地域包括支援センターの社会福祉士|業務内容・年収・やりがいや大変さ
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社会福祉士の勤務先として挙げられる地域包括支援センターですが、具体的にどのような業務を担当しているのでしょうか。
本記事では、地域包括支援センターで働く社会福祉士の業務内容や給与、メリットデメリット、どんな人に向いているかなどを紹介していきます。
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目次
地域包括支援センターとは
まず、地域包括支援センターという施設の概要から解説していきます。
地域包括支援センターの目的
地域包括支援センターとは、地域に住む高齢者のための総合相談窓口です。
65歳以上の方やその家族、あるいは介護や支援を担っている方が利用対象者となります。
「高齢者が住み慣れた地域で、心身の健康を保持しながら、安定した生活を送るための支援」を行うことを目的とした施設です。
全市町村への設置が義務付けられており、人口2~3万人の生活圏域に1か所設置することになっています。
地域包括支援センターの業務内容
厚生労働省では、地域包括支援センターの業務は「介護予防支援及び包括的支援事業」としており、その中で4つに分類されています。
①介護予防ケアマネジメント業務
要支援1・2の方に対し、介護予防ケアプランを作成する
②総合相談支援業務
高齢者や家族からの相談を受け、適切なサービスや制度利用へつなげる
③権利擁護業務
高齢者虐待の防止や成年後見制度の利用支援など、高齢者の権利を守る
④包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
地域のケアマネジャーへの支援や関係機関とのネットワークづくり
地域包括支援センターで働く職種・配置基準
それぞれ1名以上、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員の配置が義務付けられています。
この3職種のチームアプローチにより、地域の高齢者の健康の保持・生活の安定のために必要な援助を行っているのが地域包括支援センターです。
スカウトサービス登録はこちら地域包括支援センターで働く社会福祉士の役割・業務内容
地域包括支援センターで働く社会福祉士の役割は、主に「総合相談支援」・「権利擁護」に関する対応です
高齢者が抱える様々な問題に助言を行うとともに、必要な支援を受けられるように調整します。具体的な相談内容は、振り込め詐欺や虐待、成年後見制度の利用援助などです。相談内容によっては、保健師や主任ケアマネジャーと役割分担しながら対応します。
保健師は「介護予防ケアマネジメント」(介護予防プランの作成など)、主任ケアマネジャーは「包括的・継続的ケアマネジメント支援」(介護全般の相談対応など)が主な業務です。
社会福祉士の業務内容
- 相談支援業務
地域に住む高齢者、その家族からの相談に対応します。窓口での相談もありますが、電話での対応が多いです。 - 利用者宅への訪問
自宅・入院中の病院・入所中の施設などに訪問し、どんな援助が必要か、状況を確認します。 - 安否や状況確認のための訪問
高齢者独居世帯、高齢者夫婦世帯へ、安否確認や虐待防止の対応のため訪問します。
地域包括支援センターに寄せられる相談の事例
長男が暮らす街に最近引っ越してきた70歳のAさん。
長男は仕事で忙しそうでなかなか会えず、近所に知り合いもいないため引きこもりがちな生活を送っており、そのストレスからうつ状態になってしまった。
心配した長男が地域包括支援センターに電話で相談した。
地方に住む75歳の母親の件での相談。
電話で定期的にやりとりをしているが、最近話がかみ合わなくなることが多く、認知症になってしまっているのではないかと不安に思っている。
母の住むところの地域包括支援センターに電話で相談し、訪問してもらうよう依頼した。
上記はあくまでも例ですが、地域包括支援センターには様々な内容の相談が寄せられます。
電話や窓口での相談を受けヒアリングを行い、本人のもとへ訪問することで状況をより正確に把握します。
そして必要なケアに繋げるべく、関係機関と連携して援助していきます。
社会福祉士の1日の業務の流れ
例
08:30 出勤
09:00 窓口受付開始
10:30 訪問相談①
13:00 お昼休憩
14:00 訪問相談②
16:00 窓口対応
18:00 退勤
地域包括支援センターの営業時間は、事業所にもよりますが、おおむね9時~18時で夜間営業しているところはほとんどないようです。営業日は基本的に平日のみ、もしくは月~土で、日曜は休館日になっているところが多いです。
曜日固定での勤務になるので予定が立てやすいのは地域包括支援センターで働く魅力の1つといえそうです。
地域包括支援センターで働く社会福祉士の給与
令和2年度の社会福祉就労状況調査結果によると、によると、地域包括支援センターで働く社会福祉士の割合は7.5%で、平均年収は386万円です。
社会福祉士の代表的な就職先の平均年収をいくつか紹介します。
就職先 |
平均年収(令和2年度) |
---|---|
地域包括支援センター | 386万円 |
特別養護老人ホーム | 423万円 |
介護老人保健施設 | 392万円 |
病院・診療所 | 398万円 |
特別養護老人ホームや介護老人保健施設で働く社会福祉士は、「生活相談員」や「支援相談員」として、高齢者とその家族の相談対応、関係機関との連携などを行います。
病院や診療所で働く社会福祉士は「医療ソーシャルワーカー(MSW)」と呼ばれ、患者さんの入退院や社会復帰のサポートなどが主な業務です。
地域包括支援センターの社会福祉士の年収は他の勤務先と比べるとやや低いようです。
社会福祉士の就職先の平均年収はこちらの記事でも紹介しています。

社会福祉士の就職先一覧|給料が高いのはどこ?一般企業でも働ける?!
