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訪問介護の仕事内容とは?資格、給料、絶対やってはいけないことまで徹底解説!

  • 更新日
投稿者:堀尾 健太

「訪問介護」と聞いて、あなたはどのような仕事内容をイメージしますか?利用者さんのご自宅を訪問し、日常生活を根底から支える訪問介護ヘルパーは、在宅での生活を望む方が増えている今、その重要性が高まる一方です。

「介護職員初任者研修などの資格は必要?」「常勤やパートの給料はどれくらい?」「身体介護と生活援助とは?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。特に、一人で訪問するからこそ、利用者さん本人以外への支援や医療行為など、「やってはいけないこと」の正しい知識は欠かせません。

この記事では、訪問介護の基本の仕事内容から、資格や給与、働くメリット・デメリットまでを網羅的に解説します。さらに、絶対に避けるべき禁止行為とその適切な対処法についても詳しく解説します。訪問介護の仕事に興味がある方、これからヘルパーを目指す方、現場で自信を持って働きたい方は、ぜひこの記事で必要な知識を全て手に入れてください。

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目次



そもそも訪問介護とは?

仕事内容について見ていく前に、まずは訪問介護の概要について確認しましょう。


利用者宅で介護サービスを提供する

訪問介護は、訪問介護員(ホームヘルパー)が主に利用者の自宅を訪問し、日常生活の援助や身体介護などの介護サービスを提供するサービス形態のことを指します。


有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅への訪問を行っている場合は、利用者の居室へ訪問するケースもあります。また、高齢者だけを訪問の対象としているわけではなく、障害をお持ちの方を対象に行う訪問介護もあります。どのケースも利用者と1対1になることが多いため、一人ひとりの状態や希望に合わせたサービスを提供できるという点が特徴です。


一日に複数の訪問先があることも多く、移動手段は車やバイク、自転車など様々です。後述する必須資格とは別に、運転免許も取得しているとより働く先の幅が広がります。


訪問介護の目的

訪問介護は、単に身の回りのお世話をするだけでなく、利用者様とそのご家族が安心して在宅生活を送るための、多岐にわたる重要な役割を担っています。その主な目的は、以下の4点に集約されます。


自立した日常生活の支援(自立支援)

訪問介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう支援することを主な目的としています。具体的には、身体介護(食事、入浴、排泄など)や生活援助(掃除、洗濯、買い物、調理など)を通じて、利用者の能力に応じた活動を支え、残存機能の維持・向上を目指します。


在宅生活の維持

病気や障害などにより生活に困難を抱える方が、住み慣れた地域や自宅で安心して生活を継続できるようサポートします。生活環境を整え、必要なサービスを提供することで、心身の健康を保ち、自宅での生活を可能にすることが目的です。


ご家族の負担軽減

介護を担うご家族の身体的・精神的な負担を軽減することも重要な目的の一つです。ヘルパーが専門的な知識と技術をもって介護サービスを提供することで、ご家族が休息する時間(レスパイト)を確保したり、介護に対する不安を和らげたりする効果があります。


健康状態の管理と連携

日常的な体調の変化に注意し、必要に応じて看護師や主治医、ケアマネジャーなど他の専門職と連携を取りながら、利用者の健康状態の維持・管理に努めます。これにより、重度化の予防や早期の医療的な対応を可能にし、安定した在宅生活を支えます。


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訪問介護の仕事内容

次に訪問介護の仕事内容を見ていきましょう。訪問介護の仕事は「身体介護」「生活援助」の大きく2つに分けることができます。


身体介護

身体介護は、以下の3点にあたる介護サービスのことを指します。


①利用者の身体に直接接触して行う介助サービス(そのために必要となる準備、後かたづけ等の一連の行為を含む)

②利用者の日常生活動作能力(ADL)や意欲の向上のために利用者と共に行う自立支援のためのサービス

③その他専門的知識・技術(介護を要する状態となった要因である心身の障害や疾病等に伴って必要となる特段の専門的配慮)をもって行う利用者の日常生活上・社会生活上のためのサービス


