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訪問看護における作業療法士の役割と仕事内容

  • 更新日
投稿者:小松 和貴

近年、作業療法士の活躍の場が広がっており、次の転職先として、訪問看護に興味を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
「病気や障がいがあっても、できるだけ住み慣れた家にいたい」「自宅で家族と一緒に生活したい」という思いから、在宅でリハビリを希望する方が増えています。

では、訪問看護における作業療法士はどのようなケアを行っているのでしょうか。本記事では、訪問看護ステーションで働く作業療法士の役割や仕事内容、転職するために必要な資格や経験などを解説します。

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1.訪問看護における作業療法士の役割

訪問看護における作業療法士の役割は、医師や看護師など、多職種と連携して利用者さんの生活を支えることです。ここでは、具体的な役割と病院との仕事内容の違いについて解説します。

在宅生活のサポート

訪問看護における作業療法士は、利用者さんが住み慣れた自宅で、自分らしく生活するために支援する役割があります。在宅生活をサポートするためには、利用者一人ひとりに合わせたケアを提供しなければなりません。

バイタルチェックや日常生活動作訓練、環境整備、さらにはご家族から相談業務やアドバイスも行います。訪問看護を通じて、利用者さんが安全に、快適な生活を送れるように整えるのが役割の一つです。

自立支援と社会参加支援

訪問看護における作業療法士には、身体機能の向上や日常生活動作の獲得だけでなく、自立した生活や社会参加を見据えたリハビリテーションが求められています。在宅でリハビリを受ける方は、入院が必要なレベルの状態は脱しているため、日常生活関連動作や社会復帰を目的としたお手伝いをします。

具体的には、

  • 掃除や家事、買い物などの日常生活動作訓練
  • 外出の機会をつくり、対人関係を広げる支援
  • 福祉用具の導入などの環境整備
  • 地域コミュニティへの参加支援
  • 復職支援や就労支援

などです。さらに、ご家族への指導や相談にも乗り、利用者さんの生活を支えるために包括的な支援を行います。

病院との仕事内容の違い

訪問看護と病院では、目的や仕事内容に違いがあります。病院では、院内のリハビリ室で患者様のリハビリを行い、患者さんの急性症状を安定させて回復をサポートするのが目的です。医師や看護師、他の作業療法士・理学療法士が在籍しているため、すぐに相談できる環境が整っています。

一方で訪問看護は、身体機能の向上だけでなく、日常生活における自立や社会参加の支援、家族へのサポートなど、包括的に行うのが病院とは異なる点です。また、訪問看護は作業療法士が一人で利用者さんの自宅に訪問し、サービスを提供します。

通常は訪問看護師が行う、バイタルチェックや健康状態の確認などを作業療法士が行うことも多いです。そのため、訪問看護は病院勤務と比べて、リハビリ以外の業務も求められるでしょう。

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2.訪問看護における作業療法士の具体的な仕事内容

訪問看護における作業療法士の仕事内容は以下のとおりです。

  • 生活環境の評価と整備
  • ADL・IADLの評価と支援
  • 福祉用具の選定と導入支援
  • 家族への介護指導・相談対応

一つずつ解説します。

生活環境の評価と整備

生活環境の評価と整備は、利用者さんが安全に、快適に生活してもらうために大切なことです。生活環境の評価は、利用者さんの症状に適した家具が配置されているか、最近の生活状況の変化や転倒していないかなどを専門的な立場から評価します。

必要があれば、生活環境の整備も行います。ここでいう生活環境の整備とは、単なる住宅改修だけでなく、福祉用具の導入や活用なども含めた、生活環境を最適にするための調整です。福祉用具の導入や住宅改修などが必要な場合は、ケアマネージャーと福祉用具業者と連携して行います。

ADL・IADLの評価と支援

利用者さんが「その人らしい生活」を送るために、ADL・IADLの向上を支援するのも、訪問看護における作業療法士の仕事です。まずは利用者さんの運動能力やバランス感覚、知覚、柔軟性などを評価したうえで、リハビリテーションを開始します。

