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NST専門療法士認定資格制度は看護師の資格?キャリアになる?疑問に答えます

  • 更新日
投稿者:小口 紗穂

NST専門療法士とは、一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)が認定する資格制度のことです。主として静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養学に関する優れた知識と技能を有している者が、NST専門療法士として認定されます。

NST専門療法士の資格がない看護師も日常的なNST活動に関わることは可能です。しかし、より豊富な知識と実践的な技術を持って活動を充実させ、患者さんの栄養サポートを行えるようになりたいと思い、NST専門療法士受験に挑戦したいと考えている方も多いでしょう。

そこで本記事では、看護師がNST専門療法士を取得するための具体的な方法や、看護の仕事にどう生かせるかを解説します。

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1.NST専門療法士の資格とは

NSTとは、Nutrition Support Teamの略称で、栄養サポートチームと呼びます。NSTは、医師、看護師、薬剤師、管理栄養士などから構成され、入院中の低栄養状態の患者を対象に最適な栄養管理を提供し、疾病の治癒や合併症の予防を目指す栄養ケアチームを指します。

NSTは、1968年のアメリカにおいて多職種で栄養管理を実践・支援するチーム医療の必要性が認識されるようになり、1973年に本格的な活動が始まりました。日本静脈経腸栄養学会(現 日本臨床栄養代謝学会)が2001年よりNSTの普及・啓発に尽力し、現在既に1,300以上の施設にNSTが設立されました。

このようなNSTの爆発的な普及は、日本病院機能評価機構の評価項目の中にも取り入れられ、さらに2006年栄養管理実施加算、2010年4月栄養サポートチーム加算の算定へと大きく飛躍しました。現在、NSTは1,300以上の施設で提供されており、今後も多くの施設での準備が着々と進んでいます。

このように医療の一環として重要視されているNSTですが、医療系の国家資格保有者であれば、特別な資格なしに活動することができます。しかし、より専門的な知識と経験を持った優秀なNSTメンバーを育成するため、一般社団法人日本臨床栄養代謝学会(JSPEN)ではNST専門療法士認定資格制度を設けました。

日本臨床栄養代謝学会は世界最大の栄養関連学会で、多職種で構成される学会としても最大級の規模となっており、NST専門療法士を目指す医療従事者も年々多くなっています。2023年度は、800名超の合格者が出ました。

NST専門療法士の具体的な業務内容は?

NST専門療法士は、静脈栄養・経腸栄養を用いた臨床栄養に関する高度な知識と技能を有し、エビデンスに基づいた栄養管理の実践に貢献するNSTの一員です。以下は、NST専門療法士・看護師としての具体的な業務内容です。

  • 患者さんの個々に応じた必要栄養量を算出し、全身状態を評価した上でプランを立案する
  • 個々に応じた食形態や嗜好を考慮した補食を提案する
  • チームメンバーとのカンファレンスを通じて、適宜栄養プランを修正し、モニタリングする
  • 各看護単位での栄養カテーテル関連の相談、経管栄養における合併症の相談、対応
  • 各看護単位のNST係への栄養教育
  • 入院前・入院時の栄養スクリーニング・入院後の再評価の実施

これらの役割を通じて、NST専門療法士は患者の栄養状態を最適化し、栄養治療の成功に向けて積極的な貢献を行います。各医療機関のNSTによっても多少の違いはありますが、参考にしてみてください。

NST専門療法士はチーム医療の要的存在

医療が複雑化し、患者のニーズが多様化する中、チーム医療が重要視されています。特に「NST(栄養サポートチーム)」では、医師や管理栄養士など多彩な専門家が協力し、患者の栄養管理に的確に対応。これが全身状態の改善や合併症の予防につながり、早期退院を促進します。

昨今、入院患者の栄養管理には細やかな対応が求められ、医師や管理栄養士だけでは不十分。NSTが各専門知識と技術を結集し、患者の嗜好やQOLの向上にも寄与しています。NST専門療法士は、このチームの一員として重要な役割を果たしています。

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2.看護師はNST専門療法士になれる?

看護師は、NST専門療法士になることができます。しかし、看護師に特化した資格ではなく、認定対象国家資格である「管理栄養士、看護師、薬剤師、臨床検査技師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、歯科衛生士、診療放射線技師」いずれかの資格を保有していれば受験可能となっています。

NST専門療法士認定資格は看護師業務に役立つか?