具体的には以下のような業務が身体介護に含まれています。


  • 食事介助
  • 入浴介助
  • 排泄介助
  • 更衣介助
  • 整容介助
  • 服薬介助
  • 体位変換
  • 移乗、移動介助

食事介助

一人で食事が出来ない利用者の方に対し、利用者の食事のペースに合わせて食事ができるようサポートしていきます。ただ食べさせるだけでなく、食事内容の記録や食事後の歯磨きのお手伝い・義歯洗浄なども介助の一連です。


また気管、食道等の神経や筋力の衰えからくる嚥下障害をお持ちの方がいるので、窒息や誤嚥をしてしまわないよう、細心の注意を払って介助に当たる必要があります。


入浴介助

入浴の準備(各種物品や浴室内準備)、衣服の脱ぎ着、浴室には一緒に入り体や頭を洗います。ヒートショックを起こさないよう浴槽やシャワーなどの温度、ケガにつながる利用者の転倒防止など注意すべき点が多い業務です。また、全身を観察できる機会が少ないため、入浴前・入浴中に体の状態を観察し、皮膚が乾燥していないか、傷がないかなどのチェックも行います。


排泄介助

トイレへの誘導、衣服の脱ぎ着、おむつ交換・清拭など、一連の排泄動作をお手伝いします。排泄物の状態をチェックし、利用者の健康観察も行います。


衛生面に配慮することはもちろんですが、他人に自分の排泄を世話してもらうことは誰しも嫌だと言うことを理解し、「利用者の自尊心を傷つけない」「できるところは自分でやってもらう」など、利用者目線に立った介助が重要になります。


更衣介助

外出時や就寝時の衣服の着脱や着替えの介助を行います。皮膚の観察や転倒防止など、細心の注意が必要となる業務です。また、利用者の身体機能維持や尊厳を傷つけないよう、利用者ができることは自分でやってもらうようにし、できないところのみサポートする意識が大切です。


整容介助

身だしなみを整える介助を行います。具体的には、洗顔・整髪・爪切り・化粧などが挙げられます。身だしなみを整えることは、リフレッシュ効果や衛生面のケアという点はもちろんですが、生活のモチベーションの向上にもつながります。


服薬介助

利用者の方の薬を飲ませたり、薬がしっかり飲まれているかの管理や飲み忘れがないかなどの確認を行います。「いつ」「誰が」「何回」「何を」と気を配る点は多くあるので、誤薬・誤飲などに気をつけましょう。


体位変換

血行障害による感覚麻痺や褥瘡(床ずれ)予防として、同じ体勢で寝たきりの方を中心に定期的な体位変換を行います。


移乗、移動介助

「起きる」「座る」「立つ」などの動作が難しい方のために、ベッド・トイレ・車椅子までの移動の際の介助を行います。ベッドや車椅子などの介助に使用する機器の安全確認・メンテナンスを行うことも重要で、定期的なチェックを行うことも業務の一つです。


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生活援助

生活援助は、身体介護とは反対に利用者の方には触れないで行う身の回りのお世話です。利用者の方のご自宅に訪問してお世話を行うので、下記のような生活援助を行う機会は多いかもしれません。


  • 掃除、洗濯
  • 調理・買い物
  • 薬の受け取り
  • ベッドメイク

掃除、洗濯

買い物の代行から調理・片付けなどの援助を行います。利用者の好みの味付けに合わせながら、栄養面を考えた調理を行う必要があります。


調理・買い物

自力での買い物が難しい人に対して支援を行います。欲しいものを聞いて介助者が一人で買い物する場合と利用者と買い物に行き、支払いなど見守りを行う場合があります。施設の種類によっては買い物の支援は含まれないこともあります。


薬の受け取り

利用者の代わりに、薬局や病院などでの定期的な薬の受け取りを行います。


ベッドメイク

布団を干したりシーツの交換を行います。


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通院等乗降介助

訪問介護サービスの中で、外出を伴う支援として区別されているのが「通院等乗降介助」です。これは、単なる移動手段の提供ではなく、利用者様の通院を安全かつ円滑に行うための専門的な介助サービスであり、以下のような特徴と注意点があります。


