修」→「実務者研修」の順でステップアップするのがおすすめです。
費用相場は10万円以上!それでも「元が取れる理由」
実務者研修の受講にかかる費用は、あなたが今持っている資格や、スクールによって幅があります。
- 無資格から受ける場合:約11万円〜20万円
- 初任者研修持ちの場合:約8万円〜13万円
初任者研修をお持ちなら、キャンペーン等を利用して8万円台で受講できるスクールもありますが、基本的には10万円以上かかると考えてください。
介護系資格別の平均年収データ
厚生労働省のデータ(賞与込みの年収換算)を見ると、資格ごとの給与差は以下のようになっています。
| 所有資格 | 平均年収 |
|---|---|
| 無資格 | 349万円 |
| 初任者研修 | 390万円 |
| 実務者研修 | 393万円 |
| 介護福祉士 | 420万円 |
出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」より端数切り上げ
①無資格から受講する方:間違いなく「お得」です。
実務者研修を取ることで年収が約44万円アップしています。仮に受講料が最大で20万円かかったとしても、わずか半年働くだけで元が取れてしまいます。
②初任者研修をお持ちの方:「介護福祉士」への通過点として必要です。
初任者研修と実務者研修の年収差は3万円程度です。「10万円払って月2,500円しか変わらないの?」と損した気分になるかもしれません。
ですが重要なのは、実務者研修がその先の「介護福祉士(年収420万円)」になるための必須要件ということです。介護福祉士になれば初任者研修のままでいるよりも、年収が約30万円アップします。長い目で見れば、確実にプラスで返ってくるわけです。
実務者研修を働きながら無料で取る方法
「元が取れるのは分かった。でも、やっぱり最初の10万円を払うのはキツイ…」
そう思った方、ご安心ください。自己負担を大幅に抑えたり、「ゼロ」にする方法があります。大きく分けて「公的な制度」と「民間の制度」の2つです。公的な給付金制度を使う(20〜70%OFF)
国が働く人のスキルアップを支援する制度です。「給付金」と「職業訓練」があります。
教育訓練給付制度(一般教育訓練):受講料の20%(上限10万円)がハローワークから支給されます。
専門実践教育訓練給付金:一定の条件を満たせば、最大で受講料の70%が戻ってきます。
職業訓練(求職者支援訓練):現在離職中であれば、テキスト代のみで受講できる場合があります。
【注意点:働きながら使うのは難しい…】これらの制度はありがたいものですが、実は働きながら取る人にとって使い勝手が悪いのが現実です。
- 手続きが複雑でハローワークの窓口に行く必要がある
- 職業訓練はそもそも離職中の人しか使えない
- 給付金は「後払い(キャッシュバック)」なので、最初に10数万円〜20万円を全額自腹で支払う余裕が必要
職場の「資格取得支援制度」を使う(一部負担~全額無料)
★当サイトのおすすめ★介護施設の中には、「働きながら資格を取ってください、費用は会社が応援します!」という求人が数多くあります。これが「資格取得支援制度」です。
費用を大幅カット: 事業所によりますが「全額負担」してくれる太っ腹な施設から、「半額補助」「上限〇万円まで支給」という施設まで様々です。
シフト調整がスムーズ: 「資格を取ること」を応援してくれるので、スクーリング(通学)の日は休みを取りやすくなります。(施設によっては通学日も「出勤扱い」で給料が出ることも)
面倒な手続きなし: 社内の申請書一枚で済むことがほとんどです。
【注意:"条件"は必ず確認しよう】 実務者研修は費用が高額なため、施設によって支援の形が異なります。
- 全額支給タイプ: 会社が全額払ってくれる(一番ラッキーなパターン)
- 一部補助タイプ: 「費用の50%まで」「上限10万円」など、一部を補助してくれるパターン。
- 貸付・免除タイプ:いったん会社が立て替えるが、「資格取得後、1〜2年働けば返済免除(タダになる)」というパターン。長く働くつもりなら実質0円です。
実際、働きながらでも大丈夫?通学日数と難易度
「費用はなんとかなりそう。でも、フルタイムで働きながら勉強なんてできるの?」
「久しぶりの座学で、ついていけるか不安…」
そんな不安をお持ちの方もご安心ください。実務者研修は、そもそも働きながらスキルアップする人のために作られたカリキュラムになっています。
スクーリング(通学)は「最短7日」程度でOK
「450時間の研修」と聞くと長く感じますが、実はその大半は「通信学習(自宅での課題)」です。スクールに通う必要があるのは「介護過程III」と「医療的ケア」の2科目のみです。
- 介護過程III: 介護計画の作成や実践(5〜7日程度)
- 医療的ケア(演習): たんの吸引などの実技(1〜2日程度)
