介護職は無資格でも働ける？研修義務化と資格なしでできる仕事、給料事情とおすすめ施設

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【結論】介護職は無資格でも働ける！

介護職は無資格・未経験から働くことが可能な職種です。「介護福祉士」など、介護系の資格を保有していないと採用されないのではないかと疑問を感じている人も、決して諦める必要はありません。

また、介護業界の採用においては、人柄や熱意を重視して採用をしている事業所が多くあります。「やってみたい」という気持ちが強くあるのならば、十分にチャレンジできる環境といえるでしょう。

2024年4月～「認知症介護基礎研修」義務化とは

2024年4月から、無資格の介護職員に対して「認知症介護基礎研修」の受講が義務化されました。無資格で新たに介護職に就いた場合、採用から1年以内にこの研修を受講する必要があります。

研修の中身は、その名の通り認知症に関する基礎的な知識や技術、考え方に関するものです。認知症介護基礎研修については別記事で詳しく解説しているので、ここでは要点だけ紹介します。

認知症介護基礎研修は義務？eラーニングの申し込み方法や所要時間・費用など

認知症介護基礎研修について詳しく解説します。

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「無資格だと働けなくなる」は半分正解、半分間違い

ネットで見かける「無資格だと働けなくなる」というのは、この認知症介護基礎研修の受講義務化を指しています。採用1年以内に研修を受けないと働けなくなるという点は合っています。ただ誤解を招く表現で、人によっては「無資格だと介護の仕事に就くこともできない」と捉えてしまうでしょう。

「働き始める時点では無資格でも問題ないが、働き続けるためには1年以内に研修を受講しないといけない。」これが正しい認識です。

研修はe-ラーニングで1日で修了可能

研修と聞くと身構える方がいるかもしれませんが、認知症介護基礎研修は短時間かつ難易度が低いのでご安心ください。原則、1日で修了可能です。

eラーニングの場合は、動画視聴（150分程度）と確認テスト・自己ワークを行います。確認テストは各章で5問程度の○×形式です。早い人は3時間程度で全て完了します。

集合型研修の場合も、講義（3時間）+演習（3時間）の計6時間の内容です。

【リアルな話】本当に無資格でも採用される？

「無資格でも働ける＝無資格でも採用される、とは限らないのでは？」という疑問に、求人サイトの運営者として実際のところを話します。介護職は無資格でも本当に採用されます！

介護業界は常に人手不足であり、「無資格・未経験OK」の求人が非常に豊富です。誤解されやすいので言っておくと、仕事が大変で人が辞めるから人手不足ではなく、高齢者化社会による需要増加に働き手の増加が間に合っていないからです。

国としても介護職の確保に対して、力を入れています。処遇改善という形で、給与水準の向上や教育体制やスキルアップ支援の充実を進めています。以前と比べると、無資格の方が介護職として働きやすい環境にどんどん変わっていると言えます。

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資格なしでどこまでできる？仕事内容の範囲

資格なしの介護職ができる仕事は、大まかに分けると「介護福祉士の指示による身体介護（身体介助）」と「生活援助」の2つです。詳しく見ていきましょう。

介護福祉士の指示による身体介護（身体介助）

身体介護は利用者の体に直接触って行う介助、つまり入浴介助や衣類の着脱、体位変換のことを指します。後述しますが、本来、資格を所持していないと実施することはできません。しかし介護施設内の場合、介護福祉士の指示のもとであれば身体介護を実施することができます。

生活援助

一方で生活援助は、食事の準備や片付け、清掃、洗濯、買い物などの利用者に触れないサポートを指します。こちらは無資格者でも問題なく実施できます。

つまり身体介護と生活援助、この両方とも、ほとんどの施設において無資格者でも行うことが可能なのです。その他にも、事務作業やデイサービス等の送迎業務など、無資格でもできる業務はたくさんあります。

また、職場によっては無資格等の場合、「介護助手」や「介護補助」として求人を出しているケースもあります。まずは、介護職員の補助的な役割として介護現場に触れてみるのも良いのではないでしょうか。