サービス内容:乗車・降車の介助と付随する運転

訪問介護員等が自ら運転する車両で、通院や官公署への手続きなどのために、利用者様の乗車または降車の介助を行うサービスです。これには、乗降の前後の屋内外における移動介助や、通院先での受付・会計手続きの介助も一連のサービスとして含まれます。


通院等乗降介助の注意点

このサービスは、訪問介護員による運転行為そのものはサービスの中心ではありません。また、病院や施設などの院内・施設内における付き添い(待ち時間など)は、原則として介護保険サービスの対象外です。ただし、認知症や視覚障害などにより、利用者様が単独で行動することが極めて困難な場合に限り、例外的に院内介助が認められることがあります。


介護記録

サービスを提供した訪問介護員は、その提供内容や利用者様の健康状態、気付きなどを正確に記録する義務があります。これは「サービス実施記録」とも呼ばれ、以下の重要な目的を持ちます。


情報共有

他の介護職員やケアマネジャー、医療職などが利用者様の状態を把握し、一貫したケアを提供するための基礎資料となります。


サービスの質の向上

記録を振り返ることで、ケアプランが適切であったか、利用者様の状態に変化はなかったかなどを確認し、より質の高いサービスにつなげます。


介護報酬請求の根拠

提供したサービス内容を証明する公的な書類として、介護報酬を請求するための根拠となります。


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訪問介護における禁止行為(してはいけないこと)

訪問介護で提供するサービスは、ケアマネジャーが事前に利用者の状態に合わせて作成したケアプランに基づいて実施する必要があり、ケアプランに明記されていないことは、利用者から急に要望されても実施してはいけません。利用者に対して適切なサービスが提供できているかどうかは定期的に評価を行い、ケアプランの変更の必要があればケアマネジャーと連携して対応します。


利用者本人以外の支援

利用者以外のためのサービス、例えば利用者以外の家族の食事調理、洗濯や利用者の居室以外の部屋の掃除などはできません。生活援助は家事代行サービスではないため、家事ができる介護者が同居している場合にも実施できません。


日常生活上必要のない行為

日常生活を送るうえで必要のない行為も行うことはできません。酒類などの嗜好品の購入や来客用のお買い物、1年間で数回しか実施しないような掃除などが例として挙げられます。


家事を逸脱する行為

引っ越しの準備・手伝いや法事への付き添いなど、家事と言えないような行為をお願いされたとしても実施することはできません。


医療行為

医師、歯科医師、看護師などの医療従事者以外の医療行為は禁止されているため、実施できません。医療行為ではないとされる医療関連行為の場合はヘルパーでも実施可能です。


【医療行為】服薬管理、褥瘡の処置、インスリン注射 など


【医療関連行為】爪切り、歯ブラシを使った口腔ケア、体温計測、耳垢の除去、一包化された内服薬による服薬介助 など


倫理的・法的に絶対に避けるべき行為

訪問介護員は、利用者様の安全と尊厳を守るため、人権問題や法的な虐待に該当する行為を厳しく避ける必要があります。具体的には、身体拘束や暴言、無視、威圧的な態度の使用といった精神的虐待、わいせつ行為などの性的虐待、金銭の無断利用や窃盗といった経済的虐待に当たる虐待行為は絶対的な禁止事項です。


また、業務を通じて知った利用者様の情報を外部に漏らすプライバシーの侵害(守秘義務違反)も禁止されています。さらに、利用者様の金銭を預かって不透明な方法で使用するなど、金銭の不適切な管理も避けなければなりません。


禁止事項を依頼された際の適切な対処法

利用者様やご家族から、介護保険のサービス範囲外である禁止行為を依頼された場合は、以下の手順で適切に対応することが重要です。まず、その行為ができない理由について、介護保険の制度上のルールであることを丁寧に説明します。この際、感情的にならず、専門職としての客観的な姿勢を保つことが大切です。


