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医療・介護業界の「おとり求人問題」が深刻!あなたも知らないうちに被害者になっているかも

  • 更新日
投稿者:加藤 直也

医療・介護系の一部求人サイトには「おとり求人」が多数掲載されていることをご存知ですか?「おとり求人問題」の実態と看護師・介護職のみなさんが転職の際に気を付けるべきことをお伝えします。

このコラムのポイント

・転職エージェントがおとり求人を使って求職者を集めていることが近年問題に
・おとり求人に釣られた経験のある人は6割以上、看護師に限ると7割以上も
・おとり求人の広がりは転職エージェントの利用増加に繋がり、病院・介護施設の経営に悪影響
・おとり求人を避けることが転職の成功に繋がり、業界のためにもなる

目次



1.おとり求人って何?

応募してみたら「今は募集していない」と言われてしまった…
問い合わせた求人とは異なる職場を紹介されたけれど大丈夫…?


皆さんはこういった経験はありませんか。身に覚えがあるという方、「おとり求人」に釣られてしまっているかもしれません。


「おとり求人」とは、実際には募集をしていないにも関わらず、応募を集めるためだけに掲載がされている求人のことです。「空求人」と呼ばれることもあります。近年、人材紹介会社(転職エージェント)がおとり求人を掲載する手法で求職者を集めていることが問題となっています。


今回「おとり求人」について看護師、介護職の皆さんにアンケート調査を行いました。まず、おとり求人という言葉の認知度について質問をしたところ、「聞いたことがある」と回答した人は19%ほどにとどまり、まだまだ広く知られている問題ではないことが伺えます。みなさんもあまり聞きなじみのない言葉かもしれません。


「おとり求人」という言葉を知っていましたか

おとり求人の例

①閉鎖した事業所の求人情報

既に閉鎖されている事業所の求人が取り下げられることなく、掲載され続けているケースがあります。当然募集の実態はありませんので、そのような求人を見かけた際はおとり求人であると考えてください。


②募集を行っていない職種の求人情報

一見するとおとり求人であるとは分かりませんが、問い合わせてみると募集を行っていないと案内されることがあります。掲載がされているウェブサイトの管理が行き届いていない場合、こういった求人が多くなりますが、募集がないと分かっていながら掲載がされている例もありますので注意が必要です。


③ハローワークの転載の求人情報

数ある掲載の中に「この求人はハローワークの求人です」とただし書きのあるものが散見されます。これは文字通り病院・介護施設がハローワークに依頼をして掲載している求人の転載になりますので、ここから問い合わせを行っても選考が進むことはありません。


④ 施設情報のみの情報

募集に関する詳細な情報の記載がなく、事業所名と所在地が簡単に記載されている求人はおとりの可能性が高いです。そういったページから問い合わせた場合、希望の事業所とは異なる他の求人を案内されることになるでしょう。


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2.6割以上の人がおとり求人に釣られた経験あり!

「掲載をしてる求人に問い合わせたら、募集が終了したと言われたことがありますか」という質問に、64.4%の方が「ある」と回答しました。


また、「転職エージェントから、問い合わせた求人とは違う求人を案内された経験がありますか」という質問に対しては66.1%の方が「ある」と回答しています。なんと6割以上の方がおとり求人に釣られてしまった経験があることが分かりました。


掲載している求人に問い合わせたら、募集が終了したと言われたことがありますか

転職エージェントから、問い合わせた求人とは違う求人を案内された経験がありますか"

同じ質問の回答を看護師だけで集計してみると、「掲載をしてる求人に問い合わせたら、募集が終了したと言われたことがありますか」という質問には74.4%の方が、「転職エージェントから、問い合わせた求人とは違う求人を案内された経験がありますか」という質問に対しては76.5%の方が「ある」と回答しています。


介護職の方と比較すると、おとり求人から応募をしてしまったという経験があるのは看護師の方に多いという実態が明らかになりました。


【看護師】転職エージェントに案内された求人の選考を受け、転職したことがありますか

[【看護師】転職エージェントから、問い合わせた求人とは違う求人を案内された経験がありますか

3.エージェントに案内されるがままに転職するのは危険!

応募をした求人がおとりだった場合、「〇〇という病院(介護施設)では募集を行っていますが、ご興味はありませんか?」と別の求人を転職エージェントに紹介されることがあります。みなさんはこのような場合、選考を受けたいと思いますか?


今回実施したアンケートでは、「転職エージェントに案内された求人の選考を受け、転職したことがありますか」という質問を設けました。すると、43.6%の方が「ある」と回答し、看護師の方に限定すると、「ある」と回答した割合は52.7%となりました。


転職エージェントに案内された求人の選考を受け、転職したことがありますか

【看護師】転職エージェントに案内された求人の選考を受け、転職したことがありますか

自分が興味を持って応募した求人ではなくても、転職エージェントに紹介された病院・介護施設に転職をしたことがあるという方は少ないことが分かりました。しかし、転職エージェントに案内されるがままに職場を決めてしまうというのは少し危険が伴います!


入職してみたら当初希望していた条件とは異なっていたり、イメージしていた職場との違いを感じてしまうなどミスマッチが起きる可能性があります。選考を受ける前、入社を決める前までに自分でもしっかり条件を確認するようにしましょう。


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4.病院や介護施設も困っている!
全国の病院の54%、特養の32%が赤字に

50%以上の病院・介護施設が被害に!