ADLは、食事や着替え、トイレ動作、歩く・車椅子の操作などの日常生活で必要な基本的な動作のことです。IADLは、買い物や交通機関の利用、洗濯、薬・お金の管理などの複雑な動作を指します。

自宅で暮らす利用者さんの状態や生活環境は、一人ひとり大きく異なるため、その人に適したリハビリの提供が重要です。作業療法士には、利用者さんのニーズをしっかりと把握し、必要なリハビリを見極める能力が求められるでしょう。

福祉用具の選定と導入支援

訪問看護で活躍する作業療法士は、利用者さんの生活を円滑にするために、福祉用具の選定と導入支援も行います。福祉用具の選定・導入だけでなく、家屋の改修についてアドバイスを行うのも仕事内容の一つです。

具体的には、以下のようなことを行います。

  • 歩行器や車椅子の選び方や使い方のアドバイス
  • 利用者さんが使う部屋は普段どのように使用されているか
  • 手すりを設置することで生活の障害にならないか
  • 福祉用具を使ったときのリスクはないか予測・管理する

福祉用具の導入や住宅改修は、利用者さん・ご家族の生活環境を大きく変える場合もあるため、丁寧にアセスメントしながら慎重に進めることが大切です。

家族への介護指導・相談対応

訪問看護における作業療法士の仕事には、利用者さんへの支援だけでなく、そのご家族への介護指導や相談対応も行います。ご家族にとって介護は、いつまで続くかわからない不安や疲れを抱えているものです。

少ない負担で安全に介助する方法などをアドバイスし、「介護負担の軽減」につなげます。また、訪問看護は病院や介護施設とは違い、ご家族とのコミュニケーションが取りやすい環境です。

訪問時はご家族からの相談に応じることも多く、不安や疑問を解消する「精神的な支援」も行います。そのためには訪問先の現状をしっかり把握し、ご家族との信頼関係を構築したうえで支援を行うことが求められるでしょう。

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3.訪問リハビリテーションにおける作業療法士の役割

ここでは、訪問リハビリテーションで働く作業療法士に求められる役割について解説します。

個別性の高いリハビリテーションの提供

訪問リハビリテーションにおける作業療法士の大きな役割は、利用者さんに合わせたリハビリを提供することです。利用者さんにとっても、実際の生活環境で訓練ができることや、リラックスした状態でリハビリに臨める効果があります。

病院や介護施設では、自宅を想定したリハビリは行いますが、実際に生活する家でのリハビリは行いません。例えば、お風呂の浴槽を跨ぐ訓練を病院や施設で行ったとしたとしても、各家庭によって浴槽の高さは異なります。

訪問リハビリであれば、実際の浴槽を使って訓練できたり、訓練中に他の問題点を発見したりすることが可能です。作業療法士には、訪問リハビリテーションの特徴を活かした、個別性の高いリハビリテーションの提供が求められるでしょう。

生活行為向上マネジメントの実践

生活行為向上マネジメント(Management Tool for Daily Life Performance:MTDLP)とは、日本作業療法士協会によって開発されたマネジメントツールです。利用者本人にとって、「本当にやりたい」と思う生活行為に焦点を当てています。

生活行為とは、ADLやIADL、仕事、趣味活動、余暇活動など生活全般の行為です。生活行為向上マネジメントの実践により、作業療法のプロセスが見える化され、利用者さんやご家族、他のスタッフに情報を共有しやすくなります。

その結果、すべての作業療法士が利用者さんに適切な作業療法を提供し、利用者自身が回復に積極的に関与することが期待されています。

他職種との連携とチームアプローチ

訪問リハビリテーションで働く作業療法士は、1人で訪問先に出向きリハビリを提供するのがほとんどです。しかし、限られたサービス提供時間や頻度の中でケアの質を上げるためには、さまざまな情報を他職種と共有することが重要になります。

また、利用者さんやご家族、他の専門職が認識する訪問リハビリの作業療法士について、ズレがあることが多いです。例えば、訪問リハビリの作業療法士は「実際の生活に即した動作練習」を行いますが、利用者さんやご家族は「病院で行われる訓練と同様」として認識しています。