無資格の介護職ではできない仕事内容

無資格の介護職は、単独での身体介護ができません。特に訪問介護の場合は、1人で身体介護・生活援助を実施しなければならないため、原則として「介護職員初任者研修」以上の介護資格が必要です。

また資格を持っていると、身体介護以外も含めてより幅広い業務を任されるようになり、キャリアアップにも繋がります。まずは、「介護職員初任者研修」の取得から目指すと良いでしょう。最近では無資格として入職しても、資格の取得をシフト面、金銭面の両面から支援してくれる事業所も多くあります。

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無資格者の入社後の流れ

無資格で介護職に就職することを考えると、「何も分からないのにやっていけるのかな」と不安に感じる人も多いのではないでしょうか。しかし、多くの施設では新人のためのオリエンテーションや研修が行われ、徐々に職場に慣れるようなカリキュラムが組まれています。

ビジネスマナーや接遇マナーなど、社会人としての基本的なマナーから始まり、介護に関する基礎知識や技術、施設ごとの介護理念や職業倫理などを学べるので、初めて介護職として働く人も安心してスタートできます。

また、実際の業務では、先輩介護士のもとで、少しずつ業務を覚えていくのが一般的です。まずは日勤帯で利用者の名前や顔を覚え、施設の1日の流れを掴んでいきましょう。いきなり夜勤に入るケースは少なく、大抵は業務に慣れてきた入職約3ヶ月後から始まります。

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【平均年収348万円】無資格の介護職の給料事情

厚生労働省の「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、無資格の介護職員の平均年収は約348万円です。

平均給与額（月給）	平均年収
29万620円	348万7,440円

出典：厚生労働省「令和６年度介護従事者処遇状況等調査結果（参考第89表）」

※平均給与額（月給）は、「基本給」+「各種手当」+「一時金（賞与等）の1/12」で計算されます。つまり賞与を含んだ金額という点に注意です。

では賞与を含まない、いわゆる月給はいくらなのでしょうか。計算してみましょう。

無資格の介護職の月給と手取りの目安は？

同調査によると介護職員の一時金（賞与等）の平均は、57万720円です。
「348万7,440円（平均年収）－57万720円（一時金・賞与等）＝ 291万6,720円（賞与を含まない年収）」
これを12か月で割ると賞与を含まない月給は24万3,060円程度と算出されます。

社会保険料や税金を引いた手取り額は、月給の約80％程度です。月給24万3,060円程度の場合、手取りは19～20万円程度が目安となります。

※手取り額は扶養家族の有無、住んでいる地域（住民税額）、前年の所得（住民税額）、加入している健康保険組合など、個別の状況によって多少変動します。

介護福祉士など有資格者との比較表

資格取得でどれくらい給料が変わるのか、表にまとめてみました。

所有資格	平均年収
介護福祉士	420万600円
実務者研修	392万7,120円
初任者研修	389万7,960円
無資格	348万7,440円

介護福祉士と無資格者では、約70万円の年収差があります。単純計算ですが、月換算で約6万円も給料が違うことが分かります。

介護資格は多くの方が、実際に介護職として働きながら取得します。なので、無資格からスタートしても、資格を取得すれば月々約6万円の収入アップが現実的に見込めます。

「介護資格の資格取得支援制度」については別記事で詳しく解説しているので、良ければ参考にしてください。

働きながら利用できる介護資格の取得支援制度を徹底解説

介護資格取得支援制度について、概要やメリットを詳しく解説します。

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資格なしの介護職に求められるものとは

介護職は無資格でも働けると紹介してきました。 とはいえ当然、どんな人でも介護職員としてやっていける！というわけではありません。無資格・未経験者にも、求められるものがあります。

人柄

経験やスキルとは別で語られることも多くありますが、介護職員として働く上で最も重視されるのが「人柄」です。

介護職は、コミュニケーションが重要な仕事です。利用者の方々の信頼を得るためには日々の会話が欠かせませんし、介護を必要とする方が多く入所する施設では、介護職員どうしの連携はもちろんのこと、職種の垣根を超えたチームワークが常に求められます。

したがって、人と話すことに抵抗がないこと、組織として働ける協調性を備えていることが介護職員として働く最低条件であるといえるでしょう。そのため仕事やプライベートを問わず、人と一緒に何かを成し遂げた経験、見知らぬ人と多く絆を深めた経験などがあると有利に働くかもしれません。

