認定看護管理者とはどんな資格?役割や取得方法まで徹底解説!
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認定看護管理者はあまり認知されていない資格ですが、知っていますか?認定看護管理者とは、医療機関の管理者として優秀な人材であり、組織を発展させる能力があると認められた看護師に与えられる資格です。
看護師のエキスパートというと、認定看護師や専門看護師を思い浮かべる方が多いと思いますが、認定看護管理者はマネジメントのエキスパートと言われています。
今回の記事では、認定看護管理者とはどのような資格なのか?資格取得の条件なども詳しく紹介していくので参考にしてください。
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1.認定看護管理者とはどんな資格
認定看護管理者とは、日本看護協会が認定する資格のひとつです。英語表記では「Certified Nurse Administrator」とされ「CNA」と略されます。
日本看護協会が述べている認定看護管理者制度の目的は以下の通りです。
つまり、認定看護管理者とは病院や介護施設の管理者としてしっかりとしたスキルを備えており、組織を発展させる能力があると認められた看護師に与えられる資格ということになります。
認定看護管理者は、看護現場における管理職・マネジメントのエキスパートと言えるでしょう。
認定看護管理者の役割と求められる能力
認定看護管理者の役割と求められる能力は、患者やその家族・地域住民に対して、より充実した看護を提供できるよう組織に働きかけ、組織全体の看護の質を向上させることです。
認定看護管理者は、充実した看護を提供するために以下のようなことを行います。
- 看護師の教育体制を整え人材を育成する
- 看護師が働き続けることができるよう労働環境や職場環境を整備する
- 医療事故を防ぎ、組織として安全管理を推進する
日本看護協会では、病院看護管理者の能力を6つのカテゴリーに分けています。
能力 | 定義 |
組織管理能力 | 組織の方針を実現するために資源を活用し、看護組織をつくる力 |
質管理能力 | 患者の生命と生活、尊厳を尊重し、看護の質を組織として保証する力 |
人材育成能力 | 将来を見据えて看護人材を組織的に育成、支援する力 |
危機管理能力 | 予測されるリスクを回避し、安全を確保するとともに、危機的状況に陥った際に影響を最小限に抑える力 |
政策立案能力 | 看護の質向上のために制度・政策を活用及び立案する力 |
創造する能力 | 幅広い視野から組織の方向性を見出し、これまでにない新たなものを創り出そうと挑戦する力 |
具体的には、職場環境の改善・人材育成・医療事故の防止・企画の運営などを行い、従業員の数が多くなる程、管理者の必要性が高まるということを覚えておきましょう。
看護師の管理職とは?
企業に代表取締役のほかに、係長・課長・部長と管理職が存在するように、看護師にも「看護主任」「看護師長」「看護部長」という管理職が存在します。以下では、それぞれの役割を紹介していくので参考にしてください。
一般的な看護師の一段階上にあたるポジション(中間管理職的なポジション)が、看護主任です。主に、担当する病棟や診療科での業務が円滑に行われるように、看護師の管理・サポートを行います。
看護主任は、看護師長の補佐役で副看護師長と呼ばれるケースもあり、病院の規模にもよりますが一般的に10年以上の臨床経験が必要です。
看護師長は、看護主任と看護部長の間のポジションです。病棟や外来など、看護師が所属する各部署の責任者というポジションになります。
診療科ごとの責任者と連携し病院全体の運営に携わるため、看護主任より業務の幅が広がるため、マネジメント力やリーダーシップがより必要となるでしょう。数年の看護主任経験が必要で、おおむね15年程度の臨床経験が必要です。
看護部長は、看護部全体の責任者で看護師全体の取りまとめを行います。看護業務を行うことは少なく、マネジメント業務が中心です。経営者の1人として病院の運営を行う立場であり、副院長を兼任するケースもあります。
マネジメント能力・リーダーシップ以外にも、医療経済や財務・会計知識、問題分析能力、情報収集能力などのスキルが必要です。看護師長としての経験が5~10年程必要になります。

【看護師管理職の基礎知識】メリット・デメリットや必要なスキルを紹介!