多くのスクールでは、これらを合わせて「通学7日〜10日程度」に設定しています。週1回の通学なら約2ヶ月で終わる計算です。
※注意:初任者研修をお持ちの方はもちろん、無資格の方でも通学日数は変わらない(自宅学習の量は増えます)というスクールが多く、働きながら取得しやすい環境が整っています。
働きながら取得する人のスケジュール例
【週1回通学コースの例】
月〜金: 通常通り勤務(隙間時間にスマホで通信課題をこなす)
土曜日: スクールの通学講座に参加(朝〜夕方)
日曜日: 完全オフ
このように、仕事を辞めたり長期休暇を取ったりする必要は全くありません。
★ここがポイント★自分で受講する場合、土日に休めるか職場に相談する必要がありますが、「資格取得支援制度」のある職場なら、スクーリングの日を優先的に休ませてくれます(業務扱いになることも!)。 だからこそ、働きながら取るなら「理解のある職場」を選ぶことが重要なのです。
試験は難しい?実は合格率はほぼ100%
実務者研修は「落とすための試験」ではありません。授業の内容を理解しているか確認するためのものです。真面目に授業を受けていれば、ほぼ100%修了できると言われています。
万が一、修了試験の点数が足りなくても、補講や再試験を受けて合格できるケースがほとんどです。「難しそう」と身構える必要はありません。
【Q&A】実務者研修の「ここが不安」に答えます
最後に、現場の介護職の方からよく寄せられる「リアルな悩み」にお答えします。
Q1. 資格を取ると給料が高くなるから雇われにくくなりませんか?
A. 完全な誤解です。むしろ逆です。
「無資格で安い給料の人の方が、施設は使いやすいのでは?」と心配される方がいますが、それは間違いです。介護施設には「有資格者が多いと、国から貰える報酬(加算)が増える」という仕組みがあります。
つまり、あなたの給料を上げても、それ以上に会社に入る売上が増えるため、施設側はあなたを喉から手が出るほど欲しいのです。安心して資格を取ってください。
Q2. パートや派遣でも取る意味はありますか?
A. あります。時給アップの「最強の交渉カード」になります。
多くの職場で、時給に数十円〜百円程度の手当がつきます。また、派遣会社によっては「実務者研修以上」の人にしか紹介しない高単価な非公開求人も多数あります。
「働き方の選択肢」を広げるためにも、パート・派遣の方こそ取得をおすすめします。
Q3. 久しぶりの勉強で不安…レポート等は大変ですか?
A. 大変ですが、落ちることはありません。安心してください。
「勉強なんて学生以来…」という40代・50代の方も大勢受講されていますが、皆さん無事に修了されています。 通信課題(レポート)はスマホで回答できるスクールも増えていますし、テキストを見ながら解ける問題ばかりです。
Q4. 夫(家族)に「受講料が高い」と反対されています…
A. 「半年で元が取れる」データを見せるか、制度を活用しましょう。
前半で紹介した「給与アップのデータ」を見せて説得するのが一つ。それでも家計からの出費を渋られる場合は、「会社の金で取るからタダだ(しかも給料は上がる)」と伝えて、資格取得支援制度のある職場への転職を検討しましょう。これなら家族も反対する理由がありません。
Q5. 転職するなら、資格を「取ってから」の方が有利ですか?
A. いいえ、実は「転職してから」取るのが一番賢いルートです。
多くの人が「資格を取ってから転職活動をしよう」と考えますが、それでは受講料(10〜15万円)が全額自腹になってしまいます。 今の介護業界は人手不足なので、無資格や初任者研修のままでも好条件の求人は沢山あります。まずは「資格取得支援制度のある職場」に入社し、会社の費用でタダで資格を取るのが、金銭的に最も損をしない方法です。
まとめ:実務者研修は市場価値と選択肢を広げる
実務者研修は、あなたの「給料」を上げ、「選べる職場の数」を増やし、将来「介護福祉士」として長く活躍するための資格です。さらには、将来体力的に現場の仕事が厳しくなった時に、「ケアマネージャー」へキャリアチェンジする可能性を広げます。
受講料の10万円以上は、決して安い金額ではありません。ただ、「十分に回収できるキャリアへの投資」ということも理解していただけたと思います。
最後に、これからの選択肢を整理しましょう。
- 今のままでいる: 出費はありませんが、給料は横ばいのまま。
- 自腹で受ける: 10万円以上の痛い出費だが、将来的に元が取れる。今の職場に愛着があるなら、この道も正解です。
- 資格取得支援制度で取る(おすすめ): 出費を抑えながら、シフト調整など職場に理解を得られながらキャリアアップする。
どの道を選ぶのが、あなたにとって一番メリットが大きいでしょうか?資格取得支援制度に興味を持った方は、まずは「どんな求人があるのか」を見ることから始めてみませんか。
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