社会福祉士の就職先、それぞれの業務内容や平均年収などを紹介します。
詳細を見る地域包括支援センターで働く社会福祉士の給与例
コメディカルドットコムで掲載している、地域包括支援センターの社会福祉士の求人内容を一部紹介します。
例1:神奈川県の地域包括支援センター
月給24.4万円+賞与年間4ヶ月分以上
原則土日祝休み・年間休日119日
例2:愛知県の地域包括支援センター
月給22.8万円+賞与年間3ヶ月分以上
シフト制・年間休日120日
例3:京都府の地域包括支援センター
月給31.4万円+賞与年2回
日祝固定休み・年間休日116日
給与は施設ごとに大きく差がありますが、月給が比較的低い施設ではその分賞与の実績が高くなっているようです。
日祝休みの施設がやはり多く、年間休日数もしっかり確保されています。
地域包括支援センターで働く社会福祉士のやりがいや魅力とは
続いては、地域包括支援センターで働く社会福祉士の仕事のやりがいや魅力について紹介します。
日勤で曜日固定で働ける場所が多い
高齢者施設などでは、相談業務と介護業務を兼ねることも多く、その場合は夜勤をすることもあります。
また、土日祝日や年末年始にもシフトで勤務になることも多いです。
一方地域包括支援センターでは、基本的に日勤のみで平日のみもしくは日曜日休みの曜日固定で勤務できることが多く、プライベートの予定が立てやすいという魅力があります。
訪問することで利用者と深く関わることができる
施設や病院で働く社会福祉士との大きな違いは、高齢者の在宅生活の場に訪問できることです。
そのため、家族から聞いた話だけで判断するのではなく、その実情を自分の目で見て、利用者本人と情報を共有することができるというのは大きなメリットといえます。
また、地域包括支援センターは高齢者が相談する一番初めの場所になるため、初期から対応することで、相談者との信頼関係が強固になり、やりがいとなるでしょう。
相談内容の幅が広く様々なスキルを習得できる
地域包括という名前の通り、幅広い相談内容に対応しているので様々なケースを学ぶことができます。
その分、情報収集は大変なこともありますが、毎日同じ仕事、ということがなくマンネリ化しにくい仕事といえます。
社会福祉士の人数が少なく、裁量をもって働きやすい
地域包括支援センターで働く社会福祉士は1名以上と定められていますが、1~3名程度と少人数しか配置されていないことがほとんどです。そのため同じ仕事をする同僚が少なく、ある程度裁量を持って働きやすいと言えます。
スカウトサービス登録はこちら地域包括支援センターで働く社会福祉士は大変?デメリットなど
メリットも多い地域包括支援センターでの仕事ですが、大変という声もあります。社会福祉士として働くデメリットなどを紹介していきます。
仕事内容が幅広く、忙しくなることも多い
複数の相談対応が同時進行していることもあり、業務量が多いようです。 また、地域包括支援センターに所属する社会福祉士の人数は比較的少ない傾向にあるので、少人数で業務を担当しなくてはならず、スピード感も求められます。
基本的に、地域包括支援センターで相談の全てを解決しきることはできないので、相談内容に応じて関係機関と連携する必要があります。相談者を適切なサービスに繋げるべく、日々情報収集を心がけなくてはなりません。
他職種との連携が必要なので人間関係に悩むことも
地域包括支援センターには社会福祉士以外にも保健師と主任ケアマネジャーが在籍しています。必要に応じて連携をとりながら対応する必要もあり、人間関係に悩む人も少なくないようです。
地域包括支援センターで働く社会福祉士に向いている人
上記を踏まえ、地域包括支援センターで働く社会福祉士として向いている人の特徴を紹介します。
コミュニケーションが好きな人
直接の相談対応だけでなく、電話で話すケースも多いのでコミュニケーション能力は必須です。さらに、相談者の気持ちに寄り添い、じっくり話を聞く姿勢も大切です。
また、他職種との連携も大事なので一人でもくもくと働きたいという人より、チームで動くことが苦にならない人の方が向いていると言えます。
心身ともにタフな人
訪問で外に出ることも多く、体力的に疲れるということも少なくありません。
また、高齢者や家族とのコミュニケーションがうまくいかず、暴言を吐かれてしまうということもありますが、そんな中でも想像力を働かせてその人に寄り添えるメンタルも必要です。
マルチタスクをこなせる人
同時進行でいろいろな相談対応を行うことも多いので、効率的に仕事をする姿勢が求められます。
まとめ
地域包括支援センターで働く社会福祉士について紹介しました。
地域包括支援センターで対応している相談は非常に多岐に渡るので、様々なケースを経験することができ、スキルアップに繋がるというメリットは大きいです。一方で、配属人数が少なく多忙さをストレスに感じるという方も少なくありません。
社会福祉士として地域包括支援センターへの転職を考えられている方は、ぜひ本記事の内容を踏まえ、検討してみてください
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