次に、依頼された内容が介護保険サービスで提供できない場合、介護保険外の自費サービス(家事代行など)や、ボランティア、シルバー人材センターなどの代替サービスを提案します。そして最も重要なのは、依頼があった事実を、サービス提供責任者(サ責)やケアマネジャーに速やかに報告・相談し、対応方法について事業所全体で共有することです。個人的な判断でその場限りの対応をすることは、不正請求やトラブルの原因となるため絶対に避ける必要があります。


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訪問介護の一日の流れ

訪問介護員の仕事は、ご利用者の自宅を訪問し、身体介護(食事、入浴、排泄の介助など)や生活援助(調理、掃除、買い物など)のサービスを提供することです。 1回の訪問あたりのサービス時間は、内容によって異なりますが、身体介護は20分〜1時間半程度、生活援助は45分程度が多く見られます。移動時間や記録、報告の時間を考慮すると、1日あたりの訪問件数は平均的に5件前後となるのが一般的です。


常勤ヘルパーの一日

常勤ヘルパーは、事業所の運営時間(一般的に8:00~19:00など)の中で、毎日決められた時間(例:8時間勤務)働くのが一般的です。訪問業務だけでなく、事務作業や会議、他のヘルパーの指導・調整なども担当します。


時間帯 主な業務内容 備考
8:30 出勤・朝礼 情報共有、本日のスケジュール確認など
9:00 午前の訪問(1件目) 身体介護(例:60分)と移動(例:15分)
10:15 午前の訪問(2件目) 生活援助(例:45分)と移動(例:15分)
11:15 訪問移動・事務作業 移動、訪問記録の作成など
12:00 昼休憩 事業所や外出先などで休憩
13:00 午後の訪問(3件目) 身体介護(例:45分)と移動(例:15分)
14:00 午後の訪問(4件目) 生活援助(例:45分)と移動(例:15分)
15:00 午後の訪問(5件目) 身体介護(例:30分)と移動(例:15分)
16:00 帰社・事務作業 訪問記録の整理、報告書の作成、翌日の準備など
17:30 終業 ミーティングや研修が入る場合もあります

上記のように、1件あたりサービス時間(例:30~60分)に加え、移動時間(例:15分程度)が発生するため、1日の勤務時間8時間の中で訪問できる件数は平均5件前後が目安となります。


登録ヘルパー(パート)の一日

登録ヘルパー(パート・アルバイト)の場合、働く時間や曜日の融通が利きやすいのが特徴です。主にサービス提供時間分と移動時間に対して給与が支払われます。直行直帰が可能な事業所も多く、自分のライフスタイルに合わせて件数を調整できます。


時間帯 主な業務内容 備考
9:30 自宅を出発 直行の場合
10:00 午前の訪問(1件目) 生活援助(例:45分)と移動(例:15分)
11:00 午前の訪問(2件目) 身体介護(例:60分)と移動(例:15分)
12:15 昼休憩・移動 合間の時間で休憩
13:30 午後の訪問(3件目) 生活援助(例:45分)と移動(例:15分)
14:30 業務終了 訪問記録の作成後、直帰

登録ヘルパーの1日あたりの担当件数は1件あたりのサービス時間や、空いている時間帯にもよりますが、フルタイムに近い場合は常勤と同様に5件前後、空き時間を利用する場合は1日1~2件程度を無理のない範囲で担当する方が多いようです。サービス提供後、訪問記録を事務所に提出またはシステムに入力して業務終了となります。


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訪問介護のメリット・デメリット

ここでは、訪問介護のメリット・デメリットについて紹介していきます。今後訪問介護のヘルパーとして働くことを検討している方は是非参考にしてみてください。


訪問介護のメリット

利用者と強い信頼関係を築ける

訪問介護では、基本的に決まった利用者を決まったヘルパーが担当します。そのため施設と比較して利用者様と強い信頼関係を構築できます。実際に「ヘルパーが会いに来てくれるのが毎週の楽しみ」と感じている利用者の方も多くいます。