病棟看護師は「患者の一番近く」にいることから、喫食状態や身体状況の変化などにも気づくことができます。入院患者との接触回数が最も多い立場だからこそ得られる日々の情報を、NST専門療法士としての知識を活かしながら、チーム共有できるのは大変意義深いです。

 しかし、看護師がNST専門療法士の一員としてチームで活躍するには、資格取得後にNST(栄養サポートチーム)が稼働している医療機関に移る必要があります。

前項「NST専門療法士の資格とは」で解説した通り、現在NSTは1,300以上の施設で提供されており、今後も多くの施設での準備が着々と進んでいますが、未導入の病院もまだまだあります。よって、NSTの有用性や重要性が認識され、NST導入医療機関が増えていくにつれ、有資格者の活躍の場はさらに広がっていくことでしょう。

※日本臨床栄養代謝学会が認定しているNST稼働認定施設一覧はこちら

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3.NST専門療法士認定資格を看護師が取得する方法

NST専門療法士認定資格を取得するには、年に1度施行される認定試験に申請する必要があります。日本静脈経腸栄養学会のホームページから申請可能です。2023年度の申請期間は約1か月で、マイページから申請。事務局への書類送付は不要でした。

申請開始から締切りまで約30日間になるため、受験希望者は、案内が出ているかこまめにサイトをチェックするのがよいでしょう。2023年度は、試験4か月前にホームページ上に案内が出ていました。

受験料は、10,000円(クレジットカード決済または口座振込)、認定試験に合格した場合は、別途認定料20,000円の納入が必要になります。なお、申請時には下記の書類が必要となります。

  • 国家資格の免許証(写)
  • 臨床実地修練修了証明証(写)
  • 症例報告書(写)
  • 日本臨床栄養代謝学会(旧 日本静脈経腸栄養学会)学術集会参加証(写)
  • NST 専門療法士受験必須セミナー修了証(旧 JSPEN 臨床栄養セミナー、コ・メディカル教育セミナー)(写)
  • 学会の認める全国学会、地方会、研究会参加証(写)

このように複数の書類提出が必要です。書類については、審査、確認を行い、疑義あるものや内容が不十分なものについては再提出が必要となります。余裕をもって準備をしましょう。

特に、看護師国家資格の免許証の写しが必要になりますが、B4サイズで大きいため、実家に保管している人もいるでしょう。必要書類は事前にチェックし、申請時に慌てないように事前準備をしておくことをおすすめします。

 最後に、最も重要な認定要件は以下の通りに定められています。

  • 受験申請時までに日本臨床栄養代謝学会会員であり、かつ会費を完納していること。
  • 日本国における看護師資格を保有していること。
  • 看護師資格保有より3年以上、医療・福祉施設に勤務し、当該施設において栄養サポートに関する業務に従事した経験を有すること。
  • 日本臨床栄養代謝学会学術集会に1回(10単位)以上、本学会主催のNST専門療法士受験必須セミナー(旧 JSPEN臨床栄養セミナー、コ・メディカル教育セミナー10単位)に1回以上参加することを必須とし、この単位数を必須単位数とする。必須単位数30単位以上を有するか、または、必須単位数に加え、本学会が認める栄養に関する全国学会、地方会、研究会への参加単位数の合計が30単位以上あること。なお、「バーチャル臨床栄養カレッジ」修了証については非必須10単位を認める。
  • 第4章の規定により認定された認定教育施設において、合計40時間の実地修練を修了していること。
  • 上記の条件をすべて満たした後、認定のための試験に合格していること。

上記は2024年1月現在のものです。必須単位数ほか変更点がある可能性もあるので、詳細は日本静脈経腸栄養学会のホームページをご参照ください。

なお、上記3の要件は、2023年度より「5年以上の医療・福祉施設での勤務経験が必要」から「3年以上の医療・福祉施設での勤務経験があれば申請可能」に改訂され、今後はより早くNST専門療法士を受験可能となりました。

准看護師の方であっても申請時に看護師資格を取得していれば申請可能です。また、実務経験年数に准看護師として勤務した期間を加算することができます。

NST専門療法士認定資格のセミナー・実地訓練について

NST専門療法士認定要件にある学術集会およびセミナー、実地訓練に関しては、日本臨床栄養代謝学会のホームページから情報を得ることができます。

2023年度、学術集会は神戸コンベンションセンターにて行われ、現地参加とオンライン参加を選択できました。2024年度は、パシフィコ横浜ノース・アネックスホールにて、2日間開催が決定しています。