看護師で「管理職」と聞くとどんなイメージを持っていますか?「自分にはできそうにないし、とにかく大変そう」「なってみたいけどどんなスキルが必要なの?」と
詳細を見る認定看護師・専門看護師との違いとは?
看護師のキャリアアップ資格として代表的なものに、認定看護師と専門看護師があります。
認定看護管理者がマネジメントのエキスパートであるのに対して、認定看護師・専門看護師は看護やケアのエキスパートです。日本看護協会が認定しているという点は、認定看護管理者と同じになります。
以下では、基本的な認定看護師と専門看護師の資格について紹介していくので参考にしてください。
日本看護協会は、認定看護師制度の目的を以下のように述べています。
認定看護師は「特定の看護分野における知識や技術を用いて質の高い看護実践ができる」看護師のことです。看護の提供だけでなく、看護実践を通した後輩指導の役割も担っています。
専門性の高い知識を身に付け、より質の高い看護ケアを実践したい方が目指す資格です。認定看護師は、看護の現場におけるエキスパートと言えます。
日本看護協会は、専門看護師制度の目的を以下のように述べています。
専門看護師は「患者やその家族に対して質の高いケアを行うために、特定の分野の知識や技術を備えている」看護師のことです。認定看護師が患者に対して看護を行うのに対し、専門看護師は患者とその家族に対するトータルケアを行います。
現場で看護ケアを提供するだけでなく、周囲の医療関係者も巻き込みながら医療体制を整える活動がしたい方が目指す資格です。専門看護師は、看護分野全体のエキスパートと言えるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら2.認定看護管理者になるには?
ここでは、認定看護管理者になるために必要な受験資格・教育課程、試験の概要を説明していくので参考にしてください。
認定看護管理者の受験資格
認定看護管理者の試験を受けるには、「看護師免許を取得したのち、合計3年以上の看護管理(看護師長相当)の経験」に加えて、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 要件1:認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している者
- 要件2:看護管理に関連している学問領域の修士以上の学位を取得している者
以上の要件を満たした上で、認定審査(書類審査及び筆記試験)に合格することで、認定看護管理者の認定を受けることが可能です。
カリキュラム
日本看護協会が定める認定看護管理教育課程は、以下の3種類です。
- ファーストレベル
- セカンドレベル
- サードレベル
なお、教育機関はおおよそ都道府県ごとにあります。セカンドレベル・サードレベルの場合は、隔年~3年ごとに開校しているところもあるので注意が必要です。教育機関は、日本看護協会のHPから検索ができるので、一度見てみるといいでしょう。
看護師として必要な管理に関する基本的知識・技術・態度の習得を目的としています。
【到達目標】- ヘルスケアシステムの構造と現状を理解できる
- 組織的看護サービス提供上の諸問題を客観的に分析できる
- 看護管理者の役割と活動を理解し、これからの看護管理者のあり方を考察できる
- 日本国の看護師免許を有する者
- 看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者
- 管理的業務に関心があり、管理的業務に従事することを期待されている者
看護師として基本的責務を遂行するために必要な知識・態度の習得を目的としています。
【到達目標】- 組織の理念と看護部門の理念の整合性を図りながら担当部署の目標を設定し、達成に向けた看管理過程を展開できる
- 保健・医療・福祉サービスを提供するための質管理ができる
- 日本国の看護師免許を有する者
- 看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者
- ファーストレベルを修了している者(もしくは看護部長相当の立場にある者、副看護部長相当の立場に1年以上就いている者)
多様なヘルスケアニーズをもつ個人、家族、地域住民及び社会に対して、質の高い組織的看護サービスを提供するために必要な知識・技術・態度の習得を目的としています。