また業務内容でも紹介したように、直接のサポートである「身体介護」と身の回りのお世話である「生活援助」をひとりで行うことから、ひとりのヘルパーへの依存度が施設より高いことも特徴の一つです。


職場内の人間関係の悩みが少ない

介護職として働く人が抱えやすい悩みとして、職場の人間関係が挙げられます。幅広い年代が働いており、価値観の相違などで衝突しやすかったり、看護師やリハビリ職など多職種が多い現場では、ケアの方針の違いなどで衝突することが多いようです。


訪問介護の場合は、事業所内に同僚はいるものの、基本的に訪問で事業所を空けていることが多く、事業所内で顔を合わせるのは出勤と退勤前ぐらいしかないです。したがって必要以上に職場の人と接する機会が少ないため、価値観の衝突などは起こりにくいと言えるでしょう。


年齢にかかわらずキャリアアップの道が開かれている

正社員として働く場合、単に訪問介護員ではなく、サービス提供責任者(サ責)や管理者に 昇進していく事も可能です。


大手の企業の事業所であれば、エリアマネージャーや本部勤務などのキャリアアップも考えられます。昇進することで当然責任が増えますがやりがいも増えていきます。


ライフスタイルに合わせた勤務がしやすい

訪問介護は、日勤だけの事業所もあれば夜勤を伴う事業所もあります。常勤として働きたいのであれば、日勤のみの事業所で規則的なシフトで勤務していくことが良いと思いますし、高い給料を目指して夜勤をしながらしっかり稼いでいく働き方もあります。


パートタイムとして勤務する場合は、訪問件数が1日に1件や2件という事も少なくありません。利用者様1人単位での業務なので、事業所とは異なって都合良く仕事を割り振る事が可能になっています。


登録ヘルパーとして、1日の隙間時間で訪問に行く方もいれば、子供の保育園や学校の時間に併せて数時間パートとして働くことができます。自分のライフスタイルに合わせた好きな時間で働けるのは訪問介護の大きなメリットです。


訪問介護のデメリット

移動負担がある

訪問介護の特徴として、利用者の自宅を訪問するために自動車や自転車を使って「移動」する時間があります。人によっては、移動が負担になると感じる人もおり、入所や通所などの施設介護を選ぶ人もいるようです。


しかし、訪問介護事業所も訪問先は利用者の自宅だけとは限りません。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などに併設し、施設の入居者の居室のみ訪問するというパターンもあります。「訪問介護で働きたいけど移動負担が気になる」という方は、訪問先が施設のみという事業所はないか、訪問エリアが近場かどうかなど訪問負担を考えた事業所選びをしてみると良いかもしれません。


自分一人での判断が多い

訪問先へは基本的に一人で向かいます。そのため、良くも悪くも全ての業務を自分の身で行うことになります。たとえば利用者さんの様子がいつもと違う、あるいは急変したというような場合も、施設とは違い頼れる人が周りにいないことが多いです。一旦は自分ひとりで判断し、行動しなければならないという点で、施設で働くよりも責任とプレッシャーを感じてしまうかもしれません。


ただ大変さはありますが、その分様々な経験を積むことができ、幅広いスキルや知識を得ることができます。


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訪問介護のやりがい・きついこと

訪問介護は、ご利用者の生活に密着したサポートを行うため、他の介護サービスにはない独自の魅力と難しさがあります。その仕事を通じて得られる深い喜びと、乗り越えるべき課題の両面を見ていきましょう。


訪問介護のやりがい

訪問介護の仕事は、ご利用者の生活に深く関わり、その変化を間近で見られることに大きなやりがいがあります。


ご利用者からの感謝

1対1のサービスであるため、「ありがとう」という感謝の言葉を直接もらう機会が多く、それが大きなモチベーションにつながります。


生活の質の向上への貢献

身体介護や生活援助を通じて、ご利用者が自宅で安全かつ快適に過ごせるようサポートし、生活の質の維持・向上に貢献できる実感を得られます。


専門性の向上

ご利用者ごとの状況やニーズに合わせて柔軟に対応することで、コミュニケーション能力や介護技術が磨かれ、専門職としての成長を感じることができます。


自立支援の手応え

介助を通じてご利用者ができることが増えたり、状態が改善したりするなど、自立に向けた変化が見られたとき、大きな達成感を味わえます。


時間の融通が利きやすい(登録ヘルパー)