普段聞くことができないような講演が多数あり、認定試験のためだけではなく、新しい情報の収集と勉強のために、参加するのもよいでしょう。

受験必須セミナーは年数回開催され、2023年度は2回開催されました。オンライン受講 となり、1回のセミナーの受講期間は2か月間視聴可能となっています。セミナーは12講座(視聴数は34コマ)あり、各視聴講座は、動画視聴と確認のテストで構成されており、動画視聴の完了と確認テストの合格で「受講済」となる仕組みです。

本セミナーを受講することで、認定要件にある単位10単位を取得できます。

実地訓練は、実地修練を受ける認定教育施設に各自申請する必要があります。実施場所は、日本臨床栄養代謝学会より「NST稼働施設」および「学会認定教育施設」の認定を受けている病院内。日程は各病院によって異なりますが、期間は5~8日間程度で、計40時間の実習となります。

費用は、10,000~20,000円程度とされておりますが、詳細は各病院へ確認しましょう。

オンライン受講等による実地を伴わない修練時間は40時間には該当しないため、オンラインでの修練実施では修了とは認定されません。

また、講義などの座学部分や一部のカンファレンスをオンラインで実施することは可能となっていますが、これに係る時間を40時間に加えることは現時点ではできないと決められています。あくまでも、認定教育施設内での実地訓練のみが時間換算される旨を注意しましょう。

修練カリキュラム内容は下記のとおりです。また具体的な毎回ごとのカリキュラムは指導責任者に委任されています。

  • 栄養障害例の抽出・早期対応(スクリーニング法)
  • 栄養薬剤・栄養剤・食品の選択・適正使用法の指導
  • 経静脈栄養剤の側管投与法・薬剤配合変化の指摘
  • 経静脈輸液適正調剤法の取得
  • 経静脈栄養のプランニングとモニタリング
  • 経腸栄養剤の衛生管理・適正調剤法の指導
  • 経腸栄養・経口栄養のプランニングとモニタリング
  • 簡易懸濁法の実施と有用性の理解
  • 栄養療法に関する合併症の予防・発症時の対応
  • 栄養療法に関する問題点・リスクの抽出
  • 栄養管理についての患者・家族への説明・指導
  • 在宅栄養・院外施設での栄養管理法の指導

NST専門療法士認定資格の試験の内容

試験は2時間制で、80問のマークシート方式です。最低合格ラインは正答率60%。出題範囲は、日本臨床栄養代謝学会の『静脈経腸栄養テキストブック』に基づいており、栄養学や代謝学の基礎知識、静脈栄養と経腸栄養、そしてさまざまな病気の患者に対する栄養管理の考え方など、非常に広範囲にわたります。

試験対策としては、最初に「受験必須セミナー」を受講し、しっかりと頭に入れることが重要です。

また、日本臨床栄養代謝学会が提供する「日本静脈経腸栄養学会認定試験 基本問題集」や「日本静脈経腸栄養学会 NST専門療法士認定試験 過去問題集Ⅰ」も活用し、さらに「静脈経腸栄養テキストブック」も事前に読み込むとよいでしょう。

基本的には、この3冊で勉強したという受験者の声が多くなっております。これらのテキストは、Amazon等のオンライン書店で購入可能となっております。

テキストは必ず最新版が出ていないか確認し、新しいものを購入するように注意しましょう。

NST専門療法士認定資格試験の合格率

NST専門療法士認定資格試験の合格率は、70%前後とされています。厚生労働省のデータによると、看護師国家試験の過去十年間の平均合格率が89.8%のため、看護師試験よりも合格率は低くなります。

試験の難易度の違いに併せ、NST専門療法士認定資格試験は通常、仕事をしながら隙間時間を利用して勉強することが期待されます。一方で、看護師国家試験は看護師学校での勉強に充てる時間が長いため、勉強時間も合格率に影響しているかもしれません。

NST専門療法士認定資格の有効期限

NST専門療法士認定資格試験の認定期間は、5年間です。更新をするためには、5年間の認定期間中に下記の要件が必要になります。

  • NST専門療法士に認定されてから更新時期まで引き続いて本学会会員であり、かつ会費を完納していること。
  • 認定期間中に以下に示す必須20単位を含む合計30単位以上を取得していること
  • 認定期間中に2年以上、医療または福祉施設において臨床栄養管理業務に従事していること。2年に満たない場合には、1年につき10単位の取得により代替えすることができる。なお、代替内容は、本学会学術集会(10単位)および支部学術集会(各5単位)に限定する。
  • 休会期間は認定期間に含めない。休会中に取得した単位や資格更新申請は認めない。