おとり求人に出会ってしまったあなたは「せっかく掲載がされているから応募をしたのに募集がないなんて…」と残念に感じるかと思います。おとり求人の掲載が多ければ、希望の職場を見つけるのにも苦労しますし、困ってしまいますよね。実はおとり求人に困っているのは、病院や介護施設も一緒なのです!


知らないうちにおとりに使われてしまっていたり、勝手に掲載されてしまっているケースがほとんどで、全国の病院・介護施設を対象に行ったアンケートでも、その多くがおとり求人の被害に遭っている実態が分かりました。


無断で掲載されていたことがある

募集終了後にも掲載され続けていたことがある

「無断で掲載されていたことがある」で50.6%、「募集終了後にも掲載され続けていたことがある」が57.0%と、半数以上の病院・介護施設でおとり求人に使われてしまった経験があると回答しています。多くの看護師・介護職の方がおとり求人に釣られてしまっている背景には、知らないうちに求人を掲載される、被害者としての病院・介護施設の一面があったのです。


結局「おとり求人問題」って何?

このコラムの始めにも書きましたが、現在の医療・介護業界では転職エージェントがこの「おとり求人」を掲載する手法で求職者を集めていることが問題視されています。問題点の一つ目はまず、嘘の情報が掲載されてしまっていることです。


そして二つ目が転職エージェントを利用しやすい環境になっているということです。ウェブを検索すると転職エージェントの求人を多く見かけることになり、それらはおとり求人でかさ増しされている状態です。そのため必然的に転職エージェントの求人に応募が集中しやすくなるのです。


実は転職エージェントの利用が増えてしまうと、採用費がかさんでしまって病院・介護施設の経営に悪影響が出てしまうのです。とある機関の調査によると、全国の病院の54%、特別養護老人ホームでは32%が赤字となっていることが判明しました。その原因の一つに医療・介護業界全体での人手不足が挙げられます。現場のスタッフが不足することでベッドや専門の医療機器などの設備を十分に活用できなくなります。


そして不足する人員を集めようにもなかなか採用が進まず費用の負担が大きくなってしまいます。転職エージェントの高額な採用手数料が原因で、設備への投資や職員の待遇改善など本当に必要なところへお金を使うことが出来ずに、医療・介護サービスの質の低下や職場環境の悪化という影響も引き起こしかねないのです。


「おとり求人」は法律違反の可能性も

「職業安定法」とは国民が自身の希望や能力に基づいて働く機会を与え、採用側にとっては必要な労働力を確保して企業活動を安定させる、さらには経済の発展させていくことを目的に作られた法律です。


職業選択の自由を保障していたり、求人募集する際のルールを定めていたりなど、私たちが働く上ではなくてはならない法律の一つです。この職業安定法の第65条8号にはこのような記述があります。


「虚偽の広告をなし、又は虚偽の条件を提示して、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行った者又はこれらに従事した者」には6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処する


これは採用する側が嘘の条件で求人募集を行った時に、実際のその募集を行った企業を処罰する法律です。おとり求人は募集の実態のない、いわば嘘の求人です。例えば転職エージェントが応募を集める目的で意図的に嘘の求人を出していたとすれば、それは法律に違反している可能性があるのです。


なお、処罰の対象になるのは嘘の求人で募集を行っていた企業側です。おとり求人に釣られてしまったという方は「被害者」と言えるでしょう。


5.おとり求人を避けて転職活動をしよう

①求人の更新日をチェック

ウェブに掲載されている求人の多くは、掲載を開始した日や内容が更新された日、掲載期限が記載されています。例えば、最終更新日から半年以上経ってしまっている求人についてはすでに募集が終了している可能性が高いです。求人の「鮮度」はおとり求人を見破るひとつのポイントになります。


② 募集要項がしっかり記載されているか確認

記載されている情報が古かったり、そもそも詳しい募集要項すら書かれてない求人が掲載されていることがあります。そういった求人も今は募集を停止していたり、事業所に無断で掲載がされている可能性が高いです。あまり管理が行き届いていないと感じる求人には注意しましょう。


③ おとり求人の掲載がないサイトを使おう

おとり求人が掲載されているか否かは、実際に応募をしてみなければ分からないことが多いかと思いますが、転職エージェントのサービスでは求職者を集めるために募集の実態がない求人が多く紛れているケースが多いと言われています。


そこでみなさんにご紹介したいのがコメディカルドットコムです。


コメディカルドットコム」は医療・介護領域に特化した直接応募型の求人ポータルサイトです。全国の医療機関や介護施設などを中心に、導入法人数は20,000社以上、掲載求人数は140,000件以上のサービスとなっています(2023年12月現在)。「コメディカルドットコム」の求人はすべて病院・介護施設の依頼を受けて掲載がされている、直接掲載型の求人サイトのためおとりに釣られてしまうことはありません。



セカンドラボ株式会社

URL:https://note.com/2ndlabo/n/n56335bc8255e

2017年にセカンドラボ株式会社に入社。介護施設を担当する部門に配属され営業に従事。その後チームリーダーに就任。現在は事業部の統括的な立場でメンバーのマネジメントに関わる業務を主に担う。その他広報やコンテンツマーケティング等の業務も担当。

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