特に登録ヘルパーの場合、働く時間や曜日を比較的自由に選べるため、自身のライフスタイルと仕事の両立がしやすい点もやりがいの一つです。


訪問介護のきついこと

やりがいが多い反面、訪問介護特有の「きつい」と感じる点も存在します。


移動時間と天候の影響

1日に複数件の訪問をこなすため、移動時間が業務時間の大半を占めることがあります。また、悪天候の日でも訪問しなければならず、体力的・精神的に負担になることがあります。


人間関係の難しさ

ご利用者の自宅というプライベートな空間でサービスを提供するため、ご利用者やご家族との人間関係や信頼関係の構築に難しさを感じることがあります。


孤独感と判断の重さ

1人で訪問し、サービス中は基本的に1人で対応するため、他の職員にすぐに相談できない「孤独感」を感じやすい傾向があります。予期せぬ事態が起きた際の緊急対応や判断を迫られることもあり、責任の重さを感じます。


精神的な負担

ご利用者の生活や病状が悪化していく様子を目の当たりにしたり、認知症の方への対応で精神的なストレスを感じたりすることがあります。


労働条件・報酬(登録ヘルパー)

登録ヘルパーの場合、サービスと移動の時間以外は報酬が発生しないため、収入が不安定になりやすい点が挙げられます。また、キャンセルのリスクもあります。


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訪問介護に携わるには資格が必要?

訪問介護事業所で働く場合は、「介護職員初任者研修」以上の資格が必要です。介護職として働く場合、基本的には資格は必要なく、誰でも無資格・未経験で始めることが可能です。しかし、訪問介護では、利用者の身体に直接触れる「身体介護」業務を行う際に、「介護職員初任者研修」以上の資格が必須とされているため、訪問介護に従事するには資格が不可欠なのです。


施設介護の場合は「身体介護」以外の業務も多く発生するため人手不足をカバーするために無資格の方でも積極的に採用しているところが多いですが、「訪問介護」の場合は利用者と1対1で行われるサービスのため、「身体介護」を含めた幅広い業務に対応できる必要があります。


介護職員初任者研修

「初任者研修」は、介護士として働く上での基本的な知識・技術そしてマナーを身に付ける為の入門資格と位置付けられています。<「初任者研修」には受験資格は必要なく、在宅・施設問わず介護業務に従事しようとしている人であれば誰でも取得を目指すことができます。計130時間のカリキュラムと修了試験を受講することで取得することができます。


一般的に取得には「通学」と「通信」の2種類があり、資格の取得にはスクールのスケジュールにもよりますが、平均して約3ヶ月程度の期間を要するとされています。


上記130時間のカリキュラムを修了すると、修了試験があります。試験は選択式でカリキュラムの内容から出題されるため、しっかりと受講していれば、難易度は高くありません。この試験に合格することで「介護職員初任者研修」の修了となります。


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介護福祉士実務者研修

「実務者研修」は、初任者研修の上位資格としてより詳しい知識やスキルを身に付け能力を高めることを目的としています。国家資格である「介護福祉士」の受験要件にもなっているため、介護福祉士を目指すのであれば必須の資格になります。


取得には450時間のカリキュラムを要しますが、初任者研修修了者であれば、130時間分が免除されます。一般的に初任者研修修了者の場合、資格の取得期間は約2ヶ月程度と言われています。


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介護福祉士になるためには、国家試験に合格し資格を取得する必要があります。2021年度は83,082人が受験し、合格者数は60,099人、合格率は72.3%でした。2016年度以降の試験からは合格率は70%付近で推移しており、他の国家試験と比べても非常に合格率の高い試験と言えます。