NST専門療法士認定後、2年以上経過すると資格更新手続きを行うことができます。なお、資格更新手続きの期限は認定期間終了の1年前に行われる更新申請期日となります。更新希望の場合は、忘れずに対応しましょう。

資格更新時は、「NST専門療法士認定証」と「国家資格の免許証」の提出が必須で、更新審査認定料として10,000円納める必要があります。また、日本臨床栄養代謝学会会員であることも更新時の必須条件のため、会員更新も忘れずに対応しましょう。

NST専門療法士認定後も、最長で5年に一度の認定資格の更新費と、毎年の会員更新費(正会員年会費9,000円)がかかることを覚えておきましょう。

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4.NST専門療法士に関するよくある質問

NST専門療法士に関するよくある質問を解説します。その他不明点がある場合は、職場のNST専門療法士に確認をするか、日本臨床栄養代謝学会に問い合わせしましょう。

NST専門療法士は採用されやすい?

NST専門療法士は、NSTの積極的な導入をしている大規模病院で需要が高まっています。また、福祉分野では介護施設、療養施設、在宅医療などからも求められています。

NST専門療法士必須の求人は稀ですが、栄養療法の知識が活かされる職場は多く、応募時に大きな強みになります。また、継続的な学びを証明するNST専門療法士の資格は、転職時にも大きなアピールポイントとなります。

なお、NST専門療法士の資格を持っている場合、月数万円程度の資格手当が支給される場合もあるようです。

NST専門療法士資格取得のメリットは?

近年急速に進化している「チーム医療」「栄養管理分野」の専門家であるNST専門療法士。NST稼働登録施設は1,300件以上に達し、前述の通り、2006年の「栄養管理実施加算」、2010年の「栄養サポートチーム(NST)加算」などの導入で、NSTを採用する病院が増加しています。

これにより、活躍の場が今後もより一層広がると考えられます。

また、NST専門療法士の取得・更新には学会やセミナーへの参加が必要であり、これにより最新の医療知識や技術を定期的に学び続けることができます。

医療の世界は日々進化しており、数年前の当たり前が変わることもあります。NSTに従事していなくとも、最新情報のキャッチアップができることは、看護師としてのスキルアップにもつながるでしょう。

NST専門療法士資格取得試験は難しい?

NST専門療法士資格取得試験は、前述の通り合格率70%前後であり、看護師国家試験と比較すると合格率が低くなることから、難しいと感じる人も多いでしょう。

栄養学や代謝学の基礎知識、静脈栄養と経腸栄養について、さらには多様な病気の患者に対する栄養管理の考え方など、極めて広範囲が試験範囲となります。

栄養に絡む出題がメインのため、管理栄養士に有利とも言われています。試験問題は全職種同じですので、薬剤師など基礎知識がある人にとっては生化学などの領域が比較的理解しやすい等、職種による得意・不得意はあるかもしれません。

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5.まとめ

ここまでNST専門療法士に関して解説してまいりましたが、いかがでしょうか。NST専門療法士認定資格は、NSTのある医療機関で働く看護師以外にはすぐにキャリアアップにつながるものではありませんが、将来を見据えて取得することは大変有益です。

NSTに関わっていなくとも、日々の業務の質を向上させるためにも役立ちますので、ぜひ資格取得を検討してみてください。

また、キャリアアップを積極的に目指したい人は、NST専門療法士認定資格を取得して、栄養サポート(NST)専門療法士の看護師として転職を考えることも、選択肢の1つとなります。

看護師の求人数と比較をすると、栄養サポート(NST)専門療法士に特化した求人は限られていますので、この転職を視野に入れる際には、医療系の求人に特化した国内最大級のメディカルドットコムが便利です。スピーディーな転職活動を実現し、豊富な求人数・新鮮かつ正確な求人情報で、あなたの希望に沿った転職が叶うことでしょう。ぜひご活用ください。

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URL:https://www.2ndlabo.co.jp

東京大学を卒業後、大学病院の病棟看護師として勤務。アレルギー・リウマチ内科、腎臓内分泌内科、心療内科等幅広い領域を担う病棟で従事。
2023年よりセカンドラボ株式会社に入社。医療介護向け求人メディア「コメディカルドットコム」の営業・採用課題のサポートを行う。また、看護師の経験を生かし、看護師に関連するコンテンツ作成にも従事。

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