そのため、訪問リハビリの作業療法士は、利用者さんやご家族、他の専門職にこの認識のズレを埋めることが大切です。このプロセスを通じて訪問リハビリで作業療法士は専門性を活かし、他職種と連携していきます。これが訪問リハビリテーションにおける作業療法士の役割です。

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4.訪問リハビリテーションにおける作業療法士の具体的な仕事内容

訪問リハビリテーションにおける作業療法士の仕事内容は、大きく4つに分けられます。

  • 心身機能の評価とリハビリテーション
  • 生活環境の評価と環境調整
  • 生活行為の獲得に向けた練習
  • 家族への指導・助言

それぞれみていきましょう。

心身機能の評価とリハビリテーション

作業療法士は「心身機能の向上」を目指して支援する仕事です。そのためには、まず利用者さんがどのような状態なのかを評価し、目標を決める必要があります。

その目標と実際の症状を照らし合わせながら、利用者さんに適したリハビリを提供することが大切です。例えば、高齢者で状態が比較的安定していれば、その症状を維持・継続することが目的になります。

終末期のがんやALSなどの神経難病などを抱えている方が対象であれば、利用者さんの生活の質を高めることに焦点を当てます。目的なくリハビリを提供するのではなく、他職種と連携しながら、「その人らしい生活」を送れるようサポートするのが作業療法士の仕事です。

生活環境の評価と環境調整

利用者さんが生活する環境の評価やその調整も、訪問リハビリテーションで働く作業療法士が行います。訪問リハビリテーションは、利用者さんの自宅やその家の周辺環境を、作業療法士自身の目や体感で知れるので、間違いのない評価が行えるのが特徴です。

リハビリによって利用者さんの心身機能が向上しても、生活環境が利用者さんに適していなければ、自宅で転倒し、骨折してしまうリスクがあります。そのようなリスクを避けるためにも、生活環境の評価と環境調整は必要な業務です。

例えば、生活動線上に荷物が散乱していて移動時に転倒のリスクが高いと感じれば、利用者さんと一緒に片付けや掃除を行います。必要があれば、住宅改修のアドバイスをしたり、福祉用具の導入支援をしたりします。

生活行為の獲得に向けた練習

訪問リハビリテーションでは、生活行為に焦点を当てた支援も仕事内容の一つです。人々の生活は、その人にとって意味のある生活行為の連続から成り立っています。

心身機能の向上により、日常生活動作が問題なく行えることも大切です。しかし、趣味や生きがい、社会参加など、その人にとって意味のある作業を毎日の生活で続けて、満足感や充実感を得ることも重要になります。

例えば、

  • 家庭菜園への参加
  • 友人宅を訪ねる
  • 孫の結婚式に参加する
  • 料理をする

など、すべての生活行為です。作業療法士は、利用者一人ひとりが望む目標を明確にし、目標達成のために他職種と連携して支援します。

家族への指導・助言

訪問リハビリテーションにおける作業療法士は、ご家族への介護指導や助言も担います。特に訪問リハビリテーションでは、病院や施設とは違い、ご家族に会う機会が多いです。
ご家族の中には、利用者さんの対応で家族自身の生活に余裕がなくなったり、対応方法について悩みを抱えたりしている場合も少なくありません。

訪問リハビリによって、利用者さんに最も近い存在であるご家族の不安や悩みを解消することで、定期的な介入にも安心感を与えます。実際に、訪問リハビリを導入した方は、介護に対する負担が軽減されていることも確認されています。

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5.訪問看護の作業療法士に必要な資格と経験

訪問看護の作業療法士として必要な資格は特にありません。作業療法士の資格さえあれば、訪問看護ステーションで働けます。
ここでは、作業療法士の資格取得について解説します。

作業療法士の資格取得

前述のとおり、訪問看護の作業療法士として働くために必要な資格は、作業療法士資格です。作業療法士国家試験を受験するためには、指定の作業療法士養成施設や作業療法学科がある大学や短大を卒業する必要があります。

作業療法士資格は、最短3年で取得が可能です。養成施設には、社会人出身の学生も多いため、社会人から作業療法士を目指すこともできます。
国家試験の合格率は80%前後なので、そこまで難しい試験ではないでしょう。