体力

ここでいう体力とは、どちらかというと「ストレス耐性」に近いものです。夜勤を含む不規則な労働時間や、利用者・職員との絶え間ないコミュニケーションの中で、体を壊さずシフト通りに出勤できる体力がある人は、それだけで重宝されるでしょう。夜勤の経験がある人や、体を壊さないことに自信がある人は、面接の場でそれをアピールしてみるのも効果的ですね。

よく言われることですが、介護職は体力の要る仕事です。とはいえ何も、人一倍の腕力を兼ね備えている必要はありません。後ほど紹介しますが、最近では介護機器のICT化が進み、介護業務はどんどん省力化しています。

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無資格者におすすめの介護施設とポイント

「無資格から介護職になる場合どんな職場を選ぶべきか」について、求人サイトの運営者の視点から答えます。ずばり「法人規模・施設規模が大きい特別養護老人ホーム（特養）または介護老人保健施設（老健）」がおすすめです。

理由やポイントを紹介していきます。

規模の大きさと教育体制の充実度は比例関係

無資格から働き始める場合に気になるのは、教育体制や資格取得支援が整っているかではないでしょうか。大企業と中小企業のように、基本的に規模が大きい職場ほど、教育体制がしっかりしています。

法人規模の大きさを知るには、まず運営しているのが「社会福祉法人（医療法人）なのか企業なのか」を見極めましょう。ニチイ学館、SOMPOホールディングスなど介護の大手企業であれば、教育体制や資格取得支援が手厚いのは言うまでもないでしょう。

次に注目するのは「関連施設の多さ」です。求人票や施設のHPから、関連施設の数を確認しましょう。全国展開している所もあれば、特定の県内だけに集中している等、法人・企業によって様々です。またサービスの種類が多い（特養、訪問介護、有料老人ホームなど）場合は、将来的に法人内で他の職種へ異動するキャリアパスも開けます。

施設単体の規模を見るときは、「職員数」と入所系施設であれば「入所定員」に注目しましょう。入所定員は利用者を何人受け入れることができるかを表していて、飲食店でいう席数のようなものです。入所定員が多い施設ほど、働く職員数が多く、教育体制が整っていると期待できます。

入所系施設は多様な介護スキルを学べる

入所系施設である特別養護老人ホーム（特養）と介護老人保健施設（老健）は、無資格・未経験の介護職のファーストキャリアとして多く選ばれています。理由の1つは、先述の規模の大きさです。施設によっては小規模なこともありますが、基本的に特養と老健は他の介護施設・サービスよりも規模が大きいです。

もう1つの大きな理由は、スキルアップの機会です。食事、入浴、排泄など、介護の基本的となる業務を24時間体制で提供するため、多様な介護スキルが身につきます。特に夜間の体位変換や緊急時の対応、看取り（ターミナルケア）など、入所施設でしか得られない介護経験を積むことができます。

教育体制が整った環境で多様な介護スキルを身につける、という視点から「法人規模・施設規模が大きい特別養護老人ホーム（特養）または介護老人保健施設（老健）」がおすすめです。

実際にどんな職場や求人があるのか、気になった方は是非コメディカルドットコムを見てください。会員登録なしで好きなだけ求人を見ることができます。

介護の仕事が自分に合うか試すなら「デイサービス」もあり

「無理なく介護職をスタートしたい」「日中の勤務で生活リズムを優先したい」という方には、通所系サービスである「デイサービス」がおすすめです。

デイサービスは入所系施設や訪問介護と比べて元気な利用者が多いため、介護をする上での身体的な負担が少ないです。また日中のみで夜勤がありません。体力的な不安や夜勤が難しいという事情がある場合は、まずデイサービスで介護の仕事に触れてみるのが有効な選択肢です。

まとめ｜介護職は資格なしでも働ける！

介護業界は、長年、人材不足という大きな課題を抱えており、無資格からでも採用されやすい職種です。今後も、無資格者であっても応募可能な求人の数は増加傾向にあり、介護職員を目指す求職者にとっては追い風が吹いている状況といえるでしょう。