出典:厚生労働省「介護福祉士国家試験の受験者・合格者の推移」


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登録ヘルパーという働き方

訪問介護は、常勤・パートという雇用形態はもちろんありますが、他にも登録ヘルパーという働き方も存在します。これは、訪問介護事業所から直接雇用を受けるという形ではなく、「登録」という形で、働きたい勤務時間や曜日を指定して仕事を紹介してもらうという働き方です。


自分が働きたいと思った時間だけ働き、ライフスタイルに合わせて働き方をカスタマイズできるという点が大きなメリットです。隙間時間で働きたいという子育て世代の方には適した働き方ではないでしょうか。ただし、給料が発生するのは介護サービスを提供している時間のみで、移動時間などは一切給与が発生しないことがデメリットと言えます。


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訪問介護の給料はどれぐらい?

続いて訪問介護事業所の給料について解説していきます。常勤とパートそれぞれの給料について、他の施設形態と比較しながら見ていきましょう。


常勤

施設形態 平均給与額
全体 338,200円
訪問介護事業所 349,740円
介護老人福祉施設(特養) 361,860円
介護老人保健施設 352,900円
通所介護事業所 294,440円
小規模多機能型居宅介護事業所 305,220円

※平均給与額は、基本給(月額)+手当+一時金(4~9月支給金額の1/6)

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」


厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、訪問介護事業所の常勤の平均給与額は349,740円であり、これは全体の平均(338,200円)を上回っています。他の施設形態と比較しても、通所介護事業所の294,440円より高いなど、比較的給与水準が高い傾向にあります。


訪問介護の給与水準が高い主な要因は、業務の高い専門性と責任、そして人材市場の状況にあります。訪問介護は、利用者さまの居宅で一対一のサービスを提供するため、緊急時の判断や個別対応など、単独で業務を遂行する高いスキルと責任感が不可欠です。特に、専門性の高い身体介護の比重が高い業務内容が、高い報酬単価として給与に反映されやすい構造があります。


なお、訪問介護は、特養や老健などと比較すると、利用者の介護負担が比較的低いケースが多く、給料水準が高まりつつある中で、ある程度の給料と業務負担のバランスなどを考えたい方にとっては、ますます働きやすい職場といえるのではないでしょうか。


パート

施設形態 平均時給額
全体 1,220円
訪問介護事業所 1,380円
介護老人福祉施設(特養) 1,130円
介護老人保健施設 1,110円
通所介護事業所 1,080円
小規模多機能型居宅介護事業所 1,070円

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」


厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果によると、訪問介護事業所の平均時給額は1,380円と、他のどの施設形態よりも高い数字になっています。資格によって時給額に差が出る事業所は多く、訪問介護は「介護職員初任者研修」資格が必要で、専門性の高いスキルや知識を求められるため、他施設と比較して時給額が高いものになっていると考えられます。パートでも高い時給で働きたいという方には訪問介護事業所はオススメです。


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居宅訪問だけじゃない!訪問ヘルパーの活躍の場

訪問ヘルパーの活躍の場は、利用者の居宅訪問に限りません。ここでは、訪問ヘルパーの代表的な働き方をご紹介します。


①訪問介護ステーションの正社員/パートとして働く

もっともメジャーな働き方は、訪問介護ステーションの正社員やパートとして働くことです。この場合はシフト制で、決められた時間で利用者の居宅を訪問していくことになります。移動も含め、勤務時間中はつねにお給料が発生します。


利用者の家で包括的なケアを行うため、信頼関係が築きやすい反面、移動の負担があるのがデメリットです。移動手段については自動車が使えない所などもあるので、事前に確認しておきましょう。


②住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅で働く

次に、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅のスタッフとして働くという働き方もあります。正確には施設に併設する訪問介護ステーションに所属し、施設内の居室のみを訪問するという形です。


移動の負担がないのがメリットですが、このような施設では入居者の要介護度が低いことが多いです。そのため「しっかり経験を積んでキャリアアップしたい」という方にとっては物足りないかもしれません。