臨床経験の必要性

訪問看護の作業療法士は、未経験でも働けます。とはいえ、訪問先には作業療法士1人で出向くため、臨床経験が求められる場合も多いでしょう。

「臨床経験がないけど、訪問看護で働きたい」という方は、研修や教育制度が充実している事業所を選ぶのがおすすめです。また、入職後に先輩作業療法士が訪問先に同行してくれる「プリセプター制度」を導入している事業所もあります。

研修や教育制度、プリセプター制度の有無は、求人票に記載されているのでチェックしてみてください。

認定作業療法士の取得

認定作業療法士は、より質の高い作業療法を提供することを目的に創設された資格です。この資格を取得すると、作業療法における臨床実践、教育、研究、管理運営に関する能力が優れている証明になります。

そのため、他の作業療法士との差別化が図れ、転職で有利になりやすい資格です。ただし、認定作業療法士の資格取得には、以下の要件を満たす必要があります。

  • 都道府県の作業療法士協会に所属している
  • 日本作業療法士協会の会員歴が5年以上ある
  • 作業療法士としての臨床経験が通算5年以上ある
  • 日本作業療法士協会が指定する研修を終了していること

上記のとおり、すぐに取得できる資格ではありませんが、認定作業療法士の資格を取得すれば、キャリアアップへのプラスの材料となるでしょう。なお、認定作業療法士は5年ごとの資格更新が必要です。

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6.訪問看護の作業療法士の需要と将来性

訪問看護の作業療法士について、資格保有者の増加やAIの発達により、将来性を危惧している方も多いのではないでしょうか。ここでは、訪問看護の作業療法士の需要と将来性について解説します。

高齢化に伴う在宅医療の需要増加

2025年には約3人に1人が高齢者と推計されており、それに伴い在宅医療の需要も増加すると考えられています。「最期まで住み慣れた自宅で暮らしたい」という利用者さんの望みを叶えるためには、心身機能低下に対するリハビリが必須です。

こうした背景もあり、国の方針として、質の高い在宅医療の構築を各都道府県で進めるなど力を入れています。住み慣れた自宅での生活を望む高齢者は多く、訪問看護の作業療法士の需要はますます高まるでしょう。

地域包括ケアシステムにおける役割

地域包括ケアシステムは、高齢者が要介護状態になっても住み慣れた自宅で、その人らしい生活を送れるように、地域が一体となって支援する体制です。
地域包括ケアシステムにおける作業療法士には、以下のような役割が求められます。

  • 他職種と連携して包括的な支援を行う
  • 介護が必要な方の尊厳を維持する
  • 自立支援・社会参加支援
  • 介護予防の推進 など

特に作業療法士は、身体機能面と社会心理面から医学的に分析し、その人に合った支援で生活を改善する仕事です。そのため、心身機能の向上だけでなく、「生活」の視点をもってアドバイスする役割も求められるでしょう。

専門性を活かしたキャリア形成

前述したとおり、高齢化に伴う在宅医療の需要増加により、訪問看護の作業療法士は今後も需要が見込まれます。しかし、自分から作業療法士としての市場価値を高めて、より求められる人材になることも大切です。

例えば、

  • セミナーや研修に参加
  • 認定作業療法士の資格取得を目指す
  • 認知症ケア専門士や心臓リハビリテーション指導士など役立つ資格を取得

などスキルアップ・キャリアアップを目指すのがおすすめです。自分がどのような作業療法士になりたいのかを明確にし、専門性を活かしたキャリア形成を図っていきましょう。

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7.まとめ

訪問看護における作業療法士は、他職種と連携しながら、利用者さんの自立支援と社会参加支援を行う仕事です。それらに加え訪問看護では、看護師が行うようなバイタルチェックなどの業務もあるため、作業療法士の役割は多岐にわたります。

在宅医療の需要に伴い訪問看護の作業療法士は、今後も需要が高まることが予測されています。訪問看護の作業療法士に興味のある方は、一度求人をチェックして、働くイメージを掴んでみてはいかがでしょうか。

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