【到達目標】- 保健医療福祉の政策動向を理解し、それらが看護管理に与える影響を考えることができる
- 社会が求めるヘルスケアサービスを提供するために、看護現場の現状を分析し、データ化して提示することができる
- 経営管理の視点に立ったマネジメントが展開できる
- 日本国の看護師免許を有する者
- 看護師免許を取得後、実務経験が通算5年以上ある者
- セカンドレベルを修了している者(または看護部長相当の立場にある者、副看護部長相当の立場に1年以上就いている者)
試験概要
以下では、申請手続きから試験までの詳細を解説していきます。
申請手続きでは、次の3つの手続きをすべて行う必要があります。
- 日本看護協会ホームページの「資格認定制度 審査・申請システム」よりWEB申請
- 審査料振込:51,700円(税込み)
- 審査書類の提出(オンラインと郵送どちらも必要)
なお、審査申請の申込期間は2月下旬~3月上旬までです。
審査は書類審査と筆記試験があり、書類審査に合格した人が筆記試験に進みます。書類審査の合格発表は4月上旬です。
- 試験地:宮城会場 ・東京会場・愛知会場・大阪会場 ・福岡会場
- 筆記試験日程:5月中旬頃
- 出題方式:マークシート(20問)・論述問題(2問)【合計120分】
- 合格発表:7月中旬頃
審査の合否は「資格認定制度 審査・申請システム」で発表されます。合格者は51,700円(税込み)を振り込み、その後8月下旬頃に認定証が送付されるという流れです。
なお、試験の合格率は70~80%と言われています。合格率は高いですが、受験資格の要件を満たすまでのハードルが高いことが認定看護管理者の特徴です。
資格の更新について
認定看護管理者は、レベル保持のため認定されてから5年ごとに更新が必要です。以下では、更新の条件・手順を解説します。
認定看護管理者の更新申請を受けるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 更新審査の認定時に「認定看護管理者」であること
- 看護実践時間が2,000時間以上に達していること
- 自己研磨実績が50点以上あること
自己研磨ポイントとは、自己研鑽の点数換算表をもとに算出されます。活動内容は点数の報告だけでなく、実績や業績を証明する資料の提出も求められるので覚えておきましょう。
日本看護協会の「資格認定制度 審査・申請システム」から審査申請を行い、申請が完了したら審査料30,800円を振り込みます。オンラインと郵送で審査書類を提出する必要があり、どちらかではなくオンラインと郵送の両方が求められるので注意しましょう。
審査合否は「資格認定制度 審査・申請システム」で発表され、審査に合格したら認定料として20,900円の振り込みが必要です。振込が確認された後に更新登録の手続きを行い、手続きが完了すると認定証の受領が可能となります。
スカウトサービス登録はこちら3.認定看護管理者を取得するメリット
認定看護管理者の資格を取得することでスキルアップにつながり、管理者への昇進・昇給が期待できるでしょう。また、管理者としての視点が身につくことで、仕事に対する意識が変わり・活躍の場を増やすことが可能です。
国内で働く認定看護管理者の割合は1000人に1人程度と言われており、認定看護管理者には看護師の離職防止が求められます。医療・福祉へのニーズが高まるなかで、資格を取得していることは大きな強みとなるでしょう。
ただし、取得するまでに時間と費用がかかることと、資格取得が必ず昇進・昇給につながるという保証がないことはデメリットと言えるでしょう。
スカウトサービス登録はこちら4.まとめ
認定看護管理者は、看護現場における管理職・マネジメントのエキスパートです。認定看護師や専門看護師のように、特定の診療科や看護分野に特化した看護師ではありませんが、看護師としてのキャリアアップ資格のひとつになります。
看護管理の目的は、患者やその家族・地域に対して、より質の高い看護ケア・看護サービスを提供することです。看護管理は看護部長や看護師長だけではなく、すべての看護師に求められるスキルと言えます。
今回の記事の内容を参考に、今後のキャリアの選択肢として認定看護管理者の資格取得を検討してみてはいかがでしょうか。
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