③登録ヘルパーとして働く

他に、同じ居宅訪問でも登録ヘルパーという働き方があります。 登録ヘルパーは常勤やパートとは異なり、訪問介護ステーションに働きたい曜日や時間を登録し、その時間のみ働くことができる勤務形態です。たとえば週1日、1時間のみというような働き方でもOKというところが多くあります。基本的に訪問先への直行直帰が可能なため時間の融通も利きやすく、まさにライフスタイルに合わせて働ける勤務スタイルだといえます。


ただ、指定した曜日や時間に仕事を紹介してもらえるとは限らないというデメリットもあります。また月給/時給制とは違い、お給料が発生するのは実際に働いた時間のみ。移動時間も労働時間に含まれないため、収入面ではかなり不安定になりやすいと言われています。 対策としては、複数のヘルパーステーションに登録することでカバーできる場合があります。


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訪問介護に向いている人とは?

訪問介護に向いている人はどんな方なのでしょうか。性格面や働き方の志向ごとにいくつか紹介していきます。


一人ひとりの利用者にしっかり向き合える人

訪問介護は基本的に利用者と1対1で接することが多く、その方に合わせた柔軟な介護サービスの提供が求められます。利用者の気持ちを汲み取ったり、サービス提供できる範囲内で希望を聞き、臨機応変に介護に取り組むことができる方は、訪問介護に向いていると言えるのではないでしょうか。


責任感が強い人

入所施設の場合は、同僚とサポートし合いながら介護に取り組んでいくことができますが、訪問介護は周囲の人がすぐにサポートに入ってくれる環境ではありません。その場ですぐ判断できる知識や技術を身につけておく必要はもちろんですが、一人でしっかり利用者のサポートをするという「責任感の強さ」が重要となります。


臨機応変に行動できる人

訪問介護では、利用者の状況やニーズに合わせて柔軟に対応することが求められます。利用者さんの体調によっては予定通りにケアが進まないこともありますし、利用者さんの体調が急変するケースもあるでしょう。そういった場合にも臨機応変に対応できる人や柔軟な思考で状況に応じた行動が取れる人は訪問介護に向いているでしょう。


体力に自信がある人

訪問介護は1日4~5件の利用者の自宅を訪問し、その人に合わせた介護サービスの実施が必要で、常に身体を動かし続けています。また、疲れた素振りを見せることなく笑顔で介護を行うことが重要です。そのため、体力に自信をもって仕事に取り組むことができる人は訪問介護にうってつけと言えるのではないでしょうか。


時間に縛られず働きたい方

パートや登録ヘルパーのような働き方の場合ですが、訪問介護は「1日1件から勤務OK」など働き方に件数の縛りがなかったり、1日の勤務時間数が短い求人が多くあります。子育てや家庭の事情で長時間勤務することが難しい方や空いている時間にスポットで働きたいという方には、オススメの働き方です。


訪問介護事業所で働きたいならまずは求人をチェック

いかがでしたか?訪問介護は、利用者の自宅を訪問しそれぞれにあった介護サービスの提供が必要になります。介護職として様々な利用者の介護を経験して、自分の理想とする介護サービスの提供を実現したいと考えている方には、ピッタリの職場だと思います。また、ライフスタイルに合わせた勤務がしやすいところも魅力的なポイントの一つですよね。


訪問介護で働いてみたいという方も、まだ悩んでいるという方も、まずは求人を見て様々な事業所があるというのを知ってみることから始めてもいいのではないでしょうか。



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セカンドラボ株式会社

URL:https://note.com/2ndlabo/n/nf2f063102266

神奈川県鎌倉市生まれ。2019年4月にセカンドラボ株式会社に入社。
2025年1月にコンテンツチームのリーダーに就任。
統計資料に基づく分析や求人作成の知識・経験を活かした記事づくりが得意です。
休日は所属するオーケストラでの活動や登山、旅行とアクティブに過